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日常のステップ#16 美しさ
東京駅から北陸新幹線に乗った。長野に向かう。
午後6時、西日が街を染めてゆく。
北に向かう車両の中、東側の窓際からは薄ピンクとオレンジに顔を赤らめてゆくビルがとつとつと続いた。
西側には、鋭いまぶしさをまとった夕日がのぞく。家族連れがシャッターを切る。
夕暮れ時の、夕日の美しさはもちろんだけど、
最後の力をふりしきって輝く日に照らされた
街や人も、負けないくらいに美しい。
夕方江ノ電に乗った時、西日に照らされた人々が、顔の造作なんて関係なく、あまりにも綺麗だったのを思い出した。
美しさを目の前にした時の、人々の反応は様々だ。
たとえば美術館で美しい絵を見た時、
そこにただ立ち尽くす人もいれば、
なにがいいのかを分析しようとしたり、情報を説明しようとする人もいる。
最近は、綺麗なものを見ると、言葉では説明できず、ただ涙が出てくるのだ。
知性の限界か、それとも感性の氾濫だろうか。
そんなことを考えていたら、谷村新司の「北陸ロマン」が流れ、目的地に着いた。
着いた先の駅のコンビニで、棚に並んだじゃがりこをドラムにして遊ぶ女の子がいた。
私もまだまだだな、と背筋が伸びた。
写真は今夜の月。シャッター速度と手ぶれが混じると、こんな不思議な写真が撮れる。
私の父は乱視で、月が二つ見えると言っていた。1Q84の世界じゃん、と思いつつ、真実は人の数だけある。あながち間違ってないのかもしれない。
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