見出し画像

留学日記 5週目、出会いと別れ


雑記:変化とご縁

日本からアメリカに留学中の大学生のサリです。もうすぐ留学生活も終わり。どれだけいろんなことに挑戦しても、何かをやり残したままで終わってしまいそうなことが今は怖いです。そして、いずれ旅立つ身ということもあり、ここで関係性を築いたとて、いつか離れ離れになってしまうことがどこかに影を落として、少しばかりの虚しさをもたらすこともあります。この興奮も、その終わりの寂しさも、きっとまた、新しい生活が始まれば忘れてしまうのでしょう。そうやって生きていくのだろうし、人生は交差と別れを繰り返しながら進んでいきます。どれだけ果てしなく思えても、この繰り返しの中で得る学びや喜び、そして時に得る傷つきは、何物にも形容できない自分という形を彫り出し、その形を見る誰かにまた影響していく。ふと立ち止まっては、かすかな悲しさの中に美しさを見出すこの頃です。人生について考えるとき、頭に浮かぶのはジブリの曲なのはなんでだろう。「いつでも何度でも」や「明日への手紙」を聴きながら、中間期間で賑わう図書館の地下一階でこれを書いています。こういう時ほど、エッセイには書けないけど、すごく大事なことが降りてきたりします。

これまでの、そしてこれからの目標の一つ。ご縁を感じたことにはとことん挑戦すること。今は、点をたくさん作る。それが繋がるのは、後の後でもいい。友達からもらった言葉、「何かに挑戦することを諦める時、その理由が『恐れ』からでないことを確かめてね」。この言葉は、ことあるごとに私を奮い立たせます。

続けること・やめることリスト

そうだ、先週、「続けること」「やめること」をいくつか書き出したのでここにも載せておこうと思います。

続けること
・毎日絵を描く
・食事前に感謝の言葉を心の中で唱える
・タスクの時間も予定に組み込む
・ジムかダンスで、少なくとも一日おきに身体を全力で動かす
・受容/マインドフルネス(今、ここ、にしか自分は存在していないことを改めて確認する)
・言葉のみならず、身体表現や感情表現にもっと堪能になる
・コンスタントなアウトプット(絵、音楽、詩、目標等)。自分のアートをとりあえず人の目に晒す。自分のアートに自信を持てるようになりたい!
・会いたい人は自分から誘う
・きつい時は、相手に正直に自分の状況を伝える
・(しんどい時ほど)おしゃれする
・おもしろいと思える機会見つけたら、全力で取り組んでみる

やめること
・移動中や自習中と、ジム・ご飯の時に惰性で音楽を聴く(うるさい時や限界な時は🆗)(いわゆる雑音の豊かさに気づく)
・歩く時に人の目気にしてキョロキョロする
・メールの返信をいつまでも待つ(自分からリマインドやフォローアップをする)
・恐怖を理由に、何かに挑戦するのを諦める
・アラームの無限スヌーズ(ガチ起きなきゃいけない時間にだけかける)
・大人数の時、質問されたり話を回されるのを待つ(自分から質問したり挨拶したりしてコミュニケーションとる)
・リーディングや課題終わってないからって先延ばしして明け方まで起きるアレ(終わってなくても別に世界は終わらない)
・体調がしんどい時に無理する

日記より

それでは、日々の日記パートへ。

3月4日 火曜日☁️ お隣アマースト大学へ

10:30 朝ご飯・リーディング 食堂
恐ろしく時間がなかった朝、テイクアウトの容器に入っていたはずだったポテトが消えた。

11:30 Professor Bradleyとのオフィスアワー Cooper Hall at Amherst College
隔週でお願いしている、日本での知り合いの友達、Bradley先生。Black studiesの先生で、私が見て面白いと思った人種問題の映画の話や、今進めているIndependent Studiesの相談や分析点を話す。素敵な先生は必ず、話した後にエンパワーされた気持ちにしてくれるという共通点があると思う。先学期は少し困難だったけど、今学期はいろんな場面で教授たちとの授業を超えた関わりを持ててることが嬉しい。

