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#694 アルバム論42|THE BLUE HEARTS / THE BLUE HEARTS(1987)

アルバム論、長かったユニコーン編を終えて、本日よりブルーハーツ編に突入したいと思います。


ブルーハーツとの出会い

僕がブルーハーツを知ったのは、5個上で僕にサッカーや漫画、音楽を教えてくれた従兄弟の影響です(もしくは姉の影響)
とにかくそのキャッチーなメロディと、強い言葉。小学校低学年ながらに一度聴いたら忘れない魔力があり、自然と認知しておりました。

で、実際にハマり出すのは小学校高学年~中学位と記憶しています。
僕が小学6年生の頃にブルーハーツは解散し、ハイロウズが始動したんですけど、当時ハイロウズは小学生には難解だったので、僕はブルーハーツから始めました。


「THE BLUE HEARTS」の衝撃

このアルバムは中学時代に中古で買いましたが、サッカー部のキャプテンに貸して返ってきてないです泣
てなわけでリリースから10年後位に聞いたんで、その時の初期衝動と言うかを同じレベルでは体験できていないのですが、当時のキッズ達は「このアルバムを聞いて衝撃を受けた」と述懐していますね。

スピッツのマサムネはこのアルバムを聞いて、「こんなバンドがいるなら、もう俺たちは音楽をやっても意味が無い」と当時組んでたバンドを解散した位だったらしいので、そのインパクトたるや・・・という感じですね。

ハイスタのken yokoyamaも相当衝撃を受けたと語っておりますし、今の45~55歳位の人達にはマジでエグかったと思われます。

全12曲が33分で終わるんですけど、1曲目の「未来は僕等の手の中」から、12曲目の「リンダ リンダ」までほとばしる初期衝動がエグいですね。
攻撃的なナンバーが多く、終盤までライブで演奏され続けた曲も多いですし、トリビュートなどでカヴァーされるのもこのアルバムからの曲が圧倒的に多く、ファンからも愛されている曲が多いアルバムである事が頷けます。
恐らく、ブルーハーツで一番愛されているアルバムでしょう。


「THE BLUE HEARTS」渾身の全曲レビュー

1. 未来は僕等の手の中

最高にテンション上がる1曲目ですね。
元々は7曲目(レコードB面の1曲目)に収録予定だったんですが、「ブルーハーツのテーマ」が収録NGとなったので繰り上げて1曲目になりました。
ただ、この曲ほど1曲目に相応しい曲は無いと思ってます。
もうタイトルの時点でカッコいいですし、カイジでも引用されてましたね。

イントロから激しく、攻撃的で、最初から最後までパンクな曲ですね。
このアルバムで一番パンクな曲は僕はこの曲と思っています。

そしてこの辺の歌詞がたまらなくカッコいいですね。

生きてることが大好きで 意味もなくコーフンしてる
一度にすべてを望んで マッハ50で駆け抜ける
くだらない世の中だ ションベンかけてやろう
打ちのめされる前に 僕等打ちのめしてやろう 僕等打ちのめしてやろう

未来は僕等の手の中!

35年前の曲とは思えない位、意味もなくコーフンする曲ですね。


2. 終わらない歌

この曲も大好きですね。シンプルで力強い。
「ダメな世界で俺たちはクズだけど、いつまでも世界は終わらないから、楽しんでいこう」と僕は解釈してます。
色々な節目で聞きたくなる、そんな名曲です。

この曲の好きな使われ方はクローズの続編である「WORST」ですね。
主人公の花達が鈴蘭高校を卒業するシーンで、仰げば尊し的な感じでこの曲が流れるんですが、この歌詞はまさにクズと呼ばれた鈴蘭の生徒の為にあるような歌詞なので、そんなアンセムであるこの曲が流れる演出は流石でした。
(「・・・・」の歌詞の所はそのまま載せて欲しかったですが…)

このイントロとかも未だにギターがあったら弾いてしまいたくなるくらい弾き応えのあるイントロです。


3. NO NO NO

畳みかけるように攻撃的なナンバーが続きます。
この曲NO NO NOは何気に川ちゃんのベースが結構好みだったりする佳曲なんですけど、やはり盛り上がるのはサビですね。
「ノーノノーノ―ノーノノー」でシンガロングできる、分かりやすい曲です。

この曲は一番初めに出たブルーハーツのトリビュート(良いトリビュート)で、シャカゾンビがカヴァーしてるんですけど、結構好きですね。


4. パンク・ロック

この曲のインパクトもなかなかでした。
「パンク・ロック」というタイトルでありながら激しくなくて、スーパーミドルテンポ。解釈によってはバラードとも言えるでしょう。
そして何と言っても歌詞ですね。

僕 パンクロックが好きだ
中途ハンパな気持ちじゃなくて
ああ やさしいから好きなんだ
僕 パンクロックが好きだ

凄い歌詞ですよね。
パンクロックを「優しい」を定義したのはヒロトが世界で初めてでしょう。
ヒロトにとってはピストルズとかクラッシュは優しかったんでしょうね。


5. 街

この曲もいいですね。
このアルバムが濃すぎるのでちょっと影薄めですが、ストレートなメッセージが響く名曲で、歌詞が結構熱かったりします。
ただのエイトビートじゃなくて、若干リズムがある感じの曲ですね。
後期のアルバムだったら余裕でエースになれる曲ですね。


