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未来予測は無理!BONX CEO宮坂と小説家の小川哲氏が未来予測をテーマに特別対談【名言続出】

BONXの宮坂貴大と、これまで数多くの賞を受賞し、昨年の直木賞候補となった「嘘と正典」著者である小説家の小川哲氏が未来予測をテーマに対談を行いました。今回は、その時のダイジェストを文章でお送りします。

今後もBONXではCEO対談や他企業様とのコラボレーションを企画しており、11月17日(火)の配信はアズパートナーズのCEOの植村氏をお招きします。

テーマ①:小説家や起業家は今後どのように変わっていくか?

小川:どうやってお金を儲けようかって考えると、10年とかの単位で考えたら変わらないですね。小説家って基本的には印税を得るっていうのと原稿料を得るっていうのがメインの収入源なんですけど、印税を得るために出版社から本を出すわけですよね。雑誌から原稿料を貰うっていうのも出版社から貰うわけですよ。だから結局小説家って出版社に依存した商売形態なんですよ。


宮坂:小川さんってすごいビジネスビジネスされてますよね。僕小説を読んでからすごいクリエイティブな天才的な感じの方なのかなと思ったのですが、最初から結構小説家になったこと自体がすごい戦略的にキャリアチョイスをしてなってるし、SFを読む人の人口が日本にもこれぐらい何十万人とかマーケット規模があって、こういう賞を取ればこういう感じで飯が食えるみたいなビジネス設計をされていますよね。

小川:嫌なことはやりたくないんで、自分が嫌なことやらずに自由に小説を書いてそれだけで生活していくためにっていう外堀の部分はしっかり考えましたよね。


宮坂:10年ぐらいはビジネスモデルは基本的に変わらないっていうことなわけですよね?

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小川:そう、出版社に要は依存したモデルで。じゃあ出版社ってどうやって収入のモデルがあるかっていうのが次に大事になるわけですね。出版社って出版で儲けてないんですよ。出版社で黒字になってるのって多分基本的にはコミックスだけなんですよ。小説とかはトントンかちょっと赤字みたい。雑誌がすごい赤字を垂れ流してるみたいな。逆に言うと出版不況とかは作家にとってはそこまで大問題じゃないんですよ。

小川:昔はもっと儲かってたんですけど、でもここ何年かはあんまり黒字じゃなくてもやってるみたいな。でもそれはやっぱり出版社って本を出すっていうのはお金儲け以上に本っていうのがその時代に出版された本っていうのが、100年後とか200年後とかにその当時の人々が何を考えてたのかとか、どういうことをしてたのかとかっていうものの記録になるので、要は文化を残すっていうお金とはまた違った方向の価値があるっていうのを出版社の人も勿論考えててやってるというか。だから売れる売れないだけで、勿論それもあるんですけど、売れる売れないはあるんだけど、それだけで皆が皆動いてるわけじゃないんですよね。小説家の有り方も結局変わらないし。小説家って今サブスクライブで生活してる人ってのが居ないんですよ。

宮坂:ちなみにこのビジネスモデルが多分あんまり変わらないだろうと、小説ってコンテンツ自体もさっきちょっと話ながらコンテンツが予測できないっておしゃってましたけど、どうなんですかね変わっていかないんですかね。

小川:中身はもう5年10年でもう変わるし、トレンドとかも多分変わるだろうし、もちろんトレンドと関係なく書いている人も居るから変わる部分と変わらない部分あるし、中身は結局その作家それぞれが何を感じて何が良いと思ってとかっていう所なんで、あんまり関係ないっすよね時代とか。

だから数年とか経ったら変わりますよそりゃもちろん。ただ小説の仕組みというか、小説のルールみたいなものってもう1000年くらいかけて作られたものなので10年とかじゃ絶対に変わらないんで、中身は変わっても形式は変わらないですよね。

宮坂:音楽だってそうですもんね。

宮坂:起業家が変わるかみたいな話でいくと、マーケティングからセールスまで自分で小規模で出来るようになって起業のハードルがどんどん低くなっいるので、起業っていうあり方も多様化するし起業しやすくなってくっていう意味で、僕自身やっぱりどんどん起業家の人が増えるといいと思ってるんですけど起業が始まるのって最初に想いがないと始まらないと思うんですよね。

もしくはビジョンとかパッションとかが一人の人が持って始まると思うので、それを持っている人が今後増えるのか減るのかっていう。

テーマ②:起業家の成功ストーリーは物語としてどうか?

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宮坂:BONXが最初に始まったきっかけはロールモデルっていうかインスピレーション与えてくれた起業家がいたんですけど、それがニック・ウッドマンっていうGoProの創業者ですね。ストーリーが結構重要でBONXって元々雪山で滑りながら話したいっていう原点としてあるんですけど、ヒントはGoProのサーフィンをしてる姿を簡単に撮りたいっていうニックの始めたGoProがあって、そのGoProがサーフィンを超えてすごいスケールしていって大成功を収めたみたいなストーリーがその時かっこいいなと思ってサーファーがそんなこと出来るんだったら俺もスノーボーダーとしてそいうこと出来るべと思って始めたっていうことなんで、やっぱそういうストーリーってすごい大事な存在ですね。

小川:僕は自伝に書かれない話を書きたいって書いたんですけど、ザッカーバーグとか、人間って自分の人生都合よくストーリーにするんですよ。

宮坂:そうですよね。


小川:起業家って色んな会社やって失敗して今の会社に至ったとかあるじゃないですか。でもそういうストーリーを、あの会社正直何の意味もなかったっていう失敗とかも糧に、その人の人生の中でストーリーに組み込んで無理やり教訓とか引き出しちゃったりするんですよ。

宮坂:しますよね。

小川:でもそういう所に僕はむしろ魅力を感じるというか人としての、もっといい加減でもっと偶然だと思うんですよね、人間の人生って。人間の失敗って80%くらいは何の意味もない失敗が僕は結構あると思うんですけど、結構そこを起業家は教訓にするの上手いですよね。

テーマ③:どうやって未来を予測するか?