13:30 Social Construction of Whiteness Ford Hall
リーディングは正直終わっていなかった。でもどうにか食らいついた、という感じだった。途中ついていけなくなった時は教授の絵を描いていた。今日ももう一人のUMass生は自分の作っているアートについて10分くらい話し続けていた。質問したいけど、それを遮るわけにもいかずいつも苦しくなってしまう。授業後オフィスアワーをお願いしていたので、エッセイのドラフトを見せて意見をもらった。多少の軌道修正はあれど、この感じで進めて良さそうという感触を得られてよかった。

16:00 友達とお絵描き・夜ご飯 Valentines Dining Hall
今日は、アートの授業の課題で「1日一個絵を描く」というお題を出されている友達と、一緒に絵を描く会を開催した。その子が、別の授業で「90秒の音を集めてこい」という課題を出されているらしく、音について話してくれたので、私もインスパイアされて、食堂の喧騒や、雨の音を注意深く聴くようになった。道を歩くとき、ヘッドホンするの勿体無いな、とふと思う。そして就活中のその友達は、選考の一環である自分史の課題を見せてくれた。振り返る機会をもらえるのってなかなかないよなという気持ちと、でもそんなに大変で個人的なことを学生にさせるんだからちゃんと読めよな、という企業への気持ちがおりまざる。アマースト大学の日本語テーブルというのにまた連れてってもらって、そこで"Sublime Jeff"と呼ばれる友達の間で有名な頭のいい人に初めて会った。「おお!噂はかねがね、、!」という感じで初対面。アートやジェンダーの学問の話に興味を持ってくれて、こうやって友達に話す機会を重ねることで自分の興味分野の説明もうまくなっていくんだろうとか考えた。

20:00 エッセイ作業 Frost Library at Amherst College
楽しい時間は、去り際の勇気が肝心。1時間くらい話した後、図書館に移動して各々の課題に取り組んだ。そろそろ寝るわ〜と言って一人帰ったり、時々お互いの調子や意見を聞いたりできるこの感じ、心地いいと思った。隣のテーブルでとても声のとおる人が喋り続けていて、忍耐力は培われた。かも。

23:30 帰宅 寮の自宅
いつも火曜は疲れ切って帰ってくる。明日まで頑張れば、木金は楽になる。朝からガンバ大阪。

3月5日 水曜日☁️ 週で一番忙しい日・エッセイ期日

9:20 支度 寮の自室
朝は相変わらずしんどい。7時半に目が覚めるものの、なんで起きるのかわからず(?)気づいたら9時だった。"Life's Incredible Again"って曲を聴くと、クソみたいな朝もincredibleに感じると聞いたのを思い出して、やってみた。確かに、そんな気がしてくる。気持ちなんてただの感じ方に過ぎなくて、幸せホルモンをハックしちゃえば気分が180度変わってるなんてこともあったりする。今日は朝食時間を二度寝に溶かした。朝のラボは2時間半あるので、半ば絶望しながら水筒にコーヒーだけ入れて早歩きでホールに向かった。靴下か長靴の調子が悪いんだろうか、急いで歩く足の裏がやけに痛かった。

10:00 人間の安全保障の研究室 @Thompson Hall 519
今日は、前回のタスク(核兵器関連の論文の洗い出し)のフィードバックを教授から受けた後、気候変動難民についての関連論文の洗い出しをおこなった。お腹が空き過ぎて終始調子が悪かったんだけど、それをメンバーに話したら割と同じような状態の人がいて、じゃあ無料のスナック取りにいこうとか、ちょっと休憩しようとかなったので、辛い時は素直に言ってみるのもアリだなと思った。雑談の内容は、毎年恒例のどんちゃん騒ぎ(聖パトリックの日)でいっぱいだった。去年は酒飲みすぎて何十人も救急車で運ばれたり、警察沙汰になったりして全米新聞に載ったらしく、今回はバスが運休したり警察が厳重監視したりするらしい。それに対して学生がこれでもかというくらいにまた対策するのも面白い。(でも正直、こういうどんちゃん騒ぎやパーティーカルチャーは、ここでは白人が中心だ。社会学的に分析するのも面白い。)

