写真小説家~英雄の肖像~
■前回のお話はこちら■本編 牧場の中は寂れていた。日曜日の、しかもこんなにも天気のいい昼間だというのに、家族連れの客がちらほら見えるだけで、閑散としていた。
遊園地のような乗り物やバッティングセンター、乗馬体験など、かつての賑わいの残影を想起させるものが、そこかしこに残ってはいた。色あせた看板、閉店して物置になっているレストラン、打ち捨てられたゴーカート。
私は売店で牧場のウリのソフトクリームを買うと、ベンチに腰掛けてまばらな人並を眺めながらそれを舐めた。濃厚でありながら