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読んだ本の感想

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卍丸的な読書感想文集
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#読書

震災から13年──読書、知ること、考えること

『日米地位協定入門』前泊博盛他著、『戦後史の正体』孫崎享著(いずれも創元社)を再読した。 …

卍丸の本棚
3か月前
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ふたつのエクリチュールの差異──紙に書かれたものと虚無に書かれたものの暴力性

 僕の読書スタイルは書写になりつつある。詩人、思想家や文豪の美しく洞察力にすぐれた文章、…

卍丸の本棚
7か月前
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ヘッセとクリムトのダナエ

この詩が僕をむかし掴んだ頃のように、今、僕を捉えて離さない。かつての頃よりも深いところで…

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とるにたらないこと2023/02/25

あらゆる存在における恒久的非暴力による共存可能な思考交流ネットワークモデルをぼんやりと考…

8

逗子マリーナの女

愛に区別はなく、また、愛は無限であるが人間の奢りによって有限と錯覚されている、そのように…

15

2022年の本、僕のベスト約10冊

やはり、いちばん影響を受けたのはバタイユだろうか。 エロティシズムはもはや僕のバイブル的…

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夜を流れる船のように── 2022年を振り返って

ひとまとまりの思考──さまざまな時代と文化背景の異なる言葉たちに出逢い、僕の心に浮かんでは霧の向こうへ消えて、また不意に現れて、を繰り返していた。 今年の春先に起こった大きな時事問題は僕ら家族を意図せぬ悩みや苦しみ、新たなひとたちとの出逢いと親しかったひとたちとの分断へと向かわせもした。 そうした中で、僕も妻も大きく価値観が変わった。 ひとは言葉によって思考し、思考によってのみならず、その思考錯誤から培った経験、他者との関係性、身を置いた風景たちによって、言葉が定着もし

アリ・スミス四季四部作①『秋』

※本投稿は、どの政党を支持するしないと扇動したりするような内容ではありません。 「何を読…

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2022年6月の読書

海なり、プールなり、飛び込みたくなるほどの暑さがやってきた6月。 かつてないほどに早い時期…

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愛するということ

愛するということ 著 エーリッヒ・フロム 訳 鈴木 晶 出版 紀伊國屋書店 この本のタイト…

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モオツァルト・無常という事

再読 著者 小林秀雄 出版 新潮社 🍀🍀🍀 「僕等が過去を飾り勝ちなのではない。過去の方で…

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2021年7月の読書メーターまとめ

今月はミラン・クンデラの著書との出会いがとても印象深い。 おかげでオースターの本がいくつ…

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ピアニストは語る

著者 ヴァレリー・アファナシエフ 出版 講談社現代新書 「静寂と音楽はひとつになっていま…

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無意味の祝祭

著者 ミラン・クンデラ 訳 西永良成 出版 河出書房新社 2015/04/20 印刷 2015/04/30 発行 2013年のクンデラの作品であり、僕の中では読後、クンデラの到達点のような作品であった。賛否両論になりそうではあるが、僅か140ページ足らずの中にありとあらゆるものが詰め込まれ、全てはとるにたらない小さなこと、すなわち、無意味なことにこそ喜びがあるのだとクンデラが人生を達観してユーモラスに思想を語っていたように思えた。 あらすじ共通の師匠「私」(クンデラ)を持