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海外マンガ情報誌「モリマチ。」Web版 海外マンガTOPICS―2024年6月

書肆喫茶moriの店主が気になった海外マンガのニュースをご紹介する「海外マンガ情報誌「モリマチ。」Web版 海外マンガTOPICS」。
本記事では2024年6月のニュースをご紹介します。
バンド・デシネ翻訳者の原正人さんとやっているポッドキャスト「海外マンガRADIO」では、ここで紹介していない海外マンガに関するニュースについてもお話していますので、よかったらこちらもご覧ください。


ドイツの漫画賞マックス&モーリッツ賞発表

5月31日にドイツの漫画賞マックス&モーリッツ賞が発表された。マックス&モーリッツ賞は1984年に創設され2年に一度発表されるドイツの漫画賞。翻訳者の鵜田良江さんが日本語で紹介してくださっています。

「図書館教育ニュース」5月号でグラフィック・ノベルの特集

「図書館教育ニュース」5月28日号でグラフィック・ノベルの特集が組まれた。マリコ・タマキ&ジリアン・タマキローラ・ディーンにふりまわされてる(三辺律子訳、岩波書店)やマルジャン・サトラピペルセポリス(園田恵子訳、バジリコ)、ジーン・ルエン・ヤンアメリカン・ボーン・チャイニーズ(椎名ゆかり訳、花伝社)が紹介された。

バンド・デシネ作家ムッシュー・タンが生み出したキャラクター「ガドゥ」の4コママンガが女性自身で連載開始

バンド・デシネ作家ムッシュー・タンがデザインし、キディランドなどでキャラクターグッズが販売されていた「カドゥ」の4コママンガの連載が6月18日号の「女性自身」でスタートした。ムッシュー・タンは、フランスで絶大な人気を誇るMortelle Adèleの作者。

オンラインイベント「海外マンガ勉強会#1」開催

6月4日、バンド・デシネ翻訳者、原正人さんが主催するオンラインイベント「海外マンガ勉強会#1」が開催された。私も参加したが、初回ということで事前に集まった参加者からの質問に答える形で会は進み、海外マンガに関する情報が活発に交わされた。定期的に開催予定とのこと。

サウザンコミックス第8弾『ハチクマの帰還』のクラウドファンディング開始

オランダを代表する女性漫画家エメー・デ・ヨングのデビュー作『ハチクマの帰還』のクラウドファンディングが6月6日にスタートした。エメー・デ・ヨングは日本国際漫画賞で2度入賞したことのある実力派。クラファンは9月2日まで。

ルトゥ・モダン『トンネル』がNHK WORLD-JAPAN Newsで放送

6月6日、サウザンコミックス第7弾イスラエルのルトゥ・モダン『トンネル』の日本語版刊行について、NHK WORLD-JAPAN Newsで取り上げられた。当店も取材に協力。『トンネル』の一般発売は7月の予定。

リトルサンダー『Kylooe』原画展、京都のホホホ座浄土寺展で開催

6月8日から23日にかけて京都のホホホ座浄土寺店でリトルサンダーKylooe原画展が開催された。彩色される前の線画が展示され、第1話から第3話への変遷や初版からの改訂稿を見ることができた。会期中にはリソグラフポスターやクリアファイルなどのグッズも販売された。

トークショウ:僕たちの好きな海外漫画〜西尾雄太原画展開催記念スペシャルイベント〜開催

6月10日から30日まで開催される西尾雄太レトロスペクティブの記念スペシャルイベントとして、初日の10日夜に「トークショウ:僕たちの好きな海外漫画」が開催された。西尾雄太さんの漫画家業10年を振り返るギャラリートークに続き、司会進行のSatoshi Kurosakiさん、プレゼンターのサヌキナオヤさん、受け手の西山真登(パソコン音楽クラブ)さんが加わり、海外漫画とはなんぞや、登壇者の海外漫画初めについてのトークがあった後、今回のイベントの目玉である海外漫画レコメンド大会が繰り広げられた。私も観覧に行きましたが、海外漫画についてのお話を聞いているのはとても楽しかったです。

『ウォッチメン』『GET JIRO!』…グラフィック・ノベル原作のアニメ化

グラフィック・ノベル原作のアニメ化のニュースを2つ。
1つはアラン・ムーア原作の傑作グラフィック・ノベルウォッチメンのアニメ映画に関してティザー映像が14日に公開された。企画自体は2023年のサンディエゴ・コミコンで発表されていた。アニメ映画はチャプター1とチャプター2の二部構成で、チャプター1は2024年、チャプター2は2025年に全米にてリリース予定とのこと。

さらに6月10日から15日にかけて開催されたアヌシー国際アニメーション映画祭に際して、アンソニー・ボーデイン作GET JIRO!(椎名ゆかり訳、G-NOVELS)のアニメ化が報じられた。グルメのみが娯楽となった未来のロサンゼルスで寿司職人ジローを巡る血で血を洗う仁義なき戦いを描く。

さらに本記事では、日本でも人気の高いマリコ・タマキ&ジリアン・タマキが2010年から2014年にかけてウェブ上で公開したコミック『Super Mutant Magic Academy』のアニメ化についても明らかになった。この2作品が日本でも配信されるのかどうかは不明だが、ぜひとも見てみたい。

フランスACBDアジア賞のノミネート作品が発表

6月14日、フランスのバンド・デシネの批評家とジャーナリストの協会(ACBD)によるアジアのマンガを表彰するACBDアジア賞2024の最終ノミネート作が発表された。最優秀賞は7月11日のJapan Expo 2024で発表予定。

