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【詩】クラゲを負う者たち

自分を
自分の属する集まりを
嘲る

卑屈な人の
卑屈な集まりに
何かが覆い被さっている

透明でもったりとした
何か
巨大なクラゲのような
何か

彼らはその何かを
脱ぎ捨てることができない

その重くもったりしたものに
支配されながら
守られているようにも思っている

こんなものをおっているせいで
オレは十分に動けない
だからしょうがない
しょうがないんだ

かれらは仲間と目配せをし
なんとも言えない笑みを浮かべる

実のところ
本当にそのクラゲがあるのかは
だれもわからない

その感覚は彼らしか感じることができないし
集団催眠的な思い込みかもしれない

ただ仮に彼らが
そのもったりとした
クラゲじみたなにかを
脱ぎ捨てる日が来るとしたら

彼らはその身の軽さに
驚くだろう

あるものは耐えられないかもしれないし
あるものは狂喜乱舞するだろう

そして彼らの体は
月の海に向かって
浮かんでいくだろう

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