#714 アルバム論44|TRAIN-TRAIN / THE BLUE HEARTS(1988)
本日紹介するTRAIN-TRAINはメルダック3部作のラストを飾る1枚であり、名曲が多くブルーハーツファンに愛されている作品です。
初期衝動の1st、デビューを経験した2ndを経て、センスやスキルが磨かれ、バンドとして一番良い時期だったのではないかなと当時を知らないながら思っております。
TRAIN-TRAINとは?
前作「YOUNG AND PRETTY」からジャスト1年後にリリースされたこのアルバムは、これまで1アルバム=1シングルだったにも関わらず最終的には3枚のシングルがシングルカットされるくらい、メンバーにとっても充実したアルバムだったのではないでしょうか。
とにかくキャッチーでカッコいい曲が多く、解散直前までライブで演奏されたような曲もあったり、とにかくイケてるアルバムでした。
僕はこのアルバムは持ってなかったんですけど、サッカー部のキャプテンに借りて聞きまくってましたね。
歌詞カードもこれまでになかったイラストがついたりで、シャレオツでよかったですね。
TRAIN-TRAIN 渾身の全曲解説
1. TRAIN - TRAIN
リリースから30年以上の時が経ってもロックアンセムとして語り継がれる稀代の名曲ですね。
僕らの世代でこの曲を通らなかった人は存在しないでしょう。
本作はマーシーが作詞作曲した曲なんですが、改めて甲本ヒロトという才能と、真島昌利という才能が1つのバンドで共存したこのブルーハーツを奇跡に感じます。
もう最初から最後まで素晴らしいし、前に紹介している内容の繰り返しになるんですが、やはりこの曲は歌詞です。歌詞が本当に染みるんです。
もうほとんど全部の歌詞の引用になりますが、特に好きなのが下記です。
これは本当に世の無常さというか、現実を端的に表現した秀逸なリリックです。
そしてこれは尾崎豊がこれまで伝えてきたことを、
シンプルに吹き飛ばしたと識者が評するリリックですね。素晴らしい。
ここもかっこいいですね。
思わずカラオケで歌いたくなるパートですが、世の中そんなに悪くないんだぞという事をマーシーなりの言葉で伝えてくれる、名曲です。
この辺も素晴らしいですね。人生の素晴らしさが伝わります。
加速したり、駆け抜けていくときなどに永遠に使われるアンセムですね。
そしてこの曲の特筆すべきは白井さんのピアノですね。
ハイロウズにも通じるビューティフル・ピアノをこの曲で置換することができます。
後、アルバムバージョンは冒頭に電車の効果音があるんですが、これはなくていいですね笑
あとトリビュートで宇頭巻(UZMK)がこの曲をカヴァーしていたのは当時は全く琴線に触れなかったですが、今聞いても触れなかったですね笑
まぁ他の曲がコピーだったのに対して、攻めたアグレッシブさは評価ですが…
10-FEETのカヴァーはいい感じですね。こっちを聞きましょう笑
2. メリーゴーランド
この曲は多分ブルーハーツで唯一の、ヒロトとマーシーの共作ですね。
アルバムタイトルであり、シングルであり、メッセージ性が強くて存在感が強すぎる1曲目の次であり、なかなかやりにくかったでしょう笑
TRAIN(電車)に繋がり、乗り物に楽しく乗ろうぜという曲で、サビまで非常にポップでカジュアルで楽しいんですが、サビで急にテンポも曲調も変わって、ちょっと切ない感じになるという謎の曲です笑
3. 電光石火
このアルバムでかなり上位に好きな曲ですね。
TRAIN-TRAINの世界観に繋がる「電光石火の超特急」に関して歌った曲です。
その超特急は何もかもを吹き飛ばすパワーを持っており、さみしい夜が続いても、せつない朝を迎えても,、電光石火で駆け抜けるからみんな元気になれよ!という超ポジティブな曲です。
とにかくこの曲はメロディが素晴らしいですね。
Bメロの徐々に盛り上がってくる「出かけよう さぁ出かけよう」の部分からサビまでの流れがすごく奇麗で、メロウで染みる超名曲ですね。
ライブでも盛り上がった曲でしょう。
4. ミサイル
そして続くのがミサイルです。これも乗り物ではないものの、一定の速さで進んでいくものなので、繋がりを感じますね。
とにかく攻撃的、破壊的なタイトルであるミサイルを曲名とし、サビも「ミサイル」と連呼した曲なんですが、びっくりするくらいゆっくりした曲ですね笑
ちょっと箸休め的な曲です。
そしてこの曲との関連性は不明ですが、のちにハイロウズはミサイルマンという無敵のシングルでデビューします。
