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はいチーズ!

 歳を取ると味の好みが変わるとよくいわれるが、僕の場合、チーズである。若い頃は大嫌いで、あの後味の悪さといったらない。いつまでも口の中に残って、気持ちの悪い気分にさせてくれる。
 小学校の給食で出てくるときは、必ず家に持って帰り、飼い犬のコロに食わせてやった。コロはそれをうまそうにあっという間に食べた。その後僕にじゃれてくるのはいいのだが、口臭がチーズ臭くて嫌だった。
 ところが結婚して、だんだん妻に飼いならされてきたのだろう。チーズが平気になった。最初はピザから入り、とうとう今ではチーズだけ丸ごと食べることができるだけではなく、好んで食べるようになった。これはものすごい進化である。成長である。変化である。
 チーズが平気になるとイタ飯をはじめ海外の料理のほとんどが平気になってしまう。海外旅行へ行くにも何の障りもない。
 昔、アメリカへ行った時、チーズケーキを無理矢理食って吐いたことがある。今ではチーズケーキは人の分まで欲しいくらい大好きである。
 それにしても不思議なものである。あの気持ち悪かったチーズの味が今は美味しく感じるのだから。人の味覚とはどうなっているのだろうかと、首を傾げてしまう。
 
 

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