なぜ日本が他国攻撃能力を持たされるのか

日本政府は、日本の防衛費を倍増し、自衛隊に他国攻撃能力を持たせるという方針を、国会さえ開かずに決めようとしており、そのために増税するということです。
もちろん増税だけではなく、国債を発行することも考えられますし、福祉や教育などの予算にもしわ寄せが来るのは間違いありません。
国力を削って軍事力を強化するということです。
こんな無茶苦茶な軍拡を国民が吞むはずもないため、国会を開かずに決めてしまうという、およそ民主主義国家ではありえないことをしています。いくら自民党でも、これが無茶苦茶であることは自覚しているはずですが、安倍晋三以来のでたらめな国政運営に慣らされた国民やマスメディアが、民主主義を思い出さないうちに、とにかく決めてしまおうというわけです。独裁国家です。

アメリカに言われたから軍拡

こんなやり方をするからには、もちろん裏の理由があって、いつものように「アメリカに命令されたから」です。もともとNATO諸国ではGDP比2%を目標に設定されていましたが、これに達しない国もあったり、トランプ大統領は4%への引き上げを要求したりしていました。
この軍拡要求は日本にも波及し、岸田首相がNATOの会合にのこのこ顔を出したり、バイデン大統領との会談などで要求されたりした結果、こういうとんでもないことになっているのです。
要するに、国民がどんなに苦しもうと、少なくとも自民党政権である限りは、アメリカから言われたとおりの軍拡をしなければいけないのが日本なのです。ほんとうに情けない政府だと思います。
その軍拡を正当化するために、尖閣諸島がどうだとか、北朝鮮のミサイル発射だとか、むやみに危機感を煽る発表を、日本政府はメディアを通じて繰り返してきたのです。その結果が大軍拡と増税による、ますますの日本の国力衰退です。
しかし、アメリカはなぜ日本に軍拡を求めるのか。

そもそもアメリカや日本と台湾の関係は

中国の台湾武力統一にアメリカは軍事介入するかどうか、という問題がありますが、これにアメリカは「曖昧戦略」を採っています。もともとアメリカは、中国の国共内戦に敗れた蒋介石を支援していましたが、その旗色が悪くなってくると、ソ連と中国の間を引き離す狙いもあって、中国に接近していきます。
まず1971年には、国連で台湾が中国としての代表権を失い、共産党政府が中国を代表する唯一の政府となります。1972年にアメリカはとうとう米中共同宣言を出し、事実上の国交正常化が謳われます。
これは日本にとっても寝耳に水でした。アジアの重大問題である対中関係に関し、同盟国アメリカが日本政府との調整もないまま、大転換を行ったのです。日本がまともな国ならアメリカに対して激怒するのですが、アメリカは日本を飼い犬くらいにしか思っていませんし、自民党政府は自分が飼い犬であることを理解しているので、すぐに後を追って中国と国交を結んだのです。
こうして、日米両国は、台湾ではなく中華人民共和国を唯一の中国である、と明言するに至ったのです。

アメリカは台湾有事にどう対処するのか

では、アメリカは中国による台湾の武力統一を認めるか、というと、もちろんそうではありません。アメリカも中華人民共和国を承認している以上、台湾を国家承認することはできませんが、限定的ながら武器売却などで台湾を軍事的に支援し続けているし、中国が台湾周辺で軍事行動を起こせば、必ずアメリカ軍が牽制の動きを見せてきました。
しかし、ほんとうに台湾進攻が起きてしまったら、アメリカは本当に軍事行動を起こすのか。
これに関してアメリカは態度を曖昧にする戦略をとっていて、バイデン大統領が「台湾を軍事支援する」と言うと、そのたびにアメリカ政府が「これまでの方針(曖昧)に変更はない」と火消しに走っています。
しかし、2022年現在のパワーバランスを考えると、中国が台湾へ軍事進攻した場合、アメリカにもできることは限られる、というのが実情です。その際は、沖縄の米軍基地、ひいては日本の国土にも危険が及ぶでしょう。
また、台湾への軍事侵攻は、中国にとっても非現実的な選択肢です。仮にアメリカの介入がなかったとしても、短期の軍事作戦だけで台湾を掌握することはできず、長期にわたる抵抗や国際的な制裁に晒されるため、中国が築いた経済力などの国際的な地位も揺らいでしまうからです。
中国国民もそんなことは望んでおらず、中国共産党指導層への支持を危うくしてしまいます。これは習近平らが最も恐れていることです。

アメリカの意図は何なのか

それでもアメリカは、日本に対して度重なる軍拡の要求を行い、実際に日本の防衛費はずっとうなぎ上りです。その中で何が行われたのかを見ると、アメリカの意図が見えてくると思います。
まず、アメリカから軍拡要求があるにもかかわらず、日本政府はF-2戦闘機(対艦攻撃機)の調達中止を2004年に決定します。もともと130機(または141機)生産予定だったのを、94機で打ち切ったのです。もし「中国の侵略」とか「離島防衛」とか言うのであれば、F-2戦闘機を打ち切るのはおかしいのです。防衛省は、F-2は発展性がないとか言いましたけど、もともと発展性に富んだ国内開発を、アメリカの横やりで小型単発のF-16改造にしたので仕方がないことですし、それは調達中断の理由になりません。おかしいです。
実は、これには本当の理由がありました。このときのタイミングで、日本はアメリカのBMD(弾道ミサイル防衛)研究開発に(毎年1000億~2000億の)予算を出すことになったのです。
アメリカは、アメリカとの直接対峙を宣言している北朝鮮が、弾道ミサイル開発と核開発を急速に進めていることに脅威を感じ、その迎撃を日本の役割の第一に据えたのです。
北朝鮮の弾道ミサイルは、グアムやハワイを射程に収めつつあり、アメリカ本土に達するのは時間の問題でした。そうなると、米韓が北朝鮮に軍事行動を起こすか、北朝鮮の体制が崩壊する場合、断末魔の核ミサイルが米本土に飛んでくる可能性が高いのです。これはアメリカにとって非常に怖いのです。
このために日本は、弾道弾を迎撃するイージス・アショア・システムを積んだイージス・システム搭載艦(従来のイージス艦とは違い、弾道ミサイル防衛用)を建艦し、陸上配備型イージス・アショアの配備も計画します。
陸上配備イージス・アショアは、秋田市と山口県萩に配備が計画されました。なぜ秋田と山口なのかという疑問に、日本政府は答えませんでしたが、これはそれぞれハワイおよびグアムの米軍基地に向かうミサイル迎撃用で、日本国土の防衛には関係ないから言えないんです。
結局、陸上配備型イージス・アショアは、肝心のアメリカ製システムが完成せず、ポシャりました。(お金はアメリカに2000億円くらい取られました)

陸上型イージス・アショア計画(ポシャった)

あのねえ、なんでアメリカを守るために日本人の税金を使わされるわけ?

(まだつづくよ)

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