12:30 お昼ご飯 @Commonwealth Honors College Cafe
頑張った時に無性に食べたくなるサクサクなチキンテンダー。お高いから毎回は食べれないけど、本当にサックサクで柔らかくて、きっと日本に帰ったら恋しいもの第一位だろう。ハニーマスタードと一緒にいただく。

13:30 Intoduction to Painitng @Studio Art Building 101
今日はカラーセオリーの勉強。「色は相対的」というテーマのもと、同じ色でも背景によって違う色に見えるパターン・違う色だけど背景によって同じ色に見えるパターン・色と形の工夫によって透けてるように見えるパターンの3種類を自分たちで作って、最後にそれをアートにしてみる。私は月にかかる雲を作ってみた。先生がオープンな人なので、有志にプレイリストを選ばせてくれる。今日は私が大好きなMen I Trustを流してもらって、なんて最高な授業なんだと感動していた。

まるで月に透けてるような雲を表現

16:00 作業 @W.E.B. Du Bois Library
アートの授業中ずっと"brain is not braining(頭が全く働かない)"だったので、カフェインを補給するために、4時以降キャンパス内で唯一空いてる図書館のカフェでアイスカフェラテを頼んだ。ミルクの種類を、ホールミルク・ハーフミルク・オールミルク・アーモンドミルクから無料で選べるのが今でも新鮮だ。アメリカから日本に留学していた友達がビーガンで、食事の選択肢がとても限られていたと話していたのを思い出す。

今日はエッセイの締め切りなので、それをやるつもりで席についたんだけど、頭がぐるぐるしてて、どうも手が付けられない。毎日やると決めたアートの投稿をこなしてから、先学期仲良くなった中国人の子からのDMを見て、その子と過ごした時間のことを考えた。少し会えていなかった間に休学を決意して中国に帰ったという。初めてお隣のアマースト大学でできた素敵な友達。難しい議論でスパッと鋭いことを言える子で、でも教室を出るととてもシャイで思慮深い子だった。最後にお別れが言いたかったなと、行き場を失った愛情が溢れ出して、ちょっと涙が出た。昨日素敵な友達ができたこと、こうして大事な友達との別れを思いがけず経験すること、いろんな縁の渦のような複雑さとその流れの勢いを感じる。

20:00 夜ご飯 @Bluewall Dining
通り道にあったダイニングでご飯をかきこむ。先学期友達に奢ってもらって美味しかったアジアンダイニングのオレンジチキン。食べきれなくて、テイクアウトの箱ごと持っていくことにした。

21:00 エッセイ @Graduate Research Center
友達からおすすめの空き教室を教えてもらい、そこにこもって3時間、エッセイの追い込みをした。締め切り直前だからだろうか、自分でも驚くほどに集中して書けて、納得のいくできのものができた。帰りに同じ建物にいると連絡をくれた久々の友達と少し喋ってから寮に帰った。強く雨の降る寒々しい夜だった。

24:00 ゆっくり @寮の部屋
カフェラテをずっと飲み続けたせいだろうか、なかなか寝付けず、時計は2時を差していた。

3月6日 木曜日☔️ 息抜き・ジム

15:00 友達との電話 @Worcester Dining Hall
昨日夜中まで頑張ったせいか、いつもよりも朝は起きれなかった。食堂でご飯を食べながら、春休みに泊まらせてもらう友達と計画について話をした。その子は相手のためを思ってたくさん考えてくれる人なので、今回の旅についてもたくさん提案をしてくれた。その子のみているウプサラの景色を、少しだけ覗かせてもらいに行けることが楽しみになった。同時に、今回は諦める機会も少しだけ鮮やかに見えて、そういう時には、今持っているものの豊さに気づく必要があるなと自戒の念も湧く。

