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琵琶湖をゆく~大垣~

※今回の話は第4話です。1話は↓です。



 豊橋駅を出発した電車の車内には僕以外に2人しかいない。パーソナルスペースをしっかりととることができる空間だ。

 都会の人は人と人の心の距離感は遠いが物理的な面では密着した生活を送っている。田舎の人は人と人の距離感が近いが、パーソナルスペースは広くとる。田舎から都会に出た身である僕からすると満員電車の密着具合にはうんざりさせられたものだ。いつかの選挙では満員電車をなくす、と公約に掲げた政治家もいたが2021年現在満員電車は続いている。

 時刻は12時を前にして、お昼時となってきた。鞄の中から六枚切りの食パンと蜂蜜をとりだした。

 驚かれるかもしれないがこれが今日のお昼ご飯だ。食パンというのは旅の食料としてとても優れている。なぜなら、パンというのは空気を抜くことで縮ませることができるからだ。しかも、縮んでも質量は変わらない。

 世に言う、質量保存の法則、である。

 いかに小さく、コンパクトに荷物をまとめるかが生死を分ける旅において、このパンのメリットは大きい。味付けも百均で売っている蜂蜜やケーキシロップのチューブで自由自在だ。

 蜂蜜は高カロリーで非常食としても優れている。登山家の中には定番であるチョコレートよりも蜂蜜を好む人もいる。もしも滑落して顎が砕けたとしても(そんな状態想像したくもないが)液体である蜂蜜ならば噛まずに摂取可能だからである。

 今回の旅はサイクリングロードが整備された場所で周りに助けを呼びやすい環境であるからそんな非常食を必要とする機会はないだろうがサイクリング中のハンガーノック(エネルギー不足で体が動かなくなること)対策にも十分役立ってくれる。

 
 窓の外は畑や田んぼが広がり、すっかり田舎風景になっている。中年のおじさん、高校生、おばちゃんなんかが入れ替わりながら電車に乗りこんでくるがやはりどこか東京の電車の乗り降りとは違うまったりとした、いい意味で田舎チックな雰囲気だ。



扉から入ってくる冷たい空気に(日中とはいえ東京よりも幾分も冷え込んでいる)僕は食パンを頬張りながら琵琶湖を感じ始めていた。


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