野球撮影
高校野球のシーズンになると、思い出すのが広島県大会である。わが校は決して強い高校ではなかったし、甲子園に行ったこともない。惜しい所まで行ったことは2度ほどあるようだが、僕がこの高校に入るだいぶ前のことである。
ともかく応援団を組織しなければならない。名ばかり生徒会副会長の僕としては、あんな暑い場所で学ランを着て、フレーフレーと大声をあげるのには勘弁してほしい。
「新聞部のカメラマンとして参加するので、俺は応援団には入らない」
の一言で逃げた。
おかげで過酷な練習に付き合わずにすんで、大助かりであった。いつからか要領のいい男の烙印を押されていた。
さて当日である。第1回戦。野球のほうはもちろん観客席も撮らないといけない。わが校がほこるチアリーダーたちも撮ってやらねばなるまい。というか望遠レンズを当時持っていなかったので、野球のほうを撮るのは厳しかった。だから自然観客席の写真が多くなった。決してスケベ心ではない。
そのうち、チアリーダーたちが熱中症でバタバタ倒れていった。普段こんな条件でこんなことをしないにわか仕込みのチアリーダーなのだ。仕方なく僕は快方する役になった。といっても水飲ませたり、頭冷やしたり、日陰で寝かせたりすることくらいしかできない。よほどひどければ救急車を呼ぶが、それほどでもない。
はたから見れば役得だと思うだろうが、相手はみんな素性もしってる連中ばっかりだったので、たいして役得とは思わなかった。
1回戦は勝った。2回戦も確か勝った。3回戦で敗れた。2回戦以降はどんな感じだったかよく覚えていないが、倒れた者はやっぱり倒れた。僕は写真に集中できなかったが、似たような写真しか取れないので、もういいか、みたいな感じだった。
今はなき広島市民球場での出来事であった。
大学に入ると同じようにスポーツ新聞のクラブに所属し野球を撮った。3年生の頃は望遠レンズを持っていたし、エクステンダーも誰か貸してくれていたので、ラッキーゾーンから三脚立てて、丁度TVで野球を見る角度で写真が撮れた。観客席とチアガールは他の人にまかせて、野球に集中できたが、球場の人に怒られた?かどうかしていられなくなってしまった。残念だった。でかい殿様バッタがいたのを覚えている。
そういえばチアリーダーにあこがれのTさんがいたのを思い出したから、結局チアリーダーも撮っている。夏ではなかったので、倒れた人はいなかったけど。
今はなき平和台球場での出来事であった。
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