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読書会を「文化」として根づかせたい(19/06/01版)

以下は2018年3月に脱稿したものです。現状とそぐわない部分がございますので、一部訂正を施しました(2019年6月1日)。

「読書会文化」、あるいは「文化としての読書会」ということを考え始めているところです。もう少し熟考してから書くべきなんでしょうけれど、ぼくの場合、「書きながら考える」という傾向が少なからずあるので、取り敢えず書き始めてみることにしました。

この文章は、全文を無料で読めますが、気が向いたら¥100のカンパをしていただけますと幸いです。

さて、ぼくは2017年の9月から、Skypeを介した読書会を主催しています(2018年10月より、Zoomへ移行しました)。

実のところ、この「Skype読書会」は、過去何回も仕掛けては続かずということを繰り返してきました。その意味では、参加してくださっている皆さんには、感謝してもしたりないくらいに思っています。

「なぜSkype(現・Zoom)だったの?」

それは、ぼくが当初鬱病、のちに診断名が変わって双極性障害を患っていたからで、思うように身体を動かすことができなかったからです。そこで思いついたのが、オンライン通話システムの利用でした。

ところで経済史家の故・内田義彦さんが『読書と社会科学』(岩波新書)の最初の方で述べていらっしゃることですが、「読書会は、まず『楽しい』ことを心がけてください」とあり、その上で、「『楽しい』の中味を深めていってください」と書かれています(実際には、お話しされたことが文字起こしされた文章です)。

その通りに運営できているのか、甚だ心許ないのですが、ここでぼくは、「なぜ読書会を根づかせたいのか」について書いてみることにいたします。結論を先回りして書いてしまうと、読書を「梃子」にした、コミュニティの再生を図りたいというのが、ぼくの意図するところです。

「読書」は1人で黙々とするものというのが定見なんだろうと思いますが、教育史を繙くと、素読が中心の時期があったり、さらに遡れば、口承で知識を伝達していた時期もありました。ですので、読書の「スタイル」も、これから変わらないとは限らないのです。そのシフトしていく方向の可能性の一つが「読書会」です。

「読書会ならやってるよ」。そんなお声も聞こえてきます。また、「読み聞かせ」や「ビブリオバトル」など、本や読書に因んだアクションも盛んになりつつあります。それは歓迎すべき動きだと思います。しかし、もう一歩、先に紹介した内田さんの言葉でいうところの「楽しみ」を深めるということを考えたいのです。もう一歩、欲張って考えてみませんかということです。

ぼくは先ほど、「コミュニティの再生」と書きました。これは、人と人との繋がる様が変わっていくということを述べたつもりでいるんです。

どういうことか。AさんとBさんが「繋がる」というのがどういうことなのかを考えてみると、そこには、その繋がりの媒介項となる「ある事柄」の存在が見いだせるはずなんです。Xを「共有」することで、繋がりが保たれるとも言い換えられます。そのXは、例えばサッカーのチームを強くするという「目的」だったり、2人で初めて見た映画という「思い出」であったりします。また、「概念」や「体験」であることも考えられます。

その「ある事柄」を、ある本を読んだという体験や感動なども含めて考えられないものか。つまりは、本を読んで得たことを通じて、それを共有し合うことによって、CさんやDさんとも繋がることはできないものだろうか。これがぼくの考えていることなんです。

それがなぜ「コミュニティの再生」に繋がるかといえば、いま、個々人が「アトム化」、つまりバラバラな状況に陥りつつあるからであり、それへのカウンターとして、人と人とを繋げる媒介項の「ある事柄」としての読書体験が活かされるのではないかと考えているからです。

その媒介項を、仮に「智慧」と呼んで見ることにしましょう。読書で得た体験や知識を、「智慧」へと転換させる「場」として読書会は機能し得るのではないか。そう考えます。

幸か不幸か、読書会とは多人数よりかは少人数で開催するのに向いています。少人数であった方が、コミュニティ形成の練習になりやすいのではないかと考えます。

ここに来て書くのも何ですが、Zoomに依存する必要はありません。直接会える人たち同士で開催するのがいいと思います。

ぼくとしては、今ぼくが主催している「オンライン読書会」以外にも、読書会(の単位)が増えていくといいなあと夢想しています。この文を読んで、「面白そうだな」「やってみようかな」と思った方、ぜひぼく宛にTwitterでコンタクトいただければと思います。コンタクト先のIDは、stand_00 です。あなたが主催する読書会の立ち上げをお手伝いさせていただきます。力を合わせて(?)、読書会文化を広めていきましょう。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。


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