17:00 ワークアウト @Recreation Center
久しぶりにジムで腕のトレーニングをする。これでもかと鍛え、その感じが心地よかった。ジムとご飯は、唯一ヘッドホンをしないと決めている場所。今回も必然的に自分と向き合わざるを得なくなって、いろんなことを考えながらダンベルを振った。

18:00 個人研究 @図書館5階
超久しぶりに、個人研究の担当教員の先生から返信が来たので、その先生に今までやってきた文献調査の進捗やこれからの計画を伝えた。まとめる時間、すごく大事だった。

21:30 夜ご飯 @Worcester Dining Commons
ウクライナ人の友達たちに会って、ご飯を一緒に食べながらいろんな話をした。友達にI love you!っていうかどうか問題で、かなり議論が白熱した。話していたら楽しくなって気づいたら当初の予定よりも長居してしまいがち。今日も12時近くまで結局食堂にいて、洗濯を回すのを忘れていた。

3月7日 金曜日☁️ アート・ラボ・日本語チューター・お出かけ

12:00 起床 @寮の自室
今日はギャラリーに誘ってもらって絵を描こうと思ったので、それに合わせて起きることにした。やっぱり朝は起きれない。(友達は、睡眠に関しては一貫性が大事だという。そうなんだろう。)行きがけにご飯をテイクアウトしてギャラリーに向かった。

13:00 アート @Student Union Art Gallery 
ギャラリーでは、写真の授業が行われて、私はそのそばでチャコールで絵を描いていた。描き始めて程なくして、5歳くらいの男の子Leoくんが話しかけてきた。興味を持ってくれたようだったので、せっかくだからと思ってコラボを提案した。こういう時には、私の中で指針を持っておいて、相手にわかりやすいお願いをするのがいいみたいだと学んだ。私がなんとなく描いていた背景を「蛇みたい」と言ってくれたので、その蛇を感情の象徴とすることにした。「Leoくんにとっての怒りを表現してみて」と鉛筆を渡す。ぐしゃぐしゃと描き始めた彼の姿に、アーティストの炎を感じた。彼が怒るときは、何かを作っている時に思い通りにいかない時らしい。お母さんが陶芸や木の工芸をやるアーティストさんなので、触れる機会が多いのだろう。小さなアーティストの手を借りて完成した絵は、写真の授業の作品に紛れて、私の手書きのキャプションが添えられ、ギャラリーの壁に展示されている。

小さなアーティストと

14:30 ラボアワー @Thompson Hall/ Bluewall 
結構ショックだった。かなり遅れていつもの場所に行ったら、誰もいなかった。うわ、これ集まったメンバーで別の場所に移動したパターンじゃね?と悲しい気持ちになる。メンバーにGmailして、どこにいるかを聞いた。しばらくして、Bluewallというダイニングで作業しているというので、そこに遅れて向かった。こういう時、勝手に悪い方向に傷つくんじゃなくて、とりあえず行動してから気持ちを決めることにした。ついてみて知った。SMSのグループチャットに入っている自分の電話番号が間違っていたこと。そこで今日の作業場所についての話が行われていたこと。何度試しても私の日本番号は使えなかったので、信頼できそうなメンバーの一人に、グループチャットで決められたことを個人チャットで教えてもらうようにお願いした。作業内容は、文献のデータのありかを集めること。今日は私が教授への進捗のメールを打ち、作業時間ちょっと後に遅れるようにスケジュール送信してから、早めに解散した。メンバーの一人に唐突にバドミントンをするかと尋ねられ、今度するよと言ったらぜひ入れてくれと言われた。こうやって輪が広がっていくのは楽しいなと思った。

