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「TechCrunch Tokyo 2021」を振り返って オンラインイベントはどこまでオフラインイベントに近づけたのか?

こんにちは!Media Product & Operation teamのPingです。
さて、先日このnoteの連載でもご紹介させていただいた、日本最大級のテクノロジーとスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2021」(以下、TC Tokyo)が無事先日(12月2日〜3日)閉幕しました。
前回は、制作秘話ということで、事前のセッション収録現場からお伝えさせていただきましたが、今回は、主にイベント当日に行われたピッチバトルや、オンラインイベントそのものをどのように考えて何を実現しようとしていたのか、イベントの興奮も冷めやまない中、再びイベントチームの元を訪ねてみました。

▼プロフィール
坂田さん:TC Tokyo監督・演出、好きな言葉は「GOD is nowhere, DOG is now here」 
松村さん:TC Tokyoプラットフォーム担当、Habitatが最初のメタバース体験
平泉さん:TC Tokyoクリエイティブ担当、『包丁人味平』でも紹介された"骨泳がし"の秘伝を持つとの噂の元料理人

ー早速ですが、イベントお疲れ様でした。前回イベント前に「現時点では、最も世界でオフラインイベントに近い体験が得られる最高のオンラインイベントになるだろうと」と豪語されてましたが、いかがでしたか?

松村さん:はい、現時点では「YES」以外の言葉が見つかりません。もちろんVRデバイスを用いて仮想現実の中にイベント会場を開設し観客にアバターになって没入してもらって擬似体験させるような手法もあり得たかとは思いますが、現時点でのデバイスの普及度やユーザビリティーなどから考えても、今回のプラットフォームの組み合わせはベストであったと思います。

坂田さん:現時点、つまり四角形の中で、ということですよね。おっと、一体何を言ってるんだいという顔をされたので、ちょっと丁寧に説明しますね。
今年の春、およそ25年ぶりに松岡正剛先生がドロップした『情報の歴史21』の序文にこんな件があります。
先生は、情報文化が何によってどのように編集されてきたのかを振り返りいくつかの「画期」があったとしてこのようにまとめています。
第1に文字と記号の出現。第2に物語という様式を作り上げたこと。第3に印刷・写真・録音といった複製技術の登場。第4に、ここがポイントですが’情報の記録媒体として「四角形」という形状の活躍を挙げています、最後5番目には十進法と電子処理における二進法についてユニークな示唆も与えてくれています、
この4番目について、自分も今年一番ハッとさせられたので、長いけど端折りながら引用します。

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先生がここで伝えようとしているのはもっと別レイヤーの壮大な話だと思われますが、私が今年初め、どうやってオンラインイベントをオフラインイベントの体験に近づけられるか考えていたときに、「そうか現時点では体験を四角形に落とし込もうとしてるんだよな」と気づかされてから、色々見えてきたというかある意味割り切って考えることができました。

平泉さん:VRデバイスがもっと普及し、ユーザビリティも上がってきたら、こういったオンラインでの体験を、リアルに近い360度の世界の中で再構築するということになるんでしょうが、PCないしスマホのディスプレイという「四角形」を介した上での体験としては、今回のアプローチが最適解なんでしょうね。

ーなるほど。わかったようなわからないようなですが、では今回、オンラインイベントとして具体的にどのようなことを実現しましたか?

松村さん:はい、前回もご紹介したプラットフォームoViceの設計にあたっては、「四角形」の中にどう仮想のイベントスペースを再現するのか、その配置やユーザー導線設計にかなり試行錯誤を重ねました。

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またそこにプラスして、視聴覚にフルに訴えかけることでどうやって「四角形」の外を感じさせることができるのか、色々チューニングを重ねました。
oVice自体、オンライン上で相手に近づくと相手の話し声が聞こえるという、聴覚を使った擬似再現が1つの柱になっています。
デフォルトでは「無音」なので、まずは臨場感を高めるためにベースとなるBGMを載せました。
出展者のブースに近づくと、設置した各出展者のYoutube動画が立ち上がるなどして、音が聞こえてきます。そして次のブースに近づくと、次のブースの音が聞こえてきます。その辺り、BGMと、近くにあるブースの音と次のブースとの音の重なり具合やそれぞれの聞こえ方・ボリュームには結構気を使いましたね。

平泉さん:今回トライアルとして、ピッチバトルのステージの中央にTHETA という360°カメラを置いて、バトルのステージの真ん中から視聴者がカメラを動かして好きなアングルから、しかもステージの真ん中から視聴できるというテストも行いました。

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登壇者が立ち、視聴者が見るはずのステージ側から、逆に視聴者が周囲を見回せるという、これはオフラインイベントでは実現できっこない視点の獲得ですから、これはまた非常に面白い試みだったんじゃないかと思います。

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坂田さん:ちょっと余談になりますが、この画像にもあるステージ周りの球体、これ実はバランスボールなんですが、参加いただいた皆さん綺麗にちょこんとその椅子の上に座って視てくださってるんですよね。あ、ステージの周りに椅子がある、あじゃあそこに座るんだと思って自分のアイコンをそこまで移動させて、視聴する。
私たちが構築した擬似イベントスペースにおける虚構の「物語」を信じ、それを想像力を持って補完していくという、ああ、さすがホモ・サピエンス!って思い涙しましたね。

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ー涙まで流しますか!では最後に一言なにかあれば。

松村さん:えーと、そうですねー

(突如TC TOKYOセールス担当山田さんが駆け込む)

山田さん:昨日僕が保存したファイル、どこにあるかわかりますか?

一同:だからまた夢の中で保存しただけじゃないの!(何の話だかわからない方は前回エピソードをチェック、以降ループ)

TechCrunch Tokyo 2021 開催概要
開催日:2021年12月2日(木)、3日(金)
開催場所:オンライン
イベントページはこちら
アーカイブ限定チケットは、12/20(月)23:59まで
なお、英語のセッションには、日本語字幕がつきます。

*Boundless株式会社(バウンドレス)は、米国に本社を置くYahoo Inc.の日本法人です。


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