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【読書録】阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし

阿佐ヶ谷姉妹 著

おもわず「ふふっ」と笑ってしまう、エリコさんとミホさんの日常をエッセイにのせて。

2018年の女芸人No.1決定戦 THE W の優勝者である阿佐ヶ谷姉妹。
素朴なおばさんふたりのほんわかコンビとして、以前から好感をもっていた。

本屋で手にとり読み進めていくと、公共の場にもかかわらず思わず笑ってしまったわたしは、人生ではじめて、芸人さんの本を買った。

とにかくほっこり。
本の中にも書かれていたが、本人達にとっては真剣な悩みや生活がなぜかマダム口語体のフィルターを通すと、思わずくすくす笑ってしまう。

なんというか、少し前に流行った“おかんメール”のような雰囲気。

わたしがエッセイに興味をもったのはつい最近。
転職活動の一環で、応募時の提出物のなかにエッセイがあったからだ。

初めは自分の考えたことをつらつら書いていることに気恥ずかしさを感じていたが、書き進めるうちに、言い回しや例えで表現のニュアンスが全く変わることに気づき、とても楽しくその課題を終えたのであった。

人によってモノを見るものさしは違っている。
この本を読んで、そんなあたりまえのことに改めておもしろさを感じた。

見た目が似ているので性格も似ているのかなと思いがちな阿佐ヶ谷姉妹だが、全然ちがう。

エリコさん(お姉さん)は寂しがりやの忘れん坊、ぽわぽわした印象。
ミホさん(妹)はひとりの時間が必要な変人タイプ。本の中でも“エリコ過多”という表現がよく出てくる。

違った性格のふたりだが、なんだかんだ六畳一間に同居している生活はとても楽しそう。

布団の陣地や窓のあけ方、気温にいたるまで、ふたり暮らしならではの細かいイザコザが起こるのだが、ひとりで住むわたしにはそれすらうらやましく感じた。

エッセイの合間に、ふたりそれぞれが書いた書き下ろし恋愛小説がさし込まれている。

これがまた、おもしろい。
真剣に考えた、40代の独身女性のあたまの中を覗き見した気持ちになり、キュンキュンすると同時にちょっとだけこっぱずかしくなった。

いつも恋愛小説を読むときには感じない、親しい友人が書いたフィクションを読むときの感覚。
なんだか新鮮だったなぁ。

エリコさんの真剣だけどどこか笑える小さな不満や、ミホさんの変わった擬音語(ベロベロ食べている、たんぽぽの花がぶらぶら揺れているなど)に心をほぐされながら読み終わる。

かたわらに紅茶、BGMには森の音を流しながら、とてもリラックスできた時間をすごせた。

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