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歴史の英断から学ぶ“決断”のプロセスと不確かな未来に対応するために必要なこと/『世界が動いた「決断」の物語 新・人類進化史』

歴史の話としても、重要な決断に常に迫られるビジネスの話としても、日常の些細な決断に通じる人生の話としても、学びの多い本を紹介します。
内容がそもそも非常に面白く、わくわくするので読みやすく、しかも感動すらできるような一冊です。

過去にベストセラー9冊を出しているアメリカの人気科学著者であり、メディア理論家のスティーブン・ジョンソン氏がまとめた『新・人類進化史』シリーズの第3弾となります。


シリーズはこちら

第一弾

『世界を変えた6つの「気晴らし」の物語【新・人類進化史】』



第二弾
『世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史』



『世界が動いた「決断」の物語 新・人類進化史』あらすじ

人生・組織・文明の進路を大きく変えるような生涯に一度あるかないかという重要な意思決定のモデルとなる、世界の社会的歴史を形作ってきた「選択肢」を分析・解説。「英断」のメカニズムを解き明かす。


人類史に残る歴史的な物語から意思決定、決断を行うにはどんなプロセスを踏む必要があるのかということを丁寧に物語を通じて学ぶことができる。


ウサマ・ビンラディン暗殺、米独立戦争におけるマンハッタン攻防、宇宙人へのメッセージ、コンピューターが人類の知能を超えるシンギュラリティの話、と壮大な話を中心に人類の決断の歴史を紐解いていく。

本書の冒頭の物語は、結婚に悩むダーウィンの話から始まる。。。




『世界が動いた「決断」の物語 新・人類進化史』から学ぶ決断の3つのプロセス


熟考型の意思決定には3つのステップが必要であると、著者は述べている。

1つ目のステップが、
マッピング、つまり『地図をつくる』こと

地図をつくるは、
ここで大事なキーワードは“発散”と“多様性”

つまり、広くあらゆる可能性を検討し、決断の前提となる地図を作り上げることがまず重要ということである。

次に2つ目のステップが、
未来を予測すること、シュミレーションである。

あらゆる決断はもちろん未来に対しての決断であり、
人は未来を何らかの形と粒度で予測し、決断を下そうとする

そして3つ目のステップが決定である。

決定は、世界全体を巻き込むような場面でのグローバルな選択と、ダーウィンの結婚に関する迷いにおける個人的な選択における決定の2つの軸から考えられる。


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マッピングと予測の場面で最も考慮しなければならないのが
“不確実性”である。

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地図を作る際にも100%の可能性を網羅して検討することは出来ず、
またもちろん未来は読み切ることは不可能である。


その意味合いにおいて不確実性は確実に発生するのだが、
不確実性を出来るだけ軽減することで、決断の成功の可能性は上がる。


不確実性を軽減する方法は2つある。

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つまり、出来るだけ先入観をなくし、熟考を行う
また、あとから修正を加え、決断を正しい方向に修正する余地をあらかじめ残しておくことで不確実性に対応する。

歴史的な決断の背景から、決断に必要なプロセスを明らかにしてきた著者だが最後は
エリオットの小説『ミドルマーチ』の話を中心に、決断には科学的な判断だけでなく、物語が必要だという論で締めくくる。

科学と物語の2つが揃うことで初めて、未来を予測し、決断することが出来る。

人生の教訓となる最高な1冊でした。




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