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29分52秒

 約40年振りに旧友とLINE電話で会話した。年賀状に電話番号を載せ、LINEのお友達になりませんか申請をしたら、返事が来たので、早速連絡したものだ。だが先方は仕事中で忙しく、折り返し電話してくれるようになった。夜になり、電話が掛かってきた。
 高校時代、一緒にフォークグループを組んでいた仲であり、その頃一番仲のよかった友人であった。2人組の照々坊主という名前のグループであった。結構その名でコンサートを行っていたにもかかわらず、電話口ででいわれるまで、僕はその名前を忘れていた。
 大学時代に、お互い大学が違えど、福岡市に住んでいた縁もあり、たびたび大学の時も遊びに行った。彼の下宿に泊りがけでギターを弾きに行ったこともあった。また飲み屋で、弾き語りのアルバイトをしていた彼の店に遊びに行ったこともあった。
 最後に会ったのはいつ以来かな、という話になり、ロッドスチュアートのコンサート以来じゃないか、と僕がいうと、「そうか、ロッドスチュアートも死んだしな」と答えた。
 えっ、そうだっけ。僕はしばらく黙った。死んだのはジェッフベックでロッドスチュアートはまだ生きてるんじゃないかな、と思ったからだ。後で調べたら、78歳でまだ元気なようだ。訂正することもなく、会話は進んだ。
 お互い近況報告をした。高校の先生になったことは知っていたけれど、それから先のことは良くは知らなかった。
 よく考えたら、僕の友人は意外と学校の先生が多い。妹の夫も中学校の先生だ。大学時代の友人先輩にも学校の先生がいる。
 公立の先生は、定年が延びて61歳になったらしい。それから1年づつ延びて63歳までになるらしい。それは妹の夫から聞いていたのだが、彼は60歳で辞めるようだ。つまり今年限りである。給料が30%カットになるので、馬鹿馬鹿しくなったとのこと。奥さんも現役の先生らしいので、それでおカネの面は心配ないようだ。
 2月5日に僕の母親の米寿のお祝いに広島に行くので、会う約束をした。名残惜しく、電話を切った。通話時間、29分52秒。
 

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