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エディット・ピアフー愛の讃歌

主演、マリオン・コティヤールの演技が素晴らしい伝記映画です。
母に置き去りにされ、父の実家である娼館で過ごした幼少時代。そして父と共にサーカスで旅回りをし、街角で歌うようになった少女時代。ルイ・ルプレに見出だされクラブの人気歌手になり、一度は名声を得ながらルプレの死、ルプレ殺害の容疑をかけられまた自堕落な生活に戻るピアフ。義理の姉妹の誓いを交わした親友モモーヌとの辛い別れ。歌に人生を、心をのせることを教え、人気歌手に再び押し上げてくれたレーモン・アッソ。そして最愛の人マルセル・セルダンとの出会いと彼の死。
波瀾万丈の彼女の人生が迫ってきます。たくさんの大切な人との出会いと別れ。手に入れてもすぐに指の間からこぼれていく幸せ。
悪態をつきながらいつまでも少女のようなかわいらしさを失わないピアフ。人生の辛さ楽しさ、愛の喜び悲しみそれを知っているからこそ歌える歌。彼女だからこそ歌える歌。
シャンソンこそが彼女であり彼女の人生こそがシャンソンなんだ、ということが伝わってきます。
とにかくマリオン・コティヤールが物凄い。ピアフがのりうつったとしか思えないような圧巻の演技です。マリオンの死の報せを聞き混乱し慟哭するシーンは震えがくるほど素晴らしいです。そして晩年の薬物とリウマチによって衰えた姿も驚くほどリアル。
何よりも素晴らしいのはラストで「水に流して」を歌うシーン。ライトの中に立ち顔を上げた時のピアフの瞳の美しさ。無垢な少女のままの表情。彼女は人生の悲しみや苦しみ、楽しみや喜び、全てをシャンソンに込めて歌う。彼女の歌が力を持ち人の心に染み渡っていく瞬間を経験できたような気がします。
随所にちりばめられたシャンソンの名曲の数々。
少しハスキーな力強いピアフの歌声。
その歌声を彩っている彼女の人生。
彼女だからこそ歌える歌、彼女だからこそ届けられるシャンソンという人生。
本当に素晴らしい映画でした。
ピアフの歌が聞きたくなること間違いなしです。
いいことばかりがあるのが人生じゃない。悲しみや苦しみがあるからこそ喜びが大きく、失う物があるからこそ得られる物が素晴らしく思える。
それを教えてもらったような気がします。
喜びも悲しみも人生。
それでこそ「LA VIE EN ROSE」!!


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