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#704 アルバム論43|YOUNG AND PRETTY / THE BLUE HEARTS(1987)

書いていて楽しいアルバム論、前回のブルーハーツの1stに引き続き、今回は2nd「YOUNG AND PRETTY」を紹介しましょう。


YOUNG AND PRETTYとは?

衝撃の1st「THE BLUE HEARTS」のリリースからわずか半年後のリリース。
ファンはこの間隔の短さにメチャクチャ興奮したことでしょうが、前作同様、今作も半分以上がデビュー前の曲という事でこのような短期リリースを可能としたんですね。

とは言え、このアルバム用に作られた新曲もありまして、更に今回から佐久間正英プロデュースとなり、キーボードが入ったり、スカっぽい曲ができたり、サウンド面での変化も感じられる作品になっております。

僕も中古で買いまして、今も家にありますね。
かなり聞いた1枚です。


YOUNG AND PRETTY 歌詞カード

みんな若いですね。イケメンです。


当時のCDはシンプルでした。


歌詞カードもシンプル!シンプルイズベストですね。


このロゴは今見てもカッコいいですよね。


マーシーは本当に変わらないですね(ヒロトもですが)


YOUNG AND PRETTY 全曲解説

1. キスして欲しい(トゥー・トゥー・トゥー)

このアルバム唯一のシングル曲ですが、この曲の何が凄いって、コード展開が全て一緒なんですね(ミッシェルのダニーゴーも同様)
この手の曲はシンプルすぎて多くのベーシストとしては弾き応えが無い曲だったりするんですが、僕は結構好きだったりします。
とにかくそんな感じでシンプルなロックンロールで、とにかく「キスして欲しい」と歌い続けるラブソングですね。河ちゃんの「Hu-」も〇です。

トリビュートでPOTSHOTカヴァーしているんですが、らしくて非常に良いですね。Goodカヴァーの好例です。


2. ロクデナシ2(ギター弾きに部屋は無し)

この曲はメチャクチャ好きですね。最高に大好きです。
クソシンプルでクソカッコいい、最高のロックンロールです。初めて聞いた時はビビりました。
演奏がシンプルで好きですし、Aメロは最早メロコアですし、サビもシンプルでいい。そして途中の「Oi」も叫びごたえもあるし、そして何と言っても歌詞が最高です。2番の歌詞もいいですけど、やっぱ3番の歌詞が熱い。

どこかの偉い人 テレビで喋ってる
「今の若い人には個性が無さ過ぎる」
僕等はそれを見て 一同大笑い
個性があればあるで抑えつけるくせに

マジで令和の今聞いてもカッコよすぎますね。リスペクト!

そしてろくでなしBLUESでもサビを使われてます!
ろくでなしに貸す部屋はねェ!



3. スクラップ

この曲はベースから入るんですけど、イントロから最後までベースがカッコいいです。サビとかもブリブリ動いて◎ですね。
あとはイントロとかのキーボード(ですかね?)が洒落ててカッコいいです。
1stに収録されてもおかしくない、初期衝動バリバリの曲ですね。
サビの最後の「Oi!」とかもさぞ、当時のライブで盛り上がった事でしょう。


4. ロクデナシ

僕がバンド論でブルーハーツについて紹介した際に、この曲が最も好きであると紹介しましたが、やはりブルーハーツのベストソングはこの曲ですね。
もう最初から最後まですべてがカッコいいです。
BECKでもチバくんが歌っていたのも非常に良かったですね。

この曲はやはり歌詞ですね。歌詞が染みまくります。

何故か歌詞カードに載っていないここも良いのですが・・・

生まれたからには生きてやる
生まれたからには生きてやる(Oi!)

中でも特筆すべきはここでしょう。この歌詞が昔から本当に大好きです。

誰かのサイズに合わせて 自分を変えることはない
自分を殺すことはない ありのままでいいじゃないか

永遠に語り継がれる名曲ですね。


5. ロマンチック

「シャララ・・・」が優しいバラードです。
ヒロトが作った曲だというのが分かる、曲名通りロマンチックな曲です。,
ロクデナシⅡ~スクラップ~ロクデナシという劣等生ソングが続いて、ちょっと落ちてきた中でこうしたロマンチックな曲が続く展開が秀逸ですね。


6. ラインを越えて

初めて解説する初のマーシーがヴォーカルの曲ですね。
マーシーのしゃがれ声は唯一無二で、独自の世界観を持っており、以降のブルーハーツやソロ、そして後のハイロウズでも多くの曲で聞くことができます。

この曲は「一線を越える」という意味ですね。
歌詞が哲学的で深く、これをまだ25歳くらいで書くのが秀逸。
当時のマーシーにとって、下記の歌詞のように映っていたんですね。

満員電車の中 くたびれた顔をして 
夕刊フジを読みながら 老いぼれてくのはごめんだ!


