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ワーママの味方 子どもの発熱で困ったときの「マザーネット」 #推したい会社

「推す」という言葉がこれほど定着するずいぶん前から、推したい会社があった。

その会社への対価以上のものを、その会社を通じてわたしは手に入れた。その会社がなければ、それは手に入らなかったと思う。

それは「特許翻訳者であるわたし」だ。

3人の子どもをもち、キャリアを中断することなく特許翻訳者としてずっと働き続けてこれたのは、オットの協力だけでなく、この会社の助けによるところが大きい。その恩返しとして、その会社のどんなところが好きなのかを「推したい会社」としてシェアしようと思う。

その会社は、大阪に本社をおく株式会社マザーネット。


2001年に、日本で初めて病児保育の派遣サービスを始めた会社。ダイキン工業株式会社で17年働き続け、ご自身もワーママである上田理恵子さんが立ち上げた。

上田さんはフルタイムで働きながら出産(1992年)。復帰前に保育所探しに苦労し、希望の保育所には入れず。第二子の出産は夫婦で考えていたタイミングではなく、保育所選びに優位になるように計画を立てなければならなかった。

こんな苦労を、これから子どもを産んで仕事を続けようとする人にはしてほしくない

そう思った上田さんは、マザーネットの前身である「キャリアと家庭 両立をめざす会」を設立した。

この「キャリアと家庭 両立をめざす会」を朝刊の地域ニュースで見つけたのが、上田さんを知ったキッカケ。1997年のことだったと思う。当時のわたしは、オットの転勤に伴い自分の仕事を辞め、あまりなじみのない土地で暮らしはじめたばかりで、妊娠6か月だった。

自分の好きな仕事を辞め、知らない土地で暮らし、お腹には赤ちゃん。

キャリアアップ志向の強かったわたしにとって、不安要素ばかりの新生活。そんなときに見つけたのが「キャリアと家庭 両立をめざす会」の記事。なにか機会があったときに連絡してみようと、記事を切り抜いた。

第1子を生んで数か月後。「翻訳学校で勉強したい。社会復帰して、いつかは翻訳の仕事をしたい」とオットに相談した。家でジッとしていられないわたしの性分を分かっているオットは「やってみたら?」と言ってくれた。

翻訳学校に1年通い、いくつかの職場を経験し、翻訳の勉強を活かせる特許事務所に就職できたころ、第1子は3歳になろうとしていた。

保育所には0歳のころからお世話になっていたので、発熱や体調不良が頻繁にあった。子どもが病気になれば保育所ではあずかってもらえないし、会社も休まないといけない

これが夫婦間でたびたび諍いの種となった。

わたしの母親はすでに他界していたし、オットの実家は電車でも片道3時間ほどかかる場所。子どもが病気になるたびに、気軽に「看病をお願いします」とは言いにくい。

いまと違って当時はリモート勤務なんてなかったので、オットかわたしのどちらかが仕事を休んで子どものケアをする必要があった。前の晩に子どもが体調を崩すと、次の日会社を休むのがどっちなのかピリピリした雰囲気になっていた。

このままだと夫婦関係が悪化する・・・

ベビーシッターさんを探してみようという話になったのは、オットの出張が増え、夫婦2人だけではどうにもならなくなったころ。探してみたが、どのベビーシッター会社も発熱や病気の子どもは見てくれない。それでは困ってしまう。

病児でもベビーシッターを派遣します!という会社をようやく見つけた。それがマザーネット(当時はまだ株式会社ではなかった)。よくよく調べてみると、わたしが以前新聞を切り抜いた「キャリアと家庭 両立をめざす会」の代表をしていた上田理恵子さんが立ち上げた会社らしい。

これもなにかの縁と感じ、藁をもつかむ思いでマザーネットに連絡。事務所に行き、数年前の「キャリアと家庭 両立をめざす会」の新聞も読みましたと伝えると、上田さんは驚きつつ、とても喜んでくれた。フルタイムで働くわたしが抱えている悩みを聞いてもらい、ワーママの先輩である上田さんのお話を聞いた。特に、経営理念や会社としての使命を聞くうちに、この会社なら、上田さんなら信頼できると思った。

経営理念:
ワーキングマザーが仕事と育児・家事・看護を両立していく上での問題点を解決し、「仕事を続けてきてよかった」とみんなが実感できる社会の創造。

マザーネット公式サイトより

ミッション:
1. お母さんと子どもたちの笑顔を作ること
2. 女性が働きやすい仕組みを作ること

マザーネット公式サイトより

お母さんと子どもが笑顔になれば、家庭も明るくなる。各家庭の元気は地域の元気に直結する。

オットとも相談し、マザーネットにお願いすることに。その後、3人目の子どもが小学校低学年になるまで、子どもが病気になったときはマザーネットにお願いし、計10年以上もお世話になった。