6. 少年の詩

そしてこの曲は大好きです。
このアルバムで1曲選べと言われたら、この曲をセレクトする可能性が高いですね。
まだブルーハーツの名前も存在も知らない小学低学年の時、従兄弟とか姉が聞いていたこの曲がメッチャ刺さって、メッチャ印象に残っていました。

やっぱ展開が凄く好きですね。
ギターだけで始まる導入の部分然り、「ドアを開けても~」辺りのベースラインも好きですし、「DU-DU-DU-DU」のヒロトとマーシーのハモリとかも好きですし、最後の「そしてナイフを持って立ってた」も好きですね。最初から最後まで全部好きですね。

そして、この曲の歌詞で一番好きなのは下記かも知れません。

僕やっぱりゆうきが足りない 「I LOVE YOU」が言えない

多くのフォロワーを生んだ曲ですね。


7. 爆弾が落っこちる時

前述の通り、元々未来は僕等の手の中がここに入る予定だったんですが、繰り上がってこの曲がB面1曲目になりました。
とにかくこの曲はシンプル極まりなく、That's マーシーって感じの曲でして、まぁ何が言いたいかというと「要らないものが多すぎる」って感じですね。


8. 世界のまん中

このアルバムの隠れてもないですが、名曲ですね。
イノマ―が過去のベストアルバムのライナーノーツでこの曲を褒めていた記憶があります。
収録できなかった「ブルーハーツのテーマ」の代わりと思えないくらいの存在感を持った曲で、僕が一番好きなのはライブアルバム「LIVE ALL SOLD OUT」に収録されているバージョンですね。

生きるという事に 命をかけてみたい

これもシンプルですけど凄く強い歌詞ですね。


9. 裸の王様

とにかくパワーがありまくる曲が多いこのアルバムでは一番影が薄い感じの曲ですが、シンプルでいい感じの曲です。
Aメロの「どうでもいい事」のマーシーのギターとか、Aメロが終わった後のブリッジのイントロと火、何気に演奏が結構凝っているので、実際にバンドで演奏したら楽しい感じの曲ですね。


10. ダンス・ナンバー

この曲も好きです。
僕が過去にブルーハーツのライブをやりたいと思って後輩達に無理やりやらせようとした時、この曲はライブでやりたいと思って迷わずリストに入れましたね。Aメロの所を律儀にベースで弾いたら相当しんどかったりするんですが・・・
とにかくブルーハーツで一番ハイスピードな曲かも知れないですね。
Oiコールで盛り上がる曲です。


11. 君のため

そしてこの曲も「チェインギャング」が諸般の事情で収録できなかったことでピンチヒッターとして収録された曲ですが、このアルバムで唯一のバラードですね。
メチャクチャ綺麗な曲で、この位置がベストですね。
途中の「好きです」の語りは加山雄三チックで非常に秀逸。


そして松ちゃんが泣きながら歌うこのバージョンも好きです。


12. リンダ リンダ

そしてラストはこの曲ですね。
個人的にはアカペラで始まり、ギターソロがあるシングルバージョンの方が好きだったりするんですが、メンバーもオーディエンスもアルバムバージョンが好きみたいなので、こちらの「アルバムバージョン=リンダリンダ」という印象が強いですね。
とにかく色々な人たちの思い出になっている曲で、ろくでなしBLUESの13巻でこの曲がまるまる使われたりしてます。

キャッチーな歌詞、とにかく暴れ狂えるサビなど、魅力はクソほどあるんですけど、とにかく歌詞ですね。歌詞がやはり秀逸です。

ドブネズミみたいに美しくなりたい
写真には写らない美しさがあるから

もしも僕がいつか君と出会い話し合うなら
そんな時はどうか愛の意味を知って下さい

この辺も素晴らしいんですが、やはり一番好きなのは下記ですね。

愛じゃなくても恋じゃなくても君を離しはしない
けして負けない強い力を僕は1つだけ持つ

今なお色褪せない名曲ですね。



「THE BLUE HEARTS」のヒロトとマーシー

特に意味もなく、ヒロトとマーシーという偉大なコンビが、どんな曲を作り合ったかを分析してみたいと思います。
今作で2人作った曲はヒロト6曲、マーシー6曲とちょうど半々です、

ヒロト作
NO NO NO、パンク・ロック、街、少年の詩、世界のまん中、リンダリンダ

マーシー作
未来は僕等の手の中、終わらない歌、爆弾が落っこちる時、裸の王様、ダンス・ナンバー、君のため

「君のため」はずっとヒロトと思ってましたがマーシーだったんですね…
やはり個性がなんとなく出てますね。

そして強いて、このアルバムにおいて自分がどっち派かを明言したいと思いますが、このアルバムはかなり難しいですが…ヒロト曲の方が思い入れはあるので、ヒロト派とさせていただきます!


まとめ

そんな感じで1stから結構エキサイトしてしまいましたが、とにかくマジで名盤という事ですね。
今なお愛される本アルバムを改めてリスペクトです。

次回は2ndの「YOUNG AND PRETTY(若くて可愛い)」を紹介します。

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