16:00 日本語チューター @Herter Hall 4階
今日はチルくおしゃべりする会だった。先週初めてきてくれた子が、今度は日本語に興味があるけど今まで勇気が出なくて来れなかった友達を連れてきてくれた。今学期だけでもたくさん新しい人が増えていてとても嬉しい。日本語と英語が飛び交うこの環境が私自身心地いい。アメリカ人の子が、私のインスタの投稿を見てくれて、「詩や文章を書くときは、日本語と英語どっちで書くの?」という鋭い質問をしてくれた。結構考えたけど、答えは、社会について書くときは英語、自分と向き合うときは日本語が多いかも、だ。そして翻訳するときに伝わらない細やかなニュアンスの葛藤も。話が盛り上がる。折を見て会話を去って、他の人が話に入れているかを確認してまわる。日本語レベルや興味がそれぞれ違うからこそ、うまい具合に自然発生的な会話の生態系が出来上がるといい。気づいたらチューター終了の時間を過ぎていた。

19:00 作業・ギャラリー @Student Union Art Gallery 
作業が残っているメンバーでそのまま学生会館に行って、私はArt Entrepreneurshipの課題を確認した。その場でチャチャッとやろうと思ったら、誰かにインタビューする課題だった。キェーめんどっちぇ!と心の中で半分キレながら、今ペインティングを教えてもらっている先生のRinaにコンタクトを取った。ついでに、さっきギャラリーに行った時に夜ワークショップが行われていると聞いていたので、そこをのぞいたら、アマースト大学からきたダンサーさんたちのすごく素敵なダンスのパフォーマンスが見れた。
小さなアーティストはまだいて、みんなの顔にペインティングを施してくれた。

21:00 夜ご飯 @Garcia(Amherst Downtown)
友達とご飯に行く。モヒートを久しぶりに飲んで、スッキリする感じが懐かしかった。部屋に帰ってお茶を飲みながら、お香を炊く時間がとても大事だった。

3月8日 土曜日☁️ 酒飲みBlarneyの日

8:00 起床・友達が来る @寮の部屋
昨日の夜の余韻が残ったまま、なんとなく寝付けなくて4時まで起きてたせいで、朝は8時の目覚ましが無性に腹立たしく感じる。8時半に友達二人が私の寮にきて、私はとりあえず人を上げれるくらいにはざざっと部屋を片付けて、友達をコモンスペースに案内した。今日は朝からUMass生が呑んだくれる日、Blarneyだ。正式にはアイルランドにキリスト教を伝えた聖パトリックを讃える日で、アメリカの特に東海岸(ボストン・ニューヨーク)などのアイルランド人が多い地域で盛大に祝われる。と言っても、本当にその由来を知ってる人や、教会で祝う人は大学にはほとんどいない。キャンパスの端っこから北に20分ほど歩いたところにあるタウンハウスというアパートの内庭で、緑を着て集まり、朝からお酒を飲んでどんちゃん騒ぎをする日なのだ。早起きして泥酔するなんて、アホすぎる。でもこの騒ぎについてこの間聞いた時、理性的な判断よりも、見てみたい、例えbullshitだとしてもそれを含めて経験してみたいという野次馬根性みたいなものの方が勝って、友達を集めて行ってみることにした。

9:00 朝食 @Worcester Dining Hall
そのステレオタイプに漏れず、私も早起きをする羽目になった。集まって早々お腹すいたくね?となって食堂に朝食を食べに行く。なんでやねん、めっちゃ健康やん。いつもなら休日に食堂で朝食なんてまず食べない。メープルベーコンがうまいねん、って話をしながら食べ終えたら、オフキャンパスに住んでいるもう一人の友達が合流して、スミノフのカクテルのお酒を水のボトルに入れて持ってきた。めっちゃ面白かった。バスもあるけど酔っ払いでいっぱいなので、大群についてゾロゾロと30分くらい歩いていく。こんなこと言ったらしょうもないけど、一番UMassのアイデンティティを感じた。アホなことを早起きしてやるっていうその精神を同じくしているという意味で、ある種の連帯感をみんなに感じた。Blarneyを目指す車から「歩くのがんば!(笑)」とバカにする声とか「駐車場知らない?」という切実な声が飛んでくる(駐車場の人は、知らないって言ったら"F**k you!"って言われた。酔いすぎや)。そこらへんに酔っ払って倒れてる人や、(多分お酒を見えるように持ってて)警察にしょっぴかれてる人、近所の教会の勧誘、何が何だかわからず困惑した顔で走り去るドライバーがいる混沌とした空間。意味わかんなくてめっちゃ楽しかった。

