#14 花びらのひっかけ問題①
前回までは、花びらに見えている部分が実は花全体、というパターンをお話してきました。
花をみるときには、注意しておかないとよくひっかかってしまいます。
では、写真の花、カラーの花びらはいったいどこにあるでしょうか?
カラーの花の白い部分は、実は花びらではなく、ガクです。真ん中の黄色の部分が花です。こういった花を包み込むようなガクの形は、仏像の背中側にある炎の彫刻に似ていることから、仏炎苞と呼ばれます。
カラーの花は、真ん中の黄色の棒状の部分に小さな花がたくさん集まっています。こういった柄のない花が密集する花の付き方を肉穂花序といいます。カラーの花では、肉穂花序の上部は雄花に、下部は雌花になっています。
この構造は理にかなっていて、雄花は他の個体に花粉を飛ばしやすいように上部にあり、雌花は飛んできた花粉が集まる下部についています。
つまり、カラーの花には、"花びら"にあたる部分はほとんど見えません。雄花と雌花は大きな苞によって守られているので、花弁は特に必要なかったのです。
花を構成する要素をひとつずつ分解して見てみると、一見何も考えていないように見える植物が、いかに"考えて"花を造っているかがみえてきます。
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