見出し画像

eスポーツ業界で働きたい人が「なぜコミュニティイベントを開かないのか」

こんにちは、Bonanzaと申します。

この記事では「eスポーツ業界」を目指しているが「何を頑張ればいいかわからない」「わかっていても行動に移せない」という方と接する機会が多かったので、その中で特に多かった問題と自分なりの回答を共有したいと思い記事にしました。

■ 自己紹介

私は2016年よりコミュニティイベント団体「oreRevo」の主催を行いつつ、関西でeスポーツのイベントディレクターを生業として活動しています。

現場のお仕事とは別に、毎週2日間は専門学校で講師としてeスポーツ業界で働きたい学生達へ向けて講義をしています。今年で講師歴は3年目、今は2校で合計3クラスの担当をしています。


■ 自分が好きなモノの為に「動けますか?」


私は「eスポーツ業界を志しているが、何を頑張ればいいかわからない」という方に対して「自分の好きなゲームに対して【不満】や【足りないと思うこと】が無いか?」という質問をしています。「不満」こそが「行動」を起こすキッカケになるからです。

例えば・・・

【不満】おもしろいゲームなのにプレイヤーが少ない
→【行動】だから、自分が大会を主催してみよう

【不満】自分が好きな試合をもっと沢山の人に見て欲しい
→【行動】大会のクリップ動画を作ってみんなに見て貰おう

【不満】あのイベント楽しいのに全然知られていない
→【行動】イベントのレポート記事を書いて拡散してみよう

これらは「自分が楽しみたいから」「自分の好きなゲーム/コミュニティの為に」が動機です。自分の好きなモノが既に見つかっている方は、それに対しての自分がしたいと思えることを探してみると良いと思います。


■ コミュニティ活動からアイデンティティを見出す


インターネットで調べたり、座学をすればある程度のイベントの基礎知識は学べますが、本当に必要な所はそこだけではないと考えています。

なぜなら、業界が欲しいのは基礎知識だけがインストールされた量産型ではなく、何か「スペシャル(=自分のアイデンティティ)」を持った人材だからです。

それがどうすれば手に入るかと言えば「コミュニティ活動」にあると思います。自分の「好き」を原動力に「コミュニティ活動」を続けていくうちに、「本当にやりたかったこと」や「得意なこと、好きなこと」が見えて来ます。

私が知る限り、eスポーツの業界を築いて来た先人達や今業界で活躍されている方は、それぞれが「この人と言えばこれ」という何かを持っています。

例えば・・・

  • 定期的にコミュニティ対戦会や大会を開催していた
    (やりたい事を実現する力がある、コミュニティからの支持がある)

  • まだ誰も考えた事がない大会形式を考案し界隈に定着させた
    (他の誰にも出来ない斬新なアイデアが発想できる)

  • 大会の名場面クリップ動画を作成し、SNSで発信していた
    (動画編集能力や好きな事に対して継続出来る力がある)

  • 2000人規模のコミュニティDiscordを運営していた
    (大人数を集めることが出来るノウハウを持っている)

  • カッコいい演出をしたいからNodeCGを扱えるようになった
    (特に操作性やデザイン性に優れたオーバーレイを作れる)

  • 海外プレイヤーと交流したいから英語と中国語を習得した
    (語学習得の難しさは特に人に伝わりやすい)

    但し、それは他人から聞いて学ぶだけで得られるものではなく、「自分が本当に好きなものに出会った時」に「行動」を起こしてその結果はじめて得られるモノだと考えています