四姉妹の話~緑(ヴェール)~
■前回のお話はこちら■本編 私は再び老人の家の戸口に立っていた。
相変わらずその住まいはひっそりと静まり返っていた。静かに降る雨の音だけが広がり、家はこうべを垂れた老人そのもののように、疲れ切って見えた。
雨の日、老人は散歩に出ない。戦争の古傷が痛む、とかで外出したがらず、安楽椅子の上で終日を過ごす。
今日はリュヌも来ていないようだった。娘と見紛う老人の孫の男は、甲斐甲斐しく老人の世話を焼いていたけれど、毎日来ているわけではなかった。
私は幾ばくかの落胆を覚え、出直す