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真実の眼7(快傑サッソー)

 ドクについていった先に2つのカプセルケースがあり、離されて置いてあった。そしてその中に真実の眼がそれぞれ入っていた。両方ともプスプスと燻ぶった音を立てている。どういう理屈化はわからないが、何かのショックを与え続けることによって、それぞれを無力化することができたのであろう。
「さあ大丈夫かどうか実験してみよう」
 ドクがそういうと、レバーを引き、お互いの石を近づけ始めた。そしてカプレス同士がくっついたところで、ドクはカバーを外し、またレバーを引いた。石同士がくっついた瞬間、バチッと音がして、真実の眼は粉々になってしまった。
「成功だ。これで世界を脅かすものはない。誰も危害を加えることなく、誰もその威力をみることもなく、真実の眼は消えた」

 遠い昔、隕石がこの付近に落ちて、それを拾った者が、磨いてみるとなんと宝石になった。他にもないかと付近を探してみると、同じような隕石の小さな塊があった。それも磨いてみると立派な宝石が現れた。だが恐ろしいことに、この2つの宝石を合わせると、不思議な光を発し、強い熱エネルギーにかわり、月を1つ粉々にしてしまった。当時、月は2つあった。それにより満潮干潮が変わり、地軸が曲がり、天変地異がおとずれた。
 世界中に住む者たちは、神の怒りと虞をなし祈った。真実を知っているのはここにいた人々だけであった。ただし、石を合わせた張本人と、すぐそばにいた人々は一瞬にして消えてなくなってしまった。
 生き残った人々はこの2つの石を別々に保管することにした。すると、近くの石がどんどん金になっていくではないか。当時、ここに住む人々にとって金には何の価値も持っていなかった。ゆえに不気味な石だとして、神の像を作り、片目にだけ宝石を嵌め、もう片一方はずっと遠くに保管するようにした。
 それから何千年かが立ち、人々が金をありがたることをしった住民は石を危険が及ばぬ程度に近づけた。言い伝えにあるように、それにより、金が産出され、島は潤った。ただ金が出たからといっても、それほど大した産出量でもなく、住民も少なかったため、大きな贅沢はしなかった。ヨソから金を掘りにやってきた者もいたが、カラクリがあることをしらなかったため、皆諦めて帰ったのであった。
 だが島民の秘密も欲深い連は嗅ぎ取ってしまう。その言い伝えを聞いた者が、宝石をめぐって何度も盗みにやってきた。島民は必死に隠しとおしたが、今回、アラブのセレブのもとに片一方の石は渡ってしまった。CIAもその情報を得て、サッソーたちに仕事を依頼したという訳であった。
「あくまで島の人から聞いた伝説、言い伝えよ」
 李麗春がいった。
「アラブのセレブはこれで金が作れると思ったのでしょうけど、2つないと駄目だということをしらなかったのでしょうね。そうなるともちろん2つ揃ったら恐ろしいことが起きるということも当然しらなかったはずよ」
「不幸中の幸いという訳か」
「もし2つ最初に奪っていたら、地球はどうなっていたのかねえ」
 ホウがいった。
「伝説も全てなくなってしまった。この島はアメリカが観光都市として生まれ変わらせるという話だ」
 サッソーがいった。
「よかったじゃない」
 麗春がいった。
 3人は帰りの飛行機を待っているエアポートの待合室にいた。飛行機といってもプロペラ機で、これでひとまずフィリピンまで飛んで、それから帰るのである。
「麗春、君はこれからどうするのさ」
 ホウが聞いた。
「ひとまず、家に帰って次の仕事を選ぶわ」
「忙しいんだな。じゃあまたどこかの空の下できっと出会えることを信じて」ホウがそういって握手を求めたので、麗春はそれに答えた。サッソーは笑顔でそれをみていたが、麗春が握手を求めてきたので、握手を返した。

 この物語もこれで終わりです。サッソーやホウ、李麗春の正体、ドク・クレージーとの因縁、いつかまた話す機会があれば、またその時まで。
                        <おわり>

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