『チェルノブイリ』/HBO制作海外ドラマ
とにもかくにも素晴らしい出来。
世界観の作り込み、そしてそのディテールから来る臨場感。
歴史的大事件の裏側を暴いた相当尖った意欲作だと思います。
これだからHBOドラマは一気見してしまうんだ。
私的にはホロコーストを取り上げた作品はとても数が多くあることに対して、チェルノブイリに関するコンテンツって意外に数が少ないなというのが気づきでした。
ドラマによって知ったこと、また気になったことがたくさんあるのに
漁れど漁れどピンとくる書籍がなく、泣く泣く超高価なやつを買ってしまいました。
あらすじ
さて、以後ざっくりとしたチェルノブイリのあらましになります。
1986年4月26日、旧ソ連ウクライナ共和国のキエフ州プリピャチに位置するチェルノブイリ原発で暴走事故が発生。
原子炉とその建屋は一瞬のうちに破壊され、爆発とそれに引き続いた火災に伴い大量の放射能放出が継続した。
(放出された放射性物質を含んだ塵は広島原爆のなんと400倍。通称「死の灰」。)
原発職員と消火に駆けつけた消防士およそ200名余りに、大量の放射線被曝による急性障害が現れ、31人が死亡した。
事故翌日の4月27日には原発に隣接するプリピャチ市住民4万5千人が避難しし、さらに5月3日から6日にかけて周辺30キロ圏から9万人、結局13万5千人の住民が避難を余儀なくされた。
この時事態の収束のため、調査委員会責任者に任命され奔走したヴァレリー・レガソフ博士を中心としてドラマが展開していきます。
(以下ネタバレを含みます。)
ドラマを視聴して。
結局ドラマで明らかにされていったのは
当時使用されていた「RBMK炉」の致命的欠陥の隠蔽
原発職員による無茶な運用
ソ連政府の対応の問題
でした。
責任を問う裁判の中でレガソフ博士は当然ながら職員による過失を認めるとともに、彼らも知り得なかった原子炉の構造上の欠陥を指摘し、その後安全対策を唱え続けるもそれによりソ連政府からの圧力を受けることなります。
レガソフ博士は事故後2周年にあたる1988年4月26日に、
ソ連最高機密を含む告発メモをソ連共産党機関誌『プラウダ』の科学担当記者宛に遺し自殺。
この死によってこの告発メモは握り潰されることなく日の目を見ることになったのです。
映画『オッペンハイマー』を鑑賞したときも感じたのですが、
科学者たちの実直さには本当に感嘆させられます。
そして共通項をもつ学者たちの団結って、なんだか無性に胸が熱くなってしまうのです。
(ちなみに新潮社「夏の100冊」に入っている数学者たちの時代を超えた挑戦の系譜『フェルマーの最終定理』も、分野こそ違えど最高なんですよね。)
またこのチェルノブイリ原発事故により、その対応にあたった職員たちの家族、周辺住民にも彼らにとっての戦いがありました。
そういった「生の声」を知ることができ、このドラマにも大きく関連する書籍がこちらです。
ノーベル賞文学賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチによる関係者たちの証言集になっています。
アレクシエーヴィチと言えば『戦争は女の顔をしていない』も有名ですよね👀
ちなみにこちら、コミックス版もあるのです。
人体にとって様々な影響を強く及ぼす放射性物質。
私は視聴中そう言った物質に対する「なんで?」「どうして?」が無限に出てきてしまったので科学的側面にも触れてみることにしました。
こういったジャンルで探すと数多くありますが、疑問に丁寧に答えを出してくれそうなこちらを選びました。
↑内容はこんな感じです。
放射性物質ってそもそもなんで人体に悪影響を及ぼすのか。という疑問についてはこちらの動画が死ぬほどわかりやすかったです。
このチャンネルでは他にも
「原子力発電とは何か」
「核開発の歴史」
「核融合とは何か」
なんていう動画もあるので参考になりました。
核物質の歴史的側面に関しては
アンリ・ベクレルやキュリー夫人についてのコンテンツにちょいちょい触れてみたりしました。
チェルノブイリ原発は「石棺」と呼ばれる建物で封じ込めの応急手当をされたままであったが、2007年から2019年にかけ最新式のカバーを建設するという作戦が取られ今は銀色のアーチ状のカバーに覆われているようです。
チェルノブイリと検索すると福島原発というワードも多く見かけます。
この危険な物質は、果たして人の手に入ってしまって良かったのか。
とはいえ需要の高まり続ける電力の安定供給やガン治療、レントゲンなど医療に関する発展になくてはならないものでもありました。
結局は「大いなる力を人間がいかに使うか」といった問題な気がします。