出版業界の苛烈な競争と取次業界

出版物売り上げのうち書籍が9000億円前後・雑誌が1兆円という割合。本を一冊売ると本屋に残る利益はだいたい22%。書店には再販売価格維持(値引き販売の禁止)や返品可能な委託販売をしているという経営が見られるが、書店経営が楽になっているというほどの制度ではない。出版業界は講談社・小学館・集英社が順に大手3社、どれも上場していない。2007年は7万7千点の新刊が世に出ているがそのうち42%は返品されている。返品されたら在庫になるか断裁されるか。本の流通構造は取次という企業が介在しており、トーハン・日販・大阪屋などが代表的で3社で書籍の累計出荷量の8割を占めている。役割としては、出版社と書店の間に経って在庫調整機能や資金調達機能、書店からの要求を効率よくさばきながら出版社からの新刊の供給をバランスよく組み合わせている。書店は取次から仕入れた書籍を月末締め翌月払いで支払うので、あとで売れ残りの書籍4割を返品するがいったんは仕入れたものを全部支払う必要があるため、書店の資金繰りは厳しい。なかには書店内の在庫を無理やり返品して資金繰りする書店もある。取次と出版社の間では、新刊委託の場合は6か月の委託期間終了時に販売数×定価の70%前後が取次から出版社に支払われ、取次の取り分は8%となる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?