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学校を休んだ先生が休みの間に読んだ本の話・前編

こんにちは、ミウラです。
先日お伝えしたように潰瘍性大腸炎という病気になった私は、2ヶ月ほど仕事をお休みしておりました。

その他にも、いろいろな事情が重なり、しばらくPodcatの更新は止まりそうです。
ですので、今回は、そんな私が休み中に読んでみた本を記事にまとめてみます。

他にも読んだ本はあるのですが、こんな方の役に立つような本をご紹介します。
・学校の先生でモヤモヤしている人
・休職中の教員
・仕事や人とのコミュニケーションに疲れている人
・言語教育に関わる人
ちょっとでも参考にしていただけると嬉しいです。

先生の働き方を考えたい『教師の生き方、今こそチェック!』

正直、2月中は本を読んでいても頭に入ってこなかった。病気になって、腹痛の症状がひどかったからかもしれない。

3月に入って、症状が落ち着いてきた頃、急に頭の中のモヤモヤが晴れて、思考が回り出した日があった。
その時、私の心の中に浮かんだ最初のトピックが「将来」のことだった。
以前と同じように働けるようになったとしても、私の病気の場合、いつ体調を崩すかわからない。(しばらく崩さないかもしれない。)
となると、想定していた人生プランは変わってしまうし、もともと体力がないので無茶はしていなかったが、ますます無茶が危険となった。
そこで、積読から手に取ったのが『教師の生き方、今こそチェック!』

日本の教員は長時間労働を強いられ、精神疾患を患う方も多い。加えて、公立学校の教員は残業代が出ないことから「定額働かせ放題」とも揶揄されている。
そんな過酷な労働環境で、燃え尽き症候群=バーンアウト(Burnout)される方も多いはず。

実は、私の職場は特殊で、そのような環境ではない。残業代が支払われ、長時間労働は避けられている。
そんな私ですら、体調を崩したり、ストレスを感じたりする。
どんな環境でも、同じように毎日を重ねていれば、閉塞感を感じてしまう。
自分が向かう方向を忘れてしまえば。

この本は、言ってしまえば、教員に向けた自己啓発本である。
自分がどんな疲弊の中にいるかを見つめ、どんな教師になるか、そのためにどういう具体的な行動をとっていくか、本に掲載されているワークをしながら、見直すことができる。
著者は、教員のバーンアウトについて発信を続けるアンバー・ハーパー氏。(Podcastも配信している!)
訳註には、日本の学校事情のことも踏まえた内容が書かれているので、「アメリカと日本では事情が違うから」とならずに取り組むこともできる。
現状を振り返り、そして、自分がどんな教師になりたかったか言葉にしていく。そこから、自分の目標を見つけて、具体的な行動にまで落とし込む。慌ただしい学校現場の日常で、どう習慣づけていくかまで指南されている。

子どもたちに対しては、「振り返りをしよう」「自分の感情を大事にしよう」「目標を持とう」というのなら、まず教員自身も振り返る必要がある。
そんな当たり前のことに気づかされた。
とりあえず、私はノートを開いて最初から取り組んだ。

自分も他者も大事にしたい『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』

「自分を大事にできてないと、他の人のことも大事にできないよね」
といつもお世話になっている先生から言われた。

まさに、自分の「将来」を悩んでいた私は、考えていくうちにいつも周囲とのコミュニケーションの中で、「勝手に」一人で追い込んでしまったり、責任を感じてしまったりする癖があることに気づき始めていた。
自分と他の人との関わり方を見直してから、普段の生活に戻らないと、私はまた同じ悩みに苦しむのではないか?
そこから、コミュニケーションについて見直そうと思った時に、NVCのことを思い出した。
『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』は、このように紹介されている。

「相手を評価したり、決めつけたりするのではなく、自分が抱いている感情と自分が必要としていることに耳を傾ける」

NVC(Nonviolent Communication)については、以前Podcastでニノミヤが『「わかりあえない」を越える』を紹介している。
(この中でも私は対人関係のイライラを話しているのだが。)

冒頭で、私が「タイトルにNVCが入ってる本を読んだことがある」と言っているが、それがこの本だ。
本当にサラッとしか読んでいなかったので、改めて手に取った。

この本でローゼンバーグがまさしく語るのは、他者に対してのコミュニケーションの取り方はもちろんながら、自分との対話である。
NVCは、①観察②感情③必要としていること(ニーズ)④要求 という4つの段階を経て、「自分がどうであるか」を表現したり、「相手がどうであるか」を受け止めたりすることで、日常的な喧嘩から政治的な紛争までを解決していくコミュニケーション方法だ。

「自分とのコミュニケーションにおいてこそ、NVCは真価を発揮するといえるかもしれない。(略)自分が必要としていることと自分の価値観に忠実に行動すると決め、日常生活でそれを意識的に選択する。それが自分を大切にすることにつながる。」
『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』 P242〜243

ただ他者に耳を傾けるのではなく、そのためにまず自分の思いをどう表現したらいいか、この本では具体的に語られている。
自分の行動や考え、感情への責任に自覚的になって、考えていくことと表現すること。それが他者と思いやりを持って交わるための一歩目になる。

日々を過ごしていれば、そこに無自覚に過ごしてしまう。
何度でも日常的に立ち止まって、その責任を意識していかなければ、豊かなコミュニケーションにはならない。
どんな感情でも、抱いてしまうことはある。でも、そこからどう行動していくか?
現代社会では避けては通れない。
そして、私が心身ともに健康でいるためにも、避けては通れない考え方だ。

おそらく、このような感情を整理していく言説は、以前紹介した『ハッピークラシー』で批判されている文化のひとつかもしれない。

確かにポジティブな感情「だけ」を抱かせたり、それだけを目指すために感情管理を求めたりする社会規範は恐ろしい。それが政治権力と結びつけば、ディストピアだ。
しかし、清濁混ざり合った感情とどう向き合うかは、変化の激しい毎日を生きていくために必要なスキルであることは認めなくてはいけないだろう。
感情をそのままにせず、どう行動として相手に求め、解決に繋げるのか。
そのひとつとして、NVCの枠組みは助けになるかもしれない。

続きは後編へ

後編では、最近話題の教育書と、言葉にまつわる本を紹介していきます。

ぜひ皆さんのお休みのお供の本を教えていただけますと幸いです。
コメントでも、お便りフォームからでも構いません。

では、また。


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