『未来からのホットライン』/J・P・ホーガン(訳:小隅黎)
こちらゴリッゴリのハードSFです。
そもそもSFというジャンルにおいての「ソフト」とか「ハード」の分類ってなんなんだろうと思って調べてみました。
ミステリも「本格ミステリ」だとか「コージーミステリ」なんてジャンル内で細分化していますが、選ぶ方はとても分かりやすくてありがたいですね👀
さて、この『未来からのホットライン』は刊行が1980年だったそうですが、
まっっっっっったく古臭くない!!!!!!!!!!
読んでいて興奮しっぱなしでした。
わーーーー!すげーーーー!みたいな。
科学的専門用語は
「わからないなら置いてくぜ?」
ってくらいそれはもうバンバン出てきますので、基本的知識に関してあらかじめチラッとさらっておくか、ちょっと面倒ではありますが調べながら読むとより楽しめると思います。
ちなみにコミックス化もされているみたいです🤓
こちらも気になります。
(これ漫画化大変だっただろうなぁ…)
先日ご紹介した海外ドラマ『チェルノブイリ』から、気になった事柄を
『核兵器のしくみ』/山田克哉(講談社現代新書)
『核融合最前線』(Newton別冊)
でたまたま調べていた私にとっては
「この問題見たことある!」
の進研ゼミ状態で臨むことが出来、まさに僥倖というやつでした。
当然フィクションですから空想科学なのですが、
「嘘をつくときは数%本当のことを混ぜろ」
とよく言う(?)ように、途中から既にこう言うことあったっけ?なんて気がしてきます。
きっと整合性を取るのは至難の業。
J・P・ホーガンはとても几帳面な性格であることでしょう。
以下、背表紙からのあらすじです📖
ワクワクすっぞ。
冒頭の「あれ?もしかして時空越えた?」と言う発見段階から、さまざまな実験を経て時間逆行に関する色々なことが分かってきます。
過去に対して通信が送れると言うことは過去を改変することができると言うこと。
そして過去を変えることによって、その地点から書き換えられ、再構成された新しい宇宙はパラドックスを抱えることになります。
(並列宇宙、いわゆるパラレルワールドと言う考え方を、この小説では採用していません。)
メッセージ送信時にタウ波と言うエネルギーが発生し、それが個人のみならず世界に対して起こる事象の不確実性を高めてしまう。
「偶然に起こる事柄」の出現率がぐんと上がってしまうわけですね。
それは看過できない深刻な大問題へと発展していきます。
そんなこんなで怒涛の後半は大興奮一気読みです。
また、その影響を受けてしまった一つとして核融合プラントが登場します。
現実世界でも目下開発中のすんごいハイテク施設です。
この機械は「太陽と同じ環境を作っちゃおう」と言う最先端の実験炉です。
日本、韓国、中国、インド、米国、ロシア、EUが参加している国際共同プロジェクトで、日本の技術が実現に向け大活躍しています。
(チェルノブイリや福島の原発とはエネルギーの生成の仕方が根本的に違います。
従来のものは、どんどん進んでいく核の反応を制御しながらエネルギー変換を行うものであるのに対し、こちらの核融合炉は勝手に反応が進んでいってしまうことがないので安全性が高いというメリットがあります。
自動車のオートマとマニュアルみたいですね。)
作中の核融合プラントはこちらとは違うメカニズムで核融合を行うものでしたが、
1980年の小説内でのことが2024年に実現に向けて進んでいるのは胸が熱くなりますよね…!
そして話題になった、
『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』(シン・エヴァンゲリオンげきじょうばん / EVANGELION:3.0+1.0 THRICE UPON A TIME)
英語タイトル部分『THRICE UPON A TIME』が、この『未来からのホットライン』の原題になっています。
(ちなみにアニメ版最終話のタイトル原案は『夏への扉』だったそう。)
共通するキーワードは「ループ」「改変」のようです。
『涼宮ハルヒ』エンドレスエイトや、『ひぐらしのなく頃に』なんかも時間逆行ループものでしたので、テーマ自体は馴染み深いテーマかもしれません。
ロマンス描写もありますが、この作品についてはなくてはならない要素として物語の絶妙なスパイスになっています。
「もう一度読みたい!」
と思わせてくれる名作でした😊
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