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38 大根干す老婆は一日に成らず

 句集「むずかしい平凡」自解その38。

 自分で作りながら、こんなふざけた俳句ってどうなんだろうって思っています。句会に出したところ、ぼちぼち面白がってくれた人はいましたが、単なる言葉遊びだろ、って多くの人は思ったかもしれません。

 ローマは一日にしてならず。

 老婆は一日にならず。

 まあ、それだけの句ですから。

 でも、大根を干すにも年季というものはあるんじゃないだろうかとは思うんですよね。毎年毎年、どこにどう干せばいい干し大根になるか。そこには数年ぐらいでは習熟できないものがあるんじゃないかな。とくに老婆の腰の曲がり方や見事なしわのでき方などを見ると、老婆にも干し大根にも時間というものがどれほど刻み込まれているか、それを感じないわけにはいかない。

 ふざけたような句ですが、そんなにふざけているわけじゃないということをわかっていただければうれしいです。

 でも、こういうふざけたような句も、今見ると愛おしいところがありますね。

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