加えて6月23日には、2024年1月1日から5月31日までに刊行されたバンド・デシネのうちからACBDメンバーが良作を選ぶ「夏の必読10選」も発表された。

イラストレーター、バンド・デシネ作家Magali Le Hucheさんの原画展・サイン会

東京・板橋のメゾン・プティ・ルナールさんで6月22日から29日まで、イラストレーターでバンド・デシネ作家のMagali Le Huche(マガリ・ル・ユッシュ)さんの原画展が開催された。29日(土)にはサイン会も開催された。

リチャード・マグワイア原作『HERE』予告編公開

リチャード・マグワイアHERE(大久保譲訳、国書刊行会)を原作に、ロバート・ゼメキス監督、トム・ハンクス&ロビン・ライトら映画「フォレスト・ガンプ 一期一会」のスタッフが再結集した映画「HERE」の予告編が公開された。固定視点で数十億年にわたるある部屋の歴史をたどる異色の作品である原作の特徴が忠実に再現されている。2024年11月に全米公開予定。

イベント予定

7月2日20:00~:オンラインイベント「海外マンガ勉強会#2」

7月9日19:30~:オンラインイベント「邦訳海外マンガの作り方#3」

7月21日14:00-15:30:『ジェンダー・クィア』作者来日イベント(東京)

8月16日〜20日:台湾のアーティスト瑪魯(マル)個展「幽幽」@タコシェ(東京)

瑪魯(マル)さんの新刊マンガの日本語訳は8月18日開催のコミティア149のMangasickさんとPETER MANNさんの合同参加スペースにて販売されるそうです。

書評・レビューなど

ルーカス・ウォーズ』(サンデーマンガ倶楽部)

ルーカス・ウォーズ』(兎来栄寿さん、マンバ)

ルーカス・ウォーズ』(著者インタビューほか、キネマ旬報2024年7月号)

だれも教えてくれなかったエネルギー問題と気候変動の本当の話』(原正人さん、マンバ通信)

エチオピアの季節』『LA BOMBE 原爆』『ハンナ・アーレント、三つの逃亡』(日本経済新聞)

ワイン知らず、マンガ知らず』(南信長さん、マンバ通信)

塩とコインと元カノと』『スピン』ほか(COOKIEHEADさん、NYジャピオン)

わたしを忘れないで』(ラジオビューグル)

『トンネル』(ラジオビューグル)

マンガで読む地政学』(北海道新聞)

海外マンガの本棚(2024年6月公開)

個人的に気になるニュース

書肆喫茶moriに関するニュースと個人的に気になるニュースです。

マチュー・バブレがこれまでと2025年の新作を語るインタビュー記事(Comictrip)

私の大好きな漫画家マチュー・バブレが2025年に2作品を刊行するということでこれまでの作品についても語っている。La Belle Mort』『AdrastéeShangri-Laと男性主人公が続いた中で女性を主人公としたMidnight Tales』『Midnight Orderの意味。そして2025年8月に刊行予定の新作『Silent Jenny』では女性科学者が主人公であること。Label 619の意義。そしてギヨーム・サンジュランを作画に2025年1月に刊行予定の『Shin Zero』では日本の戦隊ものをテーマとするが日本のManga市場には媚びるためではないと明言されており、どのような作品ができあがるのか大変に期待。

Victoria Yingさんの新作は年上漫画家との有害な恋愛がテーマ(BleedingCool)

摂食障害をテーマにした2023年ハーベイ賞受賞作Hungry Ghostの作者Victoria Yingさんが2027年に刊行を予定している『Chasing Sunspots』は、漫画家をめざす女子高生が年上の漫画家との巧妙な関係を描く。自身の経験に基づく作品ということで、いろいろいろいろ考えてしまうところのある作品だし、マンガ業界に限らず日本でもこういったテーマは問題視されているのでかなり興味深い。

あとこの作者さん、以前に山﨑美紀さんが紹介されてたCity of Secretsの作家さんだったのかとかいろいろつながった。

マチュー・バブレがストーリーとアートを手掛けるゲーム「Cairn」制作中

2025年に配信予定の山登りアドベンチャーゲーム「Cairn」(開発元:The Game Bakers)に、マチュー・バブレがアートとストーリーを担当。活躍がすごすぎる。音楽には「Limbo」「Inside」を手掛けたチームも参加されてるということで期待大。

ギヨーム・サンジュランがアートを手掛けるゲーム「Citizen Sleeper 2」のゲームプレイが公開

ギヨーム・サンジュランがキャラクターデザインを手掛ける2025年リリース予定の「Citizen Sleeper 2」のデモプレイが公開された。グラフィックも進化していてすごく楽しみ。

さきに1のほうのエンディングをみにいかないといけないですね…。実況動画も配信してます…。時間作ってプレイしたい…。

米ユマノイド社によるメタル・ユルラン創刊50周年記念第1弾

この記事が公開されるころには終わっているが、米ユマノイド社がカザ『Arkadi and the Lost Titan』英語デラックス版のクラファンを6月に実施した。1975年に創刊された伝説的SF誌「メタル・ユルラン」の50周年記念の第1弾とのこと。第1弾ということは今後もレジェンダリーな作品を出していったりするのかも。要注目。

6月29日(土)「漫画原作映画の会」開催

6月29日(土)夜、書肆喫茶moriにて「漫画原作映画の会」を開催しました。定期的に開催している、ごはんを食べながらまったりお話しする漫画と映画の会です。今月のテーマは漫画原作の映画、映像化の話など、脱線しまくりながらわいわいおしゃべりしました!

来月7月20日(土)には書肆喫茶moriはオープン5周年を迎えます!
この日の夜に、簡単なお祝い会をしたいと思います!
お近くの方はぜひ遊びに来てください!

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