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小川:無理

小川:結局SF的なものって、その未来を読者が想像できるから面白いんですよ。読者が想像できる未来っていうのはもう見えてる未来なので、SF作家が予測した未来っていうのは割と予測可能な未来が多いんですよね。ZOOMでいうと、ZOOMが流行って他の通話するサービスが流行んなかった、日本ではLINEが流行って、ワッツアップは流行らないなど、細かいことが積み重なって起こることなんで予則するのは無理ですよね。コミュニケーションの手段としてテキストチャットがこんなに流行るっていうのも予測してる人多分いないんですよ。例えばSF作家って未来になったら電話っていうのは無くなって全部テレビ電話になるっていう小説の書き方を70年代ぐらいしてたんですよね。

宮坂:ホログラムとかですよね。

小川:そう、相手の姿が出てとか、でも未だに電話って皆使ってるじゃないですか。結局だから顔見えない方がいいじゃんってなったわけなんですよ、だから技術的に優れてれば必ず流行るっていうわけではなく、人間は技術的に優れてるものとかよりもむしろ未熟で電話みたいに相手の顔が見えない方が気楽にコミュニケーション取れるっていうことが分かったわけですよね。テレビ電話ってだって2000年ぐらいにはもう技術的に可能だったんで、流行らなかったじゃないですか。だからZOOMによってちょっとテレビ電話みたいなものがちょっとまたコミュニケーションの手段とは全く別のものとして使われるようになったっていうだけで、皆やっぱりLINEとかメールとかやりとりしててコミュニケーションの。どんどんそれはむしろどっちかって言うとローテクになってって、情報としては減っていってて、テレビ電話からむしろ真逆の方向に行ってると。じゃあそういうのをSF作家は予測してたかっていうと出来ないし、SF作家っていうのが未来を正しく予想する事が仕事ではないし、予測自体、僕は不可能だと思うんですよね。

宮坂:めちゃくちゃ面白いですけどね。

小川:1つちょっと今一番SF作家を悩ましてるものとすると、技術よりも倫理の進化のスピードの方が速いんですよ。倫理が先に進歩しちゃうと技術的に可能なっても、実現しないかもしれない。
倫理、広く言えば価値観かもしれないですね。価値観自体が滅茶苦茶インターネットが出来てから今後もものすごい速度で加速していったと思うんですけど、それこそパワハラ、モラハラに付いて行けてない人がいっぱいいるわけじゃないですか。そういう意味でもその進歩にまず付いていかないと。

宮坂:確かに数十年前はそんな問題じゃなかったわけですからね。

宮坂:僕も未来の予測をするのは起業家の仕事じゃないと思っていて、どっちかというと、テクノロジーが進化してきたり倫理が変わってきたりして丁度ビジネスになりそうなものっていうのが何かっていのを見極めるっていうことなのかなと思っていて、未来の予測っていうのは起業家でも小説家でも難しいですよね。 

テーマ④:今回の対談のまとめ

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小川:ビジョンですよね。こういう世界になったら良いとかまずいよねとか、そういうのを考えることによって現代に通じるはずなんですよ。
メールだってメールするならどこのサーバーを介してるかなんて分からないので、誰かが本気でその情報を得ようと思ったら出来る訳ですよね。全ての技術に頼ってコミュニケーションする以上、人間ってもう別に情報としては全部吸われてるわけですよ。
そもそも自覚がない人もいれば自覚があるけど便利だからいいやっていう人もいるし、そういうのってどうなんだろうといった考えは損じゃないし、考えた上で便利だからいいでしょっていうのも1つの結論だと思うしって。
そういう様々なレイヤーを想像をして極端な世界とかを作るってこと自体は僕は価値があることだとは思うんですよね。

宮坂:色々な未来を1個にすることは無理なので色んなパターンを考えてそれに応じて対応できるように今を考えていこうといったやり方があるので、そのシナリオプランニング的な意味で言うと、色んな未来を予測というか想像するっていうことは、すごい意味があるとこですね。

小川:実際にプロダクト作る人とかサービスやる人って多分パッションがあるから、そんな何パターンもの何かとか無いですよね多分。

宮坂:僕らの場合は最初は滑りながら話せたら素敵だなっていうところから始まりましたけど、世界は僕らの遊び場だといった世界観を作ってそういう世の中の方が良いよねって言って、僕らのチームをドライブしてるフィロソフィーになってると思うんですよね。だからこうしたいっていう方がこうなりそうというふうにたくさん考えるよりも大事ですよね。

小川:でもSF小説もパッションだと思います僕はね。

宮坂:なるほど、今これ書きたいっていう感じで書いてるっていうことですか。

小川:そうそうそう。未来はこういう技術があるからこうなってとかっていうのを机上の空論で書いてもあんまり読者には刺さらないんで、多分。

次回のウェビナーのご案内

BONX CEO宮坂とアズパートナーズ CEO 植村氏が「最先端の介護現場のDX」をテーマに対談、参加無料のライブ配信を行います。

BONX×アズパートナーズ_Aa

開催日時:11月17日(火)15:00-16:00
参加費:無料
ツール:Zoom
参加申込フォームhttps://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScvrlMPx0UoFG1nWy7fe9-rBjmArIHAJdlf1XeODND9F1ILxQ/viewform

※上記のお申し込みフォームに記載いただいた方に、メールにて参加用URLをお送りいたします。お申し込みはフォームに入力するだけですので、1分程度で完了します。