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Adiós Nonino 情熱と哀愁の音楽家 Astor Piazzolla

音楽の話。
僕はピアソラが大好きだ。
先日、『ピアソラ、永遠のリベラルタンゴ』というアストル・ピアソラのドキュメンタリー映画を観ていた。

娘や息子との確執がありながらも、子どもたちがそれでも懐かしむ音楽家ピアソラや彼のタンゴがどう昇華されていったのかとてもよく描かれている。

Astor Piazzolla アストル・ピアソラ(1921-1992)は20世紀の偉大なタンゴ作曲家であり、バンドネオン奏者でもある。
彼の楽曲でたくさん好きな曲はあるが、今日は『アディオス・ノニーノ』(Adiós Nonino)を取り上げたい。
この曲は、ピアソラ初期の作品でもあり、また、故郷アルゼンチン、ブエノスアイレスを飛び出して、ニューヨークにいた時代の作品でもある。

1959年10月、経済的に困窮していたピアソラの元に、プエルトリコで父ビセンテ、愛称ノニーノが亡くなったという知らせを受け取る。
アルゼンチンへ戻るお金のないピアソラは、父ノニーノに曲を捧げた。

Youtubeにも生前のピアソラ自身によるバンドネオン演奏が残っている。
全身全霊で演奏する彼のタンゴにはいつも心打たれる。

Adios Noninoにはいくつかバージョンがあるが先に上げたキンテート版が一番僕は好きだ。

最近の演奏家たちだと、Andre Rieuによるオーケストラは、現代らしく映画のワンシーンに使われるような感覚だった。

ピアソラから少し話は脱線するけれど、僕はミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』からタンゴ的なリズムをなんとなく感じる時があって、特に、最後の第七部のトマーシュがタラップから降りるシーンを読んでいると、このAdios noninoが頭の中で再生される。

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