見出し画像

勉強になる「日本転生」苫米地英人

今日は早朝より部活指導。中学生相手に声を張り上げたあとに、ひっそりと古本屋を開けました。でも、土曜日だというのに古本屋は静かです。閉店2時間前からやっとお客さんがポツリ、ポツリ。なかなかお店に活気が戻りません。

そんな土曜日に懐かしい著者の本を読みました。それは苫米地英人氏が書いた「日本転生」という本でした。現在、日本が抱える人口減少や高齢化、インフラの老朽化などの深刻な諸問題に対し、著者が大胆な解決策を提案する本です。非常に勉強になる本でした。ただ、なんというか・・・モヤモヤする部分もあったので、ちょっと評価が難しい。

店主が評価が難しいと感じたのは、ご自分で開発されたアプリだったり、過去の研究成果を、本文中にいきなり強めに差し込んでくるところです。そして、提言というのもなんというか・・・上から目線な感じ?ただ、頭がいい人というのは、そういうものかなーとも思います。

最初にこの本が面白いと思ったのはP23ページからの記述です。日本が欧米を評価しすぎるという問題は、こんな時代から始まっているという指摘です。

私たちはここで少し勘違いさせられています。ヨーロッパ人たちがアジアやアメリカ、アフリカを征服したのは彼らのほうが優れた民族だったから、と思われている点です。
実は大航海時代と呼ばれる1400年~1600年代は、文化的に優れていたのはアジアやアメリカ、アフリカの方でした。(略)。インド洋周辺の港は人とモノにあふれ、活気に満ちていました。
そこに突然、見慣れない船に乗って現れたのがヨーロッパ人でした。最初、彼らは港の人々と交易を試みたのですが、大失敗します。なぜなら、彼らが持って来た品物はあまりにも貧相だったからです。(略)。ところが、バスコ・ダ・ガマの船団は彼らに艦砲射撃を行い、物資を強奪するという方法を選んだのです。ヨーロッパの文化レベルは低くても、武器だけは進んでいたのです。長年戦争を繰り広げていたために、鉄砲と大砲の技術だけは発展していたのでした。P23-24

「日本転生」

次に国を動かす民主主義についての指摘です。日本人の多くは民主主義を多数決のことだと考えている人がいるけど、それは違うよという文脈で紹介された話です。(この他にも世襲議員への厳しい指摘あり)

そもそも民主主義というのは国民全員が参加して納得するまで議論を続けるというものです。全員参加が基本で、それを直接民主主義といいます。
しかし、全員の人数が多くなってしまうと物理的に議論が無理になってしまう場合あるので、そのときは、代表者を決めて議論してもらう方法をとります。それが間接民主主義になります。

「日本転生」

次に、日本の政策は誰がつくっているかという話で紹介された話です。首相官邸には政治家でもなく、官僚でもなく、第三のグループが存在する。そして彼らが日本を支配し、狂わせていると著者は指摘しています。

官邸には3000人のスタッフがおり、半分の1500人が各官庁から出向した官僚たちです。(略)。問題は、もう半分の1500人たちです。この1500人は大企業や外資系企業からの出向組で、いわゆるスーパーエリートたちです。知識もIQも政治家はもちろん、官僚たちと比べても遜色なく、なかには上をいく人々まで多々いるため、官僚たちですら太刀打ちできない状況が出現してしまっているのです。実際の日本国の方向性というのは彼ら1500人によって決まってしまっているのです。(略)
官邸にいる民間企業の出向組は国益などこれっぽっちも考えません。企業の利益だけを考えて行動しますから、政治家たちに自社製品、自社システムの良さだけをアピールするのです。P114-115

「日本転生」

そして、まだまだ興味深い文章は尽きないのですが、最後に店主が特別紹介したい文章をがありましたので、それを紹介して今日のブログを終わります。

文学における基礎学問とは歴史的に重要な書き者を読むことです。聖書や成句スピアを読むことであって、シェイクスピアを研究することではありません。基礎学問の基本は本を読むことなのです。(略)。手当たり次第、古典と言われるもの、名著と言われるものをよむのが最初です。(略)。まずは読んで味わってください。それが先人の残した抽象度の高い思考をなぞる訓練になるのです。(略)。空手の型を学ぶように、先人の残した抽象度の高い思考をなぞるのがリベラルアーツということなのです。P167

「日本転生」

というわけで、読書、頑張りましょう!古本屋もぜひご利用ください!

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?