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【インタビュー】保育士さんのお仕事編

事務職でキャリアを積み上げてきた虻川が、いろんな職業のことをお勉強するシリーズ第一弾。
今回は、保育士として働く、友人の和田さんにお話をお聞きしました。
和田さんは、短大で保育士資格を取得し、保育園で働いていました。一度、保育のお仕事から、離れたこともあったそうです。離れたことで得た、保育のお仕事への想いや、これからのキャリアについてお伺いしました。

Q 和田さんは、上京したと聞きましたが、どこ出身でしたっけ。笑
 いつ頃、上京してきたのでしょうか。

A 出身は岐阜です。1年前に上京しました。社会人2年目から地元を離れて、いろんな場所で保育とは違う仕事を経験しました。上京したのを機に、「やっぱり保育職がやりたい」と思い、現在に至っています。

Q そうだったんですね。保育士から、違うお仕事をしたいと思ったのは、なにかきっかけがあったんでしょうか。

A 短大を卒業して、家から車で5分くらいの保育園に就職しました。そこでは、2年ほど、正社員として働いていました。
 新卒として保育園に就職した時は、夢をいっぱい持っていたんですよ。「自分のクラスの子どもは、我が子のように愛情を持って育てよう」とか、「子ども一人ひとりに、寄り添った保育をしよう」と思っていたんです。
 でも、働き始めてから、職場の人間関係に悩むことがありました。それに、園長さんが、保護者の方の目線を特に気にする方で、園長さんからのプレッシャーを感じていました。そこから、自分がいっぱいいっぱいになってしまい、子ども一人ひとりに、寄り添えなくなってしまいました。余裕がなくなってしまって、子どもに冷たい態度を取ってしまうことがありました。それで、「こんな保育をしてしまう自分は、好きになれないな」と思い、担任の仕事を終えてから、正社員を辞めました。
 そこから、一回保育の仕事から離れようと思い、カフェスタッフなど、様々な接客業を経験しました。でも、「やっぱり保育に戻りたい」と思い、保育士に戻りました。保育の仕事が、私の天職なんです。

Q 天職なんですね。保育士の仕事の魅力って、どんなところなんでしょうか。

A 子どもの成長を感じる時が、自分のことのように嬉しくて。保護者の方に「今日は、こういうことができたんですよ」とお伝えした時に、「家で普段やらないのに、保育園でできたんですか!?」と言ってくれたり。保護者の方と、嬉しいことを共有できることが、自分も嬉しくて。色々な接客業を経験しましたが、保育では『できなかったことが、できるようになった喜び』を共有できるんです。そこに私はハマってしまって。
 あと、子どもから学ばせていただくことも多くて。そこも魅力ですね。

Q 子どもから学ぶって、どんなことがありますか?

A 例えば、優しい言い方で「片付けしてね」とか「これ持ってきてね」と言っても、やらない子もいるんです。言い方が優しくても、その子に伝わっていなかったら、意味がないじゃないですか。「この子には、どういう言い方したらいいんだろう?」とか、「どんな角度から伝えよう?」とか、自分の言ったことの伝わり方を、すごく考えさせられます。正解がない分、楽しいです。子どもの成長が感じるのが、一番楽しいですね。
その延長で、子どもだけでなくて、もっと保護者の方の力になりたいな、と思うようになりました。

