【詩】朝顔
暑さの気配が漂い始める朝
通勤途中に
雑居ビルの横を通りかかる
そのビルの歩道に面した壁際には
コンクリート造りの花壇が
備えつけられていて
夏のつる性の植物を育てるために
支柱が立てられ
ネットが張られている
そこにはゴーヤや朝顔が
ふと見ると
あまりみたことのない模様の朝顔の花が
一輪だけ咲いている
くっきりとした藍に近い紫色で
花の中心から白いラインが5本程度
放射状に走っている
きっとこの夏初めて咲いた一輪なのだ
とても美しい
花の脇を見ると
花壇の世話していると思しき女性が
スマートフォンでその一輪の朝顔を
撮影しようとしている
日除帽子のせいで良くは見えないが
とても嬉しそうな表情で
丁寧にピントを合わせている
花とその心の構図こそ
最高の美しさではないだろうか
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