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毎日音楽だけしてたら音楽が出来なくなった話

三年通った音楽学校を出てすぐ、楽器店と専門学校系列のボーカルスクールでボーカル講師として働きました。

学校に入る時には、音楽の世界でプロになりたい!そのために学校に行く!と強い決意で入学したけれど、"音楽の世界のプロ" がどういうものなのかも、学校に入ったからって、なれるようなもんじゃないことも、その時には何もわかってませんでした。

学校にいるうちに見つけた、音楽の世界のプロとしての働き方は、プレイヤーか講師。(実際にはそれ以外にも、ありとあらゆる働き方があるけど、当時の自分が出来ることで考えられたのはこの2つ)

若かったわたしは、"音楽以外の事をするのはカッコ悪い。何としても、音楽でお金を稼ぎたい。" と意気込んでいて、

毎日音楽だけしておきたい。そのためには、歌う仕事だけでは足りない。じゃあ先生になろう。と、ちょうど募集のあった楽器店の試験を受けて、無事合格。

卒業して間もなく、生徒からいきなり先生になって、さーここからが1番頑張って練習したし、勉強もしました。笑

例えば、生徒さんの歌いやすいキーを探して、その場ですぐにキーを替えて伴奏するとか。当たり前に出来ないとダメなんですけど、

実は学生の頃は、ピアノで弾き語りなんてほとんどやった事なくて、自分の歌なら決まったキーでしか弾かないし。本当はもー、しどろもどろで、でも先生って言われる以上は出来ませんとは言えず。笑 

じゃあ、半音下げてみましょうかー?なんて、涼しい顔で言いながらも、心臓ばくばく。血眼になって楽譜とにらめっこして、頭フル回転で、震える手で伴奏。

楽器店の新店オープンと併せて、都会の店舗の 辞めることになった先生のレッスンも引き継ぐことになったので、スタート時からいきなり、たくさんのクラスを持たせてもらうことになりました。

始めはもうさっきの感じで、毎回生きた心地がしないながらも、必要に迫られて、知識や技術を一気に詰め込んで、それをすぐアウトプットできる場が、しかもたくさんある環境。

この当時の経験はめちゃくちゃ役に立っていて、今もそのまま、仕事に生きています。

あと、楽器店で学んだことは、先生って人間対人間の仕事だな、ということ。後に、ここを掘り下げていくことになります。

学生の時から続けていた演奏活動もそのまま継続していて、音楽教室の仕事が終わったらその足でライブバーに行って歌ったり、教室が休みの日にはブライダル演奏やイベント出演の仕事もしていて、土日も関係なく、毎日朝から晩までフル稼働でした。

毎日音楽だけして、音楽でご飯を食べて行くことがプロだと思っていて、それに憧れて、実際そうする事ができるようになって、

夢が叶った!やったー!となるはずが‥‥

仕事でしなければいけない "音楽" に追われて、自分のやりたい"音楽"からはどんどん離れて行ってしまう現実。

もちろん、音楽が好きで、その好きなものに触れて、教えたり演奏したりして相手が喜んでくれる仕事は楽しい。やりがいもある。でも、自分が求めていたその "音楽の世界" と目の前にある音楽の世界は、同じじゃなかった。

そう気がついた時には、

仕事=音楽であるがゆえに、身動きが取れなくなってました。

仕事になる前は、何も考えなかったけど、自分にとっての音楽は、自分の内側から出るもので、自分自身の感情や、伝えたい想いを表現をするための手段=音楽 だった。

一方仕事になる音楽は、外側から受けるもので、求められることを返すもの。

教える仕事は自己表現とはもちろん違うし、

依頼演奏は、歌を歌うし自分を全く出さないわけではないにしても、言い方悪いけど歌いたくもない曲を、自分が好きじゃない歌い方でも、場の雰囲気に合わせて歌えることが仕事。歌ってるけど歌ってないような、不思議な感覚。

「あーただただ、毎日音楽が出来ればいい、だからそれを仕事にしよう。なんて、甘かったな。」と日々思いながら暮らしてました。

そう思いながらも、先生の仕事のほうは、やっていくほどにどんどん面白くもなってきていて、レッスンが増えていくのが嬉しくもあり。

でもやっぱり、わたしがやりたい音楽は出来てない!歌えてない!のストレスも増えていって、

音楽をやればやるほど音楽が出来ない、みたいな。楽しいんだか楽しくないんだか、そんなわけのわからないジレンマに苦しみ始めた頃の、妊娠出産。

楽器店でのレッスンは通うのに数時間かかる遠方の教室もあったり、時間帯が夕方〜夜9時10時までだったり、子どもが生まれたら続けるのは無理だな、と思い、なんやかんや臨月まで働いて、23歳で退職。

演奏の仕事は、悪阻で休んだのをキッカケに、落ち着く頃にはお腹も大きくなって、そのまま辞めてしまい、

ここでなんと、一旦専業主婦になります。笑

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