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【本092】『藍色の福音』

著者:若松英輔 出版社:講談社

若松さんの言葉は人生をハイスピードで駆け抜けている私の足を立ち止まらせてくれます。そして、私が歩く道上の今まで気づかなかった大切なものに気づかせてくれます。私の人生を変えた出来事、出会った言葉、今、大切にしたいこと。そんなモノやコトたちが、私の人生の道上でポッと輝き出します。若松さんの言葉にはそんな力が宿っているのです。

この本は若松さんの自伝的エッセイですが、どんな人生を若松さんが歩んできたかという「情報」が書かれているのではなく、どんな言葉や人や経験が「たましい」にふれてきたのかを、丁寧に綴っています。

今回も読みながら著書が付箋だらけになりました。
一つだけ紹介します。

「言葉の経験が消化され、昇華されるには、数年、あるいは数十年の歳月を要することも珍しくはないのである。」

今の世の中は、自分の考えや思ったことをすぐに発言するのを強要しがち。でも、本当に心に響く言葉や事象に出会った時、言葉にするには何年もかかる時があります。そして、時間をかけて紡ぎ出された言葉は重く深く自分の心(たましい)に近いところにあるかけがえのないものです。

だからこそ、ゆっくりでいい。大切なものほど、ゆっくりでいい。

何度も何度も読み返したい本のひとつです。

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