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56 川と本屋のゆたかな町よ夕燕

 句集「むずかしい平凡」自解その56。

 鳥の中で一番好きなものは、と聞かれたら「燕」って答えるでしょうね。

 なぜといわれてもうまく答えられないけれど。

 小さくても力強く、自由自在に飛ぶ姿。気がついたら好きな鳥になっていました。

 中学のころ、自宅に巣を作った燕の卵を蛇が狙っていた。その燕も危険を感じ、近くの仲間を呼び寄せ、必死に蛇の気をそらそうとしていた。人間もも蛇を追い払ったりして、燕を守ろうとした。けれど、やはり留守を狙われ、卵は全滅。自然の摂理とはいえ、かわいそうなことをしたなという思いはいまだに続いています。燕に思いが深いのはそういう経験があるからかもしれません。

 この句は、盛岡を旅した時の作品。

 だんだん町の中から本屋がなくなってしまう時代ですが、まだこの時は豊かさをいくぶんは残していたように思いますね。

 せめて句の中でこういう空気を吸いたいものです。

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