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【読書】日本純文学リベンジ その12 泉鏡花『外科室』
文語→森鴎外→共通点?
文語に再度チャレンジしようと考えて、森鴎外にしようか悩んで、結局今回は泉鏡花を手にしました。
ふと偶然に気づきましたが、共通して言えるのは、共に名前の漢字が3文字で構成されていますね。
漢字もシンプル(森、泉)→複雑(鴎、鏡)→シンプル(外、花)、であるということ。
さらによくよく考えると、本名も鏡太郎と林太郎で、不思議なアナロジーが存在します。
何か泉鏡花への影響があったのでしょうか、詳しい人に教えてもらいたい。
あとは、感覚的な話ではありますが、通好みの文豪であることも共通しているかもしれません。
そのため、この2人への憧れも強くなるのも必然的なんですが、残念ながら何度アタックしても挫折させられる文語体の作品があるということも共通しています。
しかし流石に今回は読み切りたいので、まずは短編にしようと表題作にたどり着きました。
『外科室』のあらすじと感想
「外科室」はとても話は短く、あっという間に読めます。外科室の一瞬の出来事を描いた短編です。
舞台も現代でこの短さなので、全く苦労なく読めて嬉しくなりました。
あらすじは以下のようなものです。
ある貴族の細君が手術を拒んでいる。隠し事がある女性は麻酔を嫌がる。
担当医は麻酔なしで手術をはじめる。女性は、あなただから!といって息を引き取る。
実は一目惚れした相手がその男だった。
さらにはその男もその女性に同時期に一目惚れしていた。男性も後を追って死を選ぶ。
という、いわゆる信じられない恋の話、なのです。
一目惚れは、文字通り一目惚れで、話したこともない、だれかもわからない、しかし恋をしていた、随分前に。でもその一瞬が全てだった。
なんか私が説明すると安っぽい恋愛映画の解説っぽくなるわけですが、何か尊い話のようにロマンチックに読めてしまうのは、泉鏡花の実力なのでしょう。
ただ小説の評価はさておき
あり得ないよ、と呟く僕はロマンを失ったおじさんなのかもしれません。
泉鏡花の評価
夏目漱石も川端康成も泉鏡花を褒め称えていましたし、文豪たちが評価する小説家というのが、泉鏡花の凄さだったりします。
泉鏡花の描く作品は、個性と自我に縛られた近代文学というより、とても幻想的で、中世的とも現代的とも評価可能だと思います。
そのあたりが通ぽさにつながっているのだな、と改めて今回感じました。
まだまだ泉鏡花へのリベンジは必要そうです。
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