7. チューインガムをかみながら

この曲からレストランまでは、このアルバムを買うまで聞いた事が無い曲でした。
なので初めてこの曲を聞いた時はなかなか衝撃でしたね。
初期衝動バリバリで、歌詞も若く、粗い感じが秀逸です。
あまりブルーハーツのファン以外にはなじみのない曲だと思いますが、なかなかの名曲ですね。

やはりここの韻を踏んだ歌詞が好きです。

セックス下手でもいいだろう?
ルックス変でもいいだろう?
ヴィックスなめてりゃいいだろう?
ソックス穴があいてるよ


8. 遠くまで

今回のアルバムの制作にあたり作られた新曲との事。
これまでに無い感じのリズムであり、ヒロトが歌う曲なのにブルースハープを弾いたり、サビのベースラインも独特で新しい感じの曲ですね。
ただ、そんな印象に残っていないっす泣


9. 星をください

この曲も隠れた名曲です。
過去にkjが何かの雑誌でこの曲が好きと言っていた記憶があります(モンパチの清作も言っていたような)
シンプルな曲なんですけど、哀愁があり、染みる曲ですね。
間奏のマーシーのギターソロも泣けます。


10. レストラン

これは昔からある曲みたいなんですが、よく分からない曲ですね笑
ブルーハーツでも数少ないスカ調の曲で、歌詞は「レストランに行きたい」と連呼するピースな曲におもいつつ、途中から歌詞がとんでもない展開になります。

明日保健所が来たら 捨てられちゃうよね穆たち

明日どこかの交差点で ひき逃げされちゃうかも

怖いですね笑
そりゃレストランでも行かないとやってられないでしょう笑


11. 英雄にあこがれて

この曲も非常に秀逸です。
イントロからAメロに繋がるベースラインがカッコいい曲でして、とにかくメッセージ性の強い曲ですね。

この曲の思い出が一番あるのはろくでなしBLUES38巻ですね。
ヒロトが前田さんという"英雄"にずっと憧れていて、そんな憧れの前田さんに認められるためには戦うしか無いと思い、前田さんと戦うんですけど、その際に最初から最後までこの曲の歌詞が引用されるという演出。
流石森田先生です。


12. チェインギャング

もともとは1stに収録を予定していた曲だったんですが、歌詞の「キリストを殺したものは そんな僕の罪のせいだ」という歌詞が疑問視され、1stの収録が見送られたんですが、このリスクに備えて石橋を渡る判断は賢明ですね。
Mrs. Green Appleの周りのスタッフにも見習って欲しいですね笑

そんな感じの本曲なんですが、6曲目の「ラインを越えて」同様マーシーのヴォーカルの印象的な曲です。この曲のフォロワーは多く、SMAPの中居くんも相当思い入れは強い模様。
とにかく哀愁漂い、メロウな曲ですね。
そして特筆すべきは歌詞ですが、全部良いので下記を見てください。

この曲もトリビュートで元ビークルの日高を中心に結成されたバンド「THE STARBEMS」でカヴァーしてるんですが、このカヴァーも最高にカッコいいです。やっぱヒダカは分かってますね。

そして改めてこの曲と、ブルーハーツのテーマが1stに収録されていたらもっと恐ろしいモンスターアルバムになっていたんだなと思ってしまいますね。


「YOUNG AND PRETTY」のヒロトとマーシー

今作で2人作った曲はヒロト5曲、マーシー7曲です。

ヒロト作
キスして欲しい、ロマンチック、星をください、レストラン、英雄にあこがれて

マーシー作
ロクデナシⅡ、スクラップ、ロクデナシ、ラインを越えて、チューインガムをかみながら、遠くまで、チェインギャング

やはりこのアルバムはマーシーが歌った2曲と、ロクデナシシリーズ2曲のインパクトが相当強いので、このアルバムにおいては僕は「マーシー派」ですね。
これで1勝1敗です。


まとめ

そんな感じでメルダック3部作と言われたTRAIN-TRAINを次は紹介します。次回も長くなりそうですね笑

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