10:30 Blarney @タウンハウス
そこは、例えるなら会場のキャパを超えて人が集まりすぎた夏祭り。渋谷ハロウィン。携帯を手に持っていたら持ってかれてしまうほどに、人の波に押し流されながら会場に入っていく。入り口で見たことのある人に会ってちょっと喋ったけど、最後まで名前とどこで会ったかが全く思い出せなかった(あちゃー…)。背が低い私は酸素を得るために上を見上げるしかなかった。空には、ビールの空き缶が舞っている。(行きにあった人が、頭に気をつけろと言っていた理由がわかった。)酔い潰れた人たちが、ドロドロの地面に消えていく。音楽が至る所から聞こえて、ビートが混ざってまるでトリップ状態だった。凄まじい不快と、でもそれがなぜか笑顔がおさまらないほどの興奮に繋がっていたのは、自分の中でも意外だった。そして、宗教的な祝日が大学生が朝から酔っ払う正当化に見事にすり替えられる光景は、非常に鮮やかなものだった。あとここの人たちは特に、酔い方がリミットを知らない。テキーラショットが当たり前、味を楽しむものではなくて、記憶を飛ばすくらい酔っ払ってハイになることを目的としたむごい飲み方をする。これは最初にアメリカに来て感じた違和感だった。彼らは何から逃げて、何を忘れるために、こんなに無責任で刹那的な飲み方と”楽しみ方”をするんだろう。そこら辺にはしくしくと涙を流す酔っぱらいが座っていた。大学のカウンセリングのキャパを超える相談者の数。アート色を集める課題が出たときに、小さい授業で複数の学生が持ってきた透明な黄色い抗不安剤や抗うつ剤、鮮やかな紫の睡眠薬の瓶。過度の飲酒は彼らのコーピングメカニズムなのだろうか。見え隠れするのは、無視できないメンタルヘルスの問題だった。フェンスと建物で囲まれた地獄みたいなパーティーを、人の波をかき分けながら友達と手を繋いで出た後、自分達がいた場所を外から眺めた。「みんなが行くから」という理由は、時に非常に強力な理由になるものだ。自分がなんでここにいるかわからない人も少なくないだろう。普通に考えて、くるべき場所ではないのだ。そして気づいたのは、あり得ないほどの白人の多さだった。この大学の人種比率に対して、パーティーカルチャーは白人が圧倒的に独占的だ。なんでなのか、まだわからない。マイノリティにのしかかる成功への責任は、一時的な楽しみを追求するパーティーカルチャーの正反対にあるのだろうか。


見渡す限り人である。

13:00 帰宅 寮の部屋
また30分くらい歩いて、寮に戻ってきた。すぐに勉強しに食堂に再集合しようと言ったものの、部屋に帰って座ったら、なんだか立ち上がれなくなった。1時間くらいぼーっとスマホを眺めたり、父に日本の税金関係の書類をお願いするためにマイナンバーカードを探したりして、ようやく寮を出た。

