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進路・将来・仕事について、モヤモヤを感じている人に読んでもらいたい1冊

「どうして大人になったら働くの?」
「なんのために勉強するの?」

そう聞かれたとき。そう思ったとき。

あなたなら、なんと答えますか?

どう答えるのがベストなんだろう?

それを聞かれたことがわたしもある。聞いたのは子供たちだ。

だいたいは部活で疲れきった子供たちが、眠気と戦いながら宿題に追われ、イライラが絶頂になったころ。

「勉強なんてもうやりたくない。もう、なんで勉強しないといけないの?!」

--- あ、ボヤキが始まった。これはマズイな。

「ねぇ、なんで?勉強好きじゃないし。勉強がなんの役に立つわけ?」

イライラ火花はパチパチと音を立てて、わたしに飛んでくる。

「勉強するのは、あなたの将来の選択肢を広げるためだよ。社会に出て働いたら、学校の勉強が役に立つときが必ず来るから」

--- 漠然すぎる答えだな。

そう思いつつ、宿題を先にやっつけろよと思い、答えた。

「じゃあ、なんで働かないといけないの?」

--- あら、今度はそう来たか。

話は違う方向に飛ぶ。

「生きていくためにはお金が必要だからね。お金を稼ぐために働かないと」

--- この答え、納得しないだろうな。

案の定、納得していないのは明らかだ。子供の表情からそれが分かる。わたしが子供でも、親から聞きたいのはこんな答えじゃない。

--- この答え、働くことの核心に触れていないし。これじゃ分からないよね。

しかし、バツが悪くなったわたしは、

「先に早く宿題やっちゃいなさい」

と言い、そこで話を終わらせてしまった。

--- なんとも後味が悪い。失敗したな。

それから何日たっても、子供の質問にちゃんと答えてあげなかったことが、ずっと心に引っかかっていた。

【どうして大人になったら働くのか】
【なんのために勉強するのか】

これを分かりやすく説明するには、どうしたらいいんだろう?

もしあなたがわたしだったら、どう答えますか?どんなふうに説明しますか? 

会社帰りに本屋さんに立ち寄ったある日。1冊の本が目に留まった。





なんてタイムリー。こういうのを運命的な出逢いっていうんじゃない?わたしの心のモヤモヤを知っていたのかしら。

本を手にとり、パラパラとめくる。

この本は6つの章で構成されていて、【仕事】と【働くこと】がテーマ。

1つの章に漫画と文章があって、10ページ程度の漫画のあとに15ページ程度の文章がくる。それが6章分。

フォントは大きめで、すべての漢字にふりがながついている。グラフやイラストも多く、全体的に淡い色合い。

ぱっと見て、「字が多すぎる。真っ黒。うぇっ、無理!」と即閉じられてしまうような本では決してない。

全体的に優しいタッチで書かれているけど、この本、めちゃめちゃ内容濃くない?

即買いした。

子供たちに読んでほしいと思ったのはもちろんだけど、わたしが読んでも面白そうと感じたからだ。大人でも知らない【働くこと】が書いてある。

今日はいい買い物をしたぞと、上機嫌で家に帰る。

まず自分で読んでみた。大人なら数時間で十分読める。

第一印象で感じたとおり、ボリュームのわりに内容が濃い。年齢にもよるが、子供なら1日1章(漫画と文章で約30ページ)ずつ読んで、1週間で読み終わるくらい。

もともとは、小学校高学年~高校生向けに作られたようだが、大学生や社会人が読んでも興味深い本だと思う。

【働くこと】の認識が、昭和バブリー世代のわたしのころとはずいぶん違っていて、学ぶ点が多くあった。

“AIとの働き方”や“持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)”なども取り上げていて、未来の【働くこと】の説明も分かりやすい。

“仕事ってなんだろう?”から始まり、“なんのために勉強をするのか”、“好きを仕事にするのか、得意を仕事にするのか”など、この本を通じて伝えたいことがたくさんあるんだなと、作り手の熱い思いを感じた。

そのほかにも、“お金”、“副業”、“多様性”、“ブラック企業”、“ワークライフバランス”、 “コミュニケーション能力”などテーマは多岐にわたり、【働くこと】に関する多くをカバーしている。

情報を読者に押しつけるのではなく、箱に入れてそっと置いてくれている感じ。必要な時が来たらいつでもこの箱を開けてみてね、という感じの本。

子供も大人も楽しめると思う。親子で別々に読んで、お互いに感想をシェアするのも良し。仕事への興味のキッカケになってくれそうな本です。

「お父さん/お母さんが子供のときは、将来〇〇になりたかったなぁ」とか

「お父さん/お母さんが今の仕事をするようになった理由はね・・・」

なんて話を親子でするのもいいかもしれません。


心に残った箇所をいくつか引用しますね。

生活する中で、自分が「何か気になるな」とか「なんかこれ面白いぞ」と思ったことの裏側に、どんな仕事があるのか調べてみること … “やりたい仕事を見つけるためのアンテナ”より
学校に行かないことで人生が終わってしまうかのような絶望を感じる必要はまったくない。(中略)あせらず、下を向かず、あなたなりの歩み方で前に進んでいってください。… “学校に行かなくても生きていく道はある”より
大切なのは「自分の人生に責任を持てるのは自分だけだ」と気づくこと。そして「自分で自分の人生をつくるんだ」と覚悟することです。… “「いい子」を捨て自分の人生を作ろう”より


「どうして大人になったら働くの?」
「なんのために勉強するの?」

そう思ったとき。そう聞かれたとき。

この本が、行く道を照らすほのかな灯りになってくれそうです。子供にとっても、大人にとっても、あなたにとっても。

たった1度ではなく、折に触れて何度も読み返したいな。これから待ち構える人生のいろいろなことを予習できそうな、そんな1冊ですよ。

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