Q 『保護者の方の力になりたい』というのは、どういうきっかけがあったんでしょうか。

A これは、仕事中の出来事ではないんですけど、この前、私のお母さんが家に遊びに来てくれたんです。一週間くらいずっといて。冷蔵庫がお惣菜でぱんぱんになってて、嬉しかったんですけど(笑) お母さんが帰った後に、色々振り返ってたんです。自分の子どものころのことも振り返ったときに、一つ覚えていることがあって。
私が小学生1年か2年の時に、体調を崩して学校を休んだんです。当時のお母さんは、弱音も吐かずに家族のために、働いてくれていました。家に仕事を持ち帰るくらい忙しかったのに、その日は私に合わせて、会社を休んでくれたんです。その時、リビングでお母さんが、私のことをぎゅっと抱きしめて、泣きながら「頑張るからね」って言っていた風景が、ずっと頭の中にあって。その時は、お母さんが泣くイメージがなかったので、「なんで泣いているんだろう」とか「頑張るってなに?」ってわからなかったんです。
今になってその風景を思い出すと、二人の子どもを育てながら、仕事をしてて、いっぱいいっぱいだったのかなとか、お母さんはメンタルが強い方ではなかったので、職場での見られ方とか、実は気にしてたのかなとか。自分の中で、当時のお母さんのことを考えると、もしあの時に、お母さんの話を聞いてくれる存在がいれば、もっと前向きになれたのかなあって思うんです。手助けはできなくても、心の負担を減らすことはできたのかな?とか、そういうことを考えだしたら、子どもを育てることも大事だけど、子どもを育てるお母さんって、すごい負担が大きいなと思ったんです。なので、産後ケアとか、子育てママさんの力になりたい、癒しを与えられる人になりたいという想いも強くなっています。

Q そうだったんですね。
  では、保育の仕事に戻ってきてからのお話を聞かせてください。新卒で働いていた時と、和田さん自身に変化はありますか?

A 当時は担任を持っていたんですが、今は担任を持たない、保育補助メインで働いています。やっている内容がそもそも違いますね。私は、今の働き方がめちゃくちゃ好きで。当時は正社員で、保育の業務全般を担当していました。自分が子どもの月齢に沿って、どうアプローチしていくかを考えたり、毎日の子どもとのコミュニケーションと、沢山やることがありました。今は、担任の経験があるうえで、保育補助がメインなので、今こういう業務をしたら、担任の先生の負担が減らせるだろうな、と先読みして支えることもできる。それに、担任と違って、書類の記入がない分、全力で子ども一人ひとりに関わることができます。
保育の業務全般を、100%の力で先陣を切って担任として保育するより、保育補助の業務を120%の力でやっている感じがして、今はこっちの方が、私らしく働けるなあっていう部分で好きですね。あとは、担任の先生に対して、自分が気づける部分もあるし、子どもに寄り添える時間や、心の余裕ができたので、こっちの働き方が好きで。そういう違いはあるかもしれないですね。

Q そうなんですね。保育園のお仕事について詳しく聞かせてください。
  書類の記入や、子どもと関わる業務について、どのようなものがあるのでしょうか。

A 書類、めちゃくちゃ多いんですよ。世の中の担任の先生って、すごくって。保育園によって仕様が変わるんですけど、年間計画、指導案、連絡帳、お便り作成、保育日誌、人によってはシフト作成もあります。保育園の考え方や方針も様々で、保育園によって、書類や職員同士の共有の仕方は違いますね。
だいたいの保育園で、土曜保育も実施しています。平日も、幼稚園は14時ごろに子どもが帰るのに比べて、18時まで預かっていることもあります。保育園によっては、20時から21時くらいまで、子どもを預かっていることもありますね。
幼稚園は、ひらがなを教えたりとか、子どもに一斉に教えることも多いんです。保育園では、一人だけちょっと周りと違う行動を取る子がいたら、その子に合わせたりとか、加配保育士と言って、その子の専属の保育士がつくこともあります。保育園でも、ひらがなを率先して教えることもあります。卒園した後に、幼稚園と保育園の子どもの間で、ギャップが起きないようにするためです。年長クラスでは特に、子どもが小学校に行った時に困らないようにという目線も考えて、時には厳しく言う方がメインになります。でも、その子のペースを考えるなら、もっと寄り添った保育をしてあげたいという想いもあるので、そこで葛藤することがあります。……う~ん、もうちょっと給料上げてほしいですね、保育は。

Q そうですね。お話聞いていると、そう思います。
  ここからは、和田さん自身のことをお聞かせください。
  「私らしく働ける」とおっしゃっていましたが、和田さん自身の理想の働き方はありますか?