14:30 作業 Worcester Dining Hall
そこは、Blarney帰りの人たちが酔いの勢いのまま騒ぎまくる食堂だった。パーティーで何かあったのだろうか、酔っ払って泣きながら眠る女の子がいたんだけど、集団でその子の写真を撮る人たちがいて胸糞悪かった。かと言って私は、その子が精神的・身体的に苦しんでいることは分かりつつも、どうやって助けられるかは思い付かず、ただ作業しながら見守ることしかできなかった。そうやって過ごしていたら、通りかかった人が話しかけてきた。「あなたたちめちゃくちゃinspirationalだよ」と。なんのことかと思ったら、このBlarneyの日に、二人して勉強してる姿に感銘(?)を受けたらしい。実際にはBlarney行ってからここで勉強してるんだよと言ったら、もっと驚いて、何かわからないけど、フィルムスタディーズを専攻している彼女のYouTube用に撮影が始まった。肝心なユーザー名がわからず、その人のビデオはを見つけるのは難しそうだけど、黒歴史がまた一つ残ったということで。

17:00 ジャーナリング @Student Union
図書館に駆け込んで予約してあった本を取って、学生会館でまた振り返りをする。どうしても苦手な人っている。同じ寮に住んでいて、話し出すと止まらないタイプの人が隣に座り込んできて話し続けてきてしまって困ってしまった。誰とでも仲良くなんてとてもじゃないけど無理だ。この人とだと恐ろしく摩耗してしまう。あまり話したくないと、丁寧に伝えるにはどうしたらいいんだろう。

19:00 友達の誕生日パーティー @寮のキッチン
ウクライナ人の友達が食中毒でバタンキューしちゃったと聞いて、連絡したらパンとお湯が欲しいという。食堂からいくつかのパンを盗み、キッチンでお湯を沸かして部屋まで持っていった。それから韓国人の友達の遅めの誕生日パーティーに参加した。お肉を焼いて、チーズケーキを作っているのを眺めたり手伝ったりする。ちょうど生理がきて”うっ”てなった。ちょっとお酒を飲みながら、恋バナしたり最近のこと話したり、そうそうやって夜も更けていった。

3月9日 日曜日☔️☁️ 生理で死んでた日

14:00 動けない @寮の自室
昨日生理がきた。薬を飲めば動けるようにはなるんだろうけど、今日は日曜だし、なんとなくそのしんどさに身を任せようと思った。どうしても頭が動かず、お腹が変な感じで、何もしたくない。「生産的」とは真逆のこの状況を、自分で自分をジャッジして苦しめるんじゃなくて、できるだけそのままで受け止めたい。今日はその一歩を踏み出した気がした。最近絵がかけている。それが嬉しい。苦手な友達に、ジャーナル書いていると言ったら「僕はそんなにセンチメンタルじゃないから書かない」と言われ、少々むかつきながら「日記を書くのはセンチメンタルかどうかとかじゃなくて、日々をどれだけ大事に捉えるかだよ」と答えた。その答えを言いながら、ああ、だから私は書いているのか、となんとなく納得したのだった。こうして残しておかないと空気中に消え去ってしまうように感じる私の毎日を、言葉で残しておきたいという、私なりのコーピングメカニズムなのだろう。パフォーマンスアートについて投稿した時、そのダンスを少しバカにするようなコメントを残した友達がいた。(元々そこまでは仲良くなかったけど)心の距離が一気に離れていくのを感じた。「自分が素敵だと思ったものを、相手が好きにならなくてもいいけど、わかんないからって貶すのは違うよね」と友達と話したのを思い出した。多様だからこそ生まれる化学反応と、同質だからこそ生まれる安心感。バランスが難しい。

17:00 コーヒーを淹れる @寮のキッチン
一階にあるキッチンで、コンロに火をかけてエスプレッソを淹れた。コポコポという音を聞きながら、気になっていて図書館で取り寄せた本を開いた。"A Little Life"という有名な小説で、涙を流す男性の表紙が印象的なんだけど、想像の100倍分厚かった。これを読みきれたら、きっと私自分のこと誇りに思うだろうな、と思いながら、最初のページを開く。わからない単語はあれど、ウィットに富んでてとても読みやすいので、習慣づければ読み終わることができそう!