5. 僕の右手
この曲も大好きです。
このアルバムの中でも1~2を争う人気の曲ではないでしょうか。
思わず小兵二も口ずさむくらいの曲ですね。
とにかくメロディもすごくいいんですけど、この曲は歌詞を押したいですね。
昔からこの一説が大好きです。おそらく初めて聞いた時から、ずっとこのフレーズが心に残り続けていますね。
しっかりと断言できていることが素晴らしいですね。
この曲は実際に右手が無い?ヒロトの友人に捧げた曲とのことですが、こんなカッコいい曲に仕上げてくれて友人も嬉しかったでしょうね。
6. 無言電話のブルース
この曲は・・・よく分からない曲ですね笑
ストーカーという言葉がまだ生まれる前だったと思いますが・・・
7. 風船爆弾(バンバンバン)
この曲はこれまでのブルーハーツでは無かった、河ちゃんとヒロトの共作でして、とにかく楽しい曲ですね。
ライブでも盛り上がる感じの曲調でありながら、メロディラインも美しく、非常に良い感じの曲です。河ちゃんの代表曲と言っても過言ではないでしょう。
トリビュートでは氣志團がアコースティックでカヴァーしてましたが、それもいい感じでしたね。
8. ラブレター
冒頭のハミングから優しく、とにかくメロウで優しい曲ですね。
バラードにカテゴライズされそうですが、ボサノヴァ風でもあり、PVの通りハワイアンでもある、そんなカラフルな曲ですね。
中島も歌うくらいですが、この時期のろくでなしBLUESはマジでブルーハーツを押しまくってますね笑
とにかく愛する人に向けて手紙を書くという、淡い恋の曲ですね。
トリビュートでオイスカが歌っているんですけど、非常にいい感じです。
9. ながれもの
カウパンク調の楽しい曲ですね。思わず踊りたくなる曲です。
高校時代の量の1個上にちょっと嫌いな先輩がいたんですけど、その先輩が「ブルーハーツで一番いい歌詞はこれだよな」とこの曲を紹介され、それが凄い残っています。確かにその通りなのでちょっと悔しいという笑
このフレーズは素晴らしいですね。
10. ブルースをけとばせ
マーシーが歌う曲です。
ヒロトのブルースハーブと、マーシーの太い声がいい感じにフュージョンした骨太なロックンロール。
このフレーズが響きますね。
やりたくねえことやってる暇はないんですね。
11. 青空
初期ブルーハーツを代表するロックバラードですね。
この曲のベースラインは何気に結構好きです。
マーシーは冒頭のTRAIN-TRAINで「この世界はそんなに悪くない」という歌いましたが、それでも虐殺や不正、そして差別などはまだ蔓延っている世の中を嘆きつつ、そういうものが無い世界(青い空の下)に行きたいと、そこに向かうバスに乗りたいという、メッセージ性が込められた名曲です。
マーシーもソロで歌うくらい気に入っている曲で、アーティストのフォロワーも多いですね。
ハスキンのイッソンもこの曲が一番好きらしいですし、その縁もあってビークルと一緒にトリビュートで歌った青空は相当カッコよかったです。
そういえば僕は中学校時代にこの曲の歌詞を引用した作文を書いて、クラスの代表になったことがありました。最近CMでも使われてましたね。
時代を超えても語り継がれる、昭和を代表する名曲ですね。
12. お前を離さない
ラストは真っ直ぐなラブソングですね。
ベースからサックスなどが加わるイントロは相当カッコいいです。
ここまでド直球な歌詞はこれまでに珍しい歌詞で、好きな子に歌ってあげたい曲です。
その一方で、こんな感じのコミカルな感じな歌詞もあるのが良いですね。
そりゃ怒るよって話ですが笑
青空で終わるとちょっと重かったので、最後にサクッと軽快なラブソングで終わるというのがいいですね。
そしてこの曲が終わってからアウトロでも電車音が流れますが、これはこれでアリですね。
「TRAIN-TRAIN」のヒロトとマーシー
今作で2人作った曲はヒロト5曲、マーシー5曲、ヒロトとマーシーの共作が1曲、ヒロトと河ちゃんの共作が1曲です。
このアルバムは何といっても表題曲、そして青空を作ったマーシーの院p区とが強いので、このアルバムにおいては僕は「マーシー派」ですね。
これでヒロト1勝、マーシー2勝となりました。
そんな感じで次はレーベルを移してリリースし、オリコン初登場1位にもなったアルバム「BUST WASTE HIP」を紹介します。
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