そんなマザーネットの強みは病児保育。ほかにもいろいろなコースがあるが、病児保育では看護師資格のある方を派遣してくれる。2001年の創業以来、病児保育において1件の事故もなく、信頼に値するサービスを提供し続けている。

ベビーシッターさんは子どもの体調を見ながら、子どもの食べられそうなものを作って食べさせてくれる。もちろんアレルギー対応もしてくれるので、アトピーっ子のいる我が家ではありがたかった。

数時間おきに子どもの体温を測り、食べたもの、飲んだもの、尿、便、着替えの回数、お昼寝の時間など、細かく記録してくれる。子どもの機嫌を見ながら、絵本を読んでくれたり、お絵かきや折り紙をしてくれたり、遊び相手にもなってくれた。

子どもがどんな様子だったか、どんな遊びをしたか、どんな話をしたか、子どもの表情まできちんと記録してくれるので、その記録表を見れば、その日の様子がよく分かる。

また、子どものお昼寝中には、夕食の準備、洗濯物たたみ、お風呂掃除までしてくれた。仕事でクタクタになって帰ってきたときに、テーブルに夕食ができあがっているなんて、パラダイス以外のなにものでもない。どれほどありがたかったか。シッターさんがベテランお母さんだった場合は、レシピも書いて残してくれたので、料理のアイディアが欠如しているわたしはとても助かった。

緊急対応もマザーネットの強み。

困ったときに頼れるところがある。そう思うだけで心は軽い。子どもの急な発熱でどちらが会社を休むかで、オットとピリピリすることもなくなった。

夕方ちょっと熱っぽいなと思っていたら、夜中には高熱。明日の朝1番に病院に連れて行かないと。でも、明日の午後には大切なミーティングがある。どうしよう・・・そんなケースが時々あった。

マザーネットは当日9時以降の受付も可能なので、当日に依頼し、病院から帰ってきてからシッターさんと交代、ということもできる。我が家は何度もそういった依頼をし、とても助かった。子どもになにか異変があればすぐに連絡してくれたし、休憩時間にわたしが自宅に電話をすれば、シッターさんは子どもの様子を教えてくれた。

マザーネットを推したい1番の理由は、なんといっても信頼感。

ベビーシッターは信頼業だと思う。密室の中で子どもとシッターさんだけになるのだから。今日はこんなことしたよ、と親に話ができる年齢の子どもならいいが、乳児の場合はそうはいかない。信頼できないシッターさんには任せられないのだ。

マザーネットは、ベビーシッター(マザーネットではケアリストと呼んでいる)の採用には特段の注意を払っている。書類選考時には「この仕事をしようと思った理由・資格・子育て経験・子育ての方針など」を書いてもらい、面接では「仕事現場での常識を確認し、仕事への適性を判断」するという。

これまで我が家に来てくれたベビーシッターさんは、どなたも信頼できる人ばかりだった。何十回もお世話になった方もいて、子どもたちはすっかりなつき、親戚のおばちゃんのような存在になった。わたしは子育ての悩みを相談することもあり、シッターさんは先輩ママとして頼もしい存在だった。

困ったときのマザーネット

これは子育て全盛期だったオットとわたしとの共通認識で、心のよりどころだった。

マザーネットの助けがあったから、わたしは自分のキャリアを繋ぐことができた。好きな仕事をずっと続けることができたのは、マザーネットという会社の存在と、3人の子どもたちが病気だったときに我が家でケアしてくれた数々のベビーシッターさんがいてくれたからだ。

そして、最後にオットにも感謝したい。

ベビーシッターさんを探すかどうか迷っていた時に「ベビーシッターさんを頼むと、すごいお金かかるみたい。子どもたちが続けて病気になれば、私のお給料が右から左で全部なくなるかも」と申し訳ない気持ちでオットに言ったことがある。

すると、オットは涼しい顔でこう言ったのだ。

「カミーノ、それは未来のための投資だと思えばいい。自分のキャリアのためにベビーシッターさんたちにお金を払う。そうすればカミーノはキャリアを積める。それは投資、きっと回収できるよ。20年後のリターン、期待しとくわ」

はて、わたしはリターンをオットに返せただろうか。フリーランスになるときにも賛成してくれたオットだもの。リターンをちゃんと受け取ってくれたのよね。

マザーネットに代金を払ったことで、わたしは自分のキャリアをつないだ。マザーネットはベビーシッターさんたちにお給料を払い、ベビーシッターさんたちもキャリアを積んだ。そして、わたしと同じようにマザーネットに信頼を寄せた人たちがたくさんいたから、マザーネットは大阪だけでなく、東京、長野、福岡にも展開していった。

今では病児保育だけでなく、家事代行、ペアレントケアの他、自然体験スクール新鮮野菜の宅配もあり、都市と地域を繋げる活動もしているマザーネット。これからも安心と信頼をベースに、ワーママがピンチになったときの救世主であってほしい

わたしのイチ推し「マザーネット」のますますのご発展を!




















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