19:00 オスカーのライブ配信 @Worcester Dining Hall
そうだ、今日はオスカーの授賞式の日だった。騒がしい食堂の一階で、たまたまついてたライブ配信をテレビで見る。私の大好きな映画の女優さんが、なんと最優秀助演女優賞をもらっていた。私までエンパワーされちゃって、感動して涙が出た。Tears and cheersという感じ。映画好きとして、あまりにも酷い製作環境を変えて、AIによる仕事の危機を乗り越えるために連帯してストをしている状況をリスペクトすると同時に、ケベックで、そのストの影響で仕事がなくなってウェルフェアで生活しているフランス系カナダ人に会ったこともあって、複雑な気持ちにもなる。人の心を動かすこの美しいショーが、人の健康や幸せも確保した上で成り立っていて欲しいと切実に思った。そしてご飯を食べていたら、「君たちはどう生きるか」が長編アニメーション賞を受賞したことも知って、思わず笑顔が弾けて喜びの舞をはじめた。それを見ていた超風邪/食中毒気味な友達が、「やっぱり日本のこと気にかけてるんじゃん」と言った。将来どうしたいかを話しているときに、日本にすぐに帰って貢献することに躊躇していることを伝えたせいだろう。今やっぱり風邪か何かがものすごく流行っている。私がかかるのも正直時間の問題だろう。正直準備は整っていないが、できることをやるまでだろう。

22:00 ぼーっとする・作業 @図書館
リーディングを済ませたほうがいいんだけど、なんとなく先延ばししてジャーナリングをしている。今まで描き溜めてきたスケッチブックの作品たちをスキャンしてJPEGにした。さあ、これをどうしようか。

23:00 リーディング @Graduate Research Center
図書館は閉館時間で追い出されたので、お気に入り夜ふかしスポットへ。15階のラウンジは大学院生用で鍵がかかってるんだけど、院生の友達にパスコードを教えてもらったのでそれで忍び込んだ。持つべきは友達である、とか生ぬるいことを考える。もうする3/11だ。去年私は弾丸で宮城に行って、友達に教えてもらった震災遺構を巡った。その時に自分にとっての地元ってなんだろうって考えるきっかけになって、地元の夏祭りのボランティアに参加し、最終的に”盆踊りリーダー”をやった。多くの人の人生を変えた大きな日。自分にとってもとても大きな意味合いを持つ日。この日を、異国の地で、どう過ごそうかと思いを巡らす。火曜までのリーディングを終わらせないとまずいと思いつつ、頭はまるでサバンナのレースだ。心を落ち着かせて、頭を整理して、限りのある時間の中でより良い方を選び取っていくしかない。

締めのラーメン

お鍋の締めはちぢれ麺派です。そんなことはよくて、締めとして、今週一番心に残ったこと。イラン出身で、難民生活を経験した友達が大学にいるんだけど、その子が言っていたこと。「ある時期、私の唯一の食べ物はケチャップだった。」だからこそ、その子は敬虔なイスラム教ではないけど、月曜から始まるラマダンの間、断食をすると言う。「食事のありがたさを再確認するいい機会」と話していた。その子の話はすごく衝撃的だったし、その子がそんな苦しさを経験したことをすごく悔しく悲しく思う一方で、だからこそ日々の中でとても深く内省的なことを言うんだなと納得もした。Men I Trustが歌う"Tree Among Shrubs"の、"The pain to match your strength"という歌詞を思い出した。人の経験は人それぞれ。それを人種や年齢、階層でジャッジすることは全くできないし、相手と深い関係性を築いていって、直接聞いて学んでいくしかない。アメリカでは、日本で出会ったことがないくらい壮絶な経験をしてきた人と何人も出会った。自分が今までいたのは、きっと守られた環境だったんだろう。その度に自分の当たり前をぶち壊されて、この世に時に慈悲などないんだと痛いほどに気づいて、その過程で、だからこそ人に優しくするんだと覚悟を強くしていく。なぜなら、私がアメリカで会った本当の意味で強い人たちは、人に対して底抜けに優しいからだ。まだ学びの途中。ニョキニョキ伸びていきます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?