A 自分中心な考え方なんですが、自分が関わる事で、「いま、お母さんの役に立ってるな」とか、「いま、子どもにちゃんと寄り添えてるな」とか、そういう実感みたいなものがあると、いいなと思います。理想の保育だな、と思いますね。
 以前、私が担任をしていた社員時代は、保護者の方に「家では全然おむつが取れないんですけど、保育園ではどうしてますか?」と聞かれた時に、保育園での状況を説明するだけしかできなかったんですけど、今思うと、「保育園ではこうしているので、こうしたらいい方向に行くかも」と、プラスアルファで言えることや、保護者の方が安心できるような伝え方ができたのかなと思うことがあって。
いま、保育園に戻ってきて思うのは、保護者の方に対しても、もっと寄り添いたい、という気持ちが増えていることです。それに、保育園や、施設にとらわれることなく、自分個人で勝負できるような仕事をしたいなと思っています。現状だと、ベビーシッターも気になっているので、登録会に参加する予定です。

Q 「個人で勝負できるように」と思ったきっかけはありますか?

A きっかけの一つは、小さい頃のお母さんとの思い出があります。もう一つは、保育補助で働いていて、心のゆとりや、やり方は合っているなと感じる反面、担任をしていた時に感じたやりがいは、保育補助だとあまり感じられていない所です。今までできなかったことができるようになった!という部分が、保育補助だけの関わり方だと、気づけても、気づきが薄く感じていて。担任だともっと深く気づきが感じられると思っています。子どもと関わる時間が、担任が100時間だとしたら、保育補助は50時間くらいなので、50時間分のやりがいは感じられるんですけど、残りの分は感じられないので。なので、もっと一対一で子どもと関わりたい、個人で勝負したいと考えるようになりました。

Q 個人で勝負するにあたって、和田さんが鍛えていきたいことはありますか?

A 人間力ですね。個人で勝負するとなると、フリーランスや業務委託など、勤務形態はさまざまだと思うのですが、どうなるとしても「またこの人にお願いしたい」と思ってもらえるような人になるのは大事だと思っています。私と話して楽しい、心が軽くなったと思われるようになるのは大事だと思っています。なので、今は仕事以外にも、交友関係を広げています。いろんな人と関わる事で、こんな人もいるんだ、と自分が考えるきっかけになったり、この人にはどんな関わり方をしたら、伝わるのかな?と考えて話したりと、人に会うことを意識しています。
 保育の専門的な知識は、自分で学んだり、講演会に参加することで勉強できるので、人との関わり方は、人と会うことで学んでいきたいと考えています。

Q 人間力を鍛えようと思ったきっかけはありますか?

A 人との出会いですね。友人を通じて、年上の女性とお会いする機会があって。その方とお話していた時に、今までの自分って、感覚で生きてきたなあって思って。「私、このまま派遣で保育補助でずっとやっていきたいのかな」とか、自分のことを考えるきっかけができました。それで、なんで派遣社員やってるんだろうって目的を考えたら、ただ時給が高いからっていうだけで。それだけじゃなくて、先のことをもちゃんと考えようと思いました。自分がどういう人になりたいのか、と考えていったら、もっと保育を極めたいんだと気づきました。そういう目的意識を持って生きていくことが大事だとと教えてくれる存在と出会えたことがすごく大きいです。

Q 今後の和田さんがどういう人生を生きていきたいか、教えてください。

A 自律している女性になりたくて。相手のことも、自分のことも大事にできる女性になりたいです。もともと、私は自分のせいにし過ぎちゃうところや、ネガティブな部分もあったので、自律した女性っていうのは理想です。自分のことも大事にするというところで、やっぱ、我慢をするっていうのは良くないなと思っていて。自分のやりたいと思ったことをやるのも、自分を大事にしていることに繋がっていると思っています。なので、保育で個人で勝負できるようになる、そのために人間性を磨いていくっていう部分は、ぶれずにやっていきたいです。仕事も、プライベートも同時進行で、自分が好きな人と、もっと信頼関係を築いていきたいと思っています。
 プライベートだと、愛のある家庭を築きたいと思っています。楽しい時間の共有は、誰とでもできると思っているんですけど、苦しい時こそ寄り添えるみたいなパートナーが欲しいです。家庭と仕事を両立できるようになりたいと思っています。

和田さん、ありがとうございました!

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