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大学院で身に付くかもしれない力

お茶はいかが?
日々乃 夢です。
 今回の記事は、大学院で身に付くかもしれない力について書きます。
あえて、「かもしれない」と書いたのは、所属する大学院の制度やゼミ、指導教員との関係性などによって大学院の雰囲気が全く異なるだろうと想像するからです。
私は文系の大学院生で、人付き合いもあまりしないので、そのようにひっそりと大学院生活を送る人が何を学んでいるのか書いてみようと思いました。

大学院生になって身に付いた力

 私は、大学院生になってから身についたと感じることがいくつかあります。
大学院に入学する前、入学後はとにかく研究に邁進する生活になるかと思っていたのですが、実際のところ全く異なりました。
大きく分けると5つの方法を学び、実践できるようになったと感じます。
研究と関わるものもあれば、社会生活そのものに関わるものもあると思います。

①教授とコミュニケーションを取る方法
②自分の研究をアピールする方法
③書き直し、考え直す方法
④休む方法
⑤再開する方法

①教授とコミュニケーションを取る方法

 コミュニケーションは大学院生活の要だと感じています。大学の時の方が、人と接していなかったのではないかと思うくらいです。実は、この点に最も苦労し、今も苦労しています。
まず、教授とのコミュニケーションの中には、メール、面談、雑談、発表
といったものがあります。
個人面談(研究内容相談)をメールでお願いし、面談で会話を主導し、雑談で関係性を図り、発表で研究の進捗を知らせつつ必要なアドバイスをもらうことを繰り返しています。

 私は、雑談で何を話したら良いか分からないまま今日まで来てしまい、教授とのコミュニケーションは研究テーマを通して行っています。
そして、発表を通して自分の性格や経験を知ってもらっていると感じています。
最初は、雑談に混ざるべきか、もっと教授との関係性を深めるべきか、と考えたこともあるのですが、早々に諦めました。
他の人が教授と親しく話している姿を見て、「これは真似できない」と確信したのです。

 その分、研究発表に一生懸命取り組むことで、なんとか今日まで来れたと感じています。
集団の輪に入れず、世渡り上手とはいえませんが、出来ないことを無理してやると苦痛になってしまうので、今のところはこのまま進もうと思っています。

②自分の研究をアピールする方法

 大学院生になってから今日まで、とにかく「あなたの研究の意義は何ですか?」と聞かれています。研究テーマが決まり、研究を始め、研究に区切りを付けようとしても、あらゆる過程でこの問いにぶつかります。
答え方は人それぞれで、はっきりとした使命を持っている人もいれば、何かに引き寄せられるように研究に行きついたという感覚の人もいます。
私は後者なので、いつも回答に迷ってしまいます。
そこで、「あなたの研究の意義(面白さ)は何ですか?」とやや視点を変えて捉えて回答しています。
研究の面白さを、人に伝えるのであれば、例えば好きな映画や音楽について語ることと似ているように感じます。
もちろん、「面白い!(それ以上には言葉にならない)」という時が多いのですが、段々と「なぜ面白いのか」「他の人にとって面白いとしたらどのようなところか」など説明できるようになってきました。
一方で、他の人に「ここ、面白いですね」と言われて「ハッ そうなのか」と気がつく時があり、それはとても楽しい瞬間です。

③書き直し、考え直す方法

 論文は、完成というものがあるようでないように感じています。
締切があるので、どうにか完成という状態にするのですが、心から納得がいく形で書いたものを提出できたことがありません。

 少しずつ文章を書き進めて、教授に指導を受けると書き直し、また少しずつ文章を書き進めて、また教授に指導を受けてると書き直します。
修正については、「Aの部分をBにしてください」という指導ではなく、「Aの部分について再考してみてください」という指導が多いので、修正の仕方が学生に委ねられていると感じます。つまり、正解がないのです。
書き直し、考え直す方法を自ら編み出して、その方法も場合によっては再考し、また書き続けることは大学院生になってから見つけた力です。

④休む方法

 先ほど書いたように、完成があるようでないような執筆の日々には自分で区切りをつけるしかありません。休み方もまた、自分で見つける必要を感じています。
人によっては、研究室や図書館に通うことでメリハリをつけるようですが、私の場合は家の方が作業が捗ります。そのため、場所が変わらない状態で「執筆モード」と「お休みモード」をいかに切り替えるのかがいつも課題となります。
「執筆モード」が絶えず続くと、心身が疲れ切って全てが嫌になってしまうので、意識的に「お休みモード」にしなくてはいけません。
私の「お休みモード」は、日記を書くことやストレッチをすること、お昼寝をすること、ティータイムをすることです。

⑤再開する方法

大学院生活を送っている中で、「よし、研究を頑張ろう!」と意気込む気持ちと「…もう何もやりたくな~い、何も浮かばな~い」という気持ちが交互に来ます。そして、何もやりたくない気持ちが長期化すると、本当に何もしなくなり、このまま研究をせずに1年を終えるのではないかと感じ始めます。端的にいえば、「お休みモード」から戻れないのです。

 しかし、誰かに「やりなさい」と言われて始めた研究ではなく、ゴールが見える研究でもありません。つまり、やめるも続けるも私次第ということです。大学院は、言われた課題をこなす場所ではないからです。
課題を見つけるところから、研究は始まるのだと日々感じています。

何日もPCを立ち上げず、本も開かず、メールも見ずにいると、そちらが当たり前になってしまって、なんとなく過ごすことが出来ます。
そうした中で、どのように研究生活を再開するのか、少しずつ解決策が分かってきました。

私の場合、「とりあえず何らかの文章を1ページ(1行)読む」です。
そして、「読んだ!」と大げさに意図的に喜びます。声に出す時もあれば、日記に書く時もありますし、そっと心で呟く時もあります。

理由は分かりませんが、これをきっかけに研究を再開できる場合が多いです。
とはいえ、残念ながらいつもこの方法が利くとは限りません。

おわりに

 大学院生になって、専門性を高めつつも常につきまとうのが「私は何も知らない」という気持ちです。
無知の知、という言葉がありますが大学院生活はこの言葉がぴったりだと感じます。調べたから分かる訳ではなく、考えたから分かる訳でもない中で、知識を吸収しながら、時に自らの固定観念を問い、知識を吸収しなおす毎日です。

知らないことが世の中にたくさんあるからこそ、焦点を絞った研究テーマを軸に社会のことを理解しようとする時間が大学院生の特典なのかもしれないと思っています。