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アメリカロードトリップ#1/ マサチューセッツ〜ニュージャージー


旅の背景、経緯、目的

旅立ちの朝、さようならマサチューセッツ

5月22日、水曜日。友達が通っているマサチューセッツ州アマースト大学の寮で、昼の12時に目覚める。昨日、急遽翌日に発つと決まったので、急いで荷造り、のはずが、インターンのアプリケーションを夜中までしてしまったせいで寝付けず、結局徹夜して朝を迎えた(6月14日後記:このインターンはおそらくご縁がなかった)。寮に泊まらせてもらっている友達の寝息がなんだか心地よかった。友達が車に乗せる荷造りをしている間に、わたしは郵便局に日本に送る荷物を届けに行く。段ボールは予想外に持ちにくく重くて、行きの10分は何よりも長く感じた。郵便局について待っている間、腕はプルプルと震えていた。そして帰りにポールに左足の小指をぶつけて血を出した(その後日本に帰ってからもなかなか治らなかった)。

16時半くらい、運転してくれる友達と落ち合い、早速出発する。乗る前に、部屋に泊めさせてくれた友達が熱いハグと、足の小指の救急処置をしてくれた。目的地であるニューメキシコで、生きて会おうね、と。彼女は卒業式があるので大学に残り、合流することになっていた。

友達が私の自画像を運んでくれる様子が可愛かった。

久しぶりに会うメンバーということもあり、ルンルンな車内。音楽をかけながら、ゆっくり走り出す。目の前の車のトランクにちっちゃな猿が挟まっていた。州によってデザインが違うナンバープレートを見て、あの車あの州だとか言って楽しむ。ガスのポンプの蓋が開いてるトラックがいて、開いてるよ!って伝えようとしたけど、手を振ってるだけだと思われたみたいで振り返されて終わった。

コネチカットの夕暮れ

17時半ごろ、お隣のコネチカット州に入る。「コネチカットについて一つ教えて」、と言ったら、友達が「キーアボーイズ」のことを教えてくれた。9−13歳くらいの少年たちが、キーア(KIA)とかヒュンダイ(HYUNDAI)という車を盗んで、ぶいぶい走らせてるらしい。ちなみに車に疎い私は最近までHondaとHyundaiのロゴの違いがわからなかった。

路上だと見分けがつかないのよ

渋滞に巻き込まれる。うう、渋いな。運転してる友達の顔もなんだかちょっと不機嫌になる。目の前のMississippiのナンバープレートの車は、やや荒い運転をする。こりゃまずいな、と思っていたら、右から一気に西日がさした。

18時半ごろ、右手に見えたのは"Welcome to New Haven!"という看板。私のお姉ちゃんが憧れていたイェール大学がある場所だ。気分が良くなったのか、渋滞を抜けて周りの車の心配をしなくて良くなって、"High Hopes"をかけながら窓を全開にして大声で歌いまくる。次はテイラースウィフトのWe'll never getting back together。それを歌う運転する友達の、一トーン下な声が好きだった。窓を開けてタバコを蒸しながら走る運転手が多い。右側には、赤い電車がゆっくり通る。

出た、ベタ踏み坂!

美しく悲しい街ニューヨーク

7時半ごろ、ニューヨーク州に入った。短いように見えて、コネチカットでかなりの渋滞に巻き込まれたので、ここまでの道のりはかなり長く感じた。ニューヨークの美しい街並みと、運転する友達と前に見た映画パターソンのロケ地が看板に映る。ジョージ・ワシントン・ブリッジを抜ける時、その美しさに圧倒されながらも、春学期の期末エッセイで考察したジェームズ・ボールドウィンの小説「アナザー・カントリー」を思い出していた。たくさんの人が集まり、しかしそれぞれが孤独を抱える場所、ニューヨーク。こうした大きな橋で自ら命を絶った小説の主人公ルーファスの死からは、アメリカでの人種差別と性的マイノリティへの差別の交差点が見えてくる。

ニューヨークの橋

ニュージャージー州のモーテルで夜を明かす

ニュージャージー州に着いたのは、20時過ぎ。後方の席に置いていた水のボトルの束がキュッキュッと踊っていた。フロリダのナンバープレートはなんか可愛い。American Dreamというモールがあったんだけど、なんかゴテゴテしていて、アメリカの夢はプラスチックでできるんかと思った。

フロリダのナンバープレート(引用:http://home.h07.itscom.net/antelope/florida.htm)

20時半、ニュージャージーのサービスエリアに停まる。月が低くて黄色くて、なんだか見つめられてるみたいだった。ここでちょっと休憩と食事をして、モーテルをそろそろ取ろう、そして朝早く出発しようという話をした。

サービスエリアにて。月に見つめられる。

21時過ぎ、「モーテル6」という宿に着く。全米にチェーンがあるモーテルだ。モーテルは、車で旅してる人が、車を停めてシャワーを浴びたりベッドで寝たりするためのもので、ホテルに比べて質素だけど、高望みしなければ割と満足して泊まることができる。安いところだと40ドルから80ドルって感じ。このモーテルの評価はすこぶる悪く、夜は特になんだか物騒としていたけど、十分に泊まれる部屋だった。テレビは砂嵐、ベッドに紙はついてるけど、まあわたしにも髪はあるしね、ってことで就寝。こうして色褪せないうちに少しジャーナルをつけて、メディテーションをして、お風呂に入ってから寝た。

モーテルってこんな感じ。平成初期に建てられた集合住宅のような趣がある。

今日驚いたことは、アメリカのハイウェイにはほとんど通行料(toll)がかからないこと。この5000マイルの旅の中で2回くらい、陸橋からナンバープレートの写真が撮られて登録されている自宅に請求書がくる(でもいうて数ドル)場合があったのと、ETCが数回くらいあったくらい。整備のためのお金は道路税に含まれているとかいないとか。だから、時間があって運転するのが苦じゃなければ、アメリカでのロードトリップは、飛行機などの手段よりも安く行けることになる、と友達は話していた。

本日のマイル・レコード

走行距離:171マイル(275km)
走行時間:3時間58分

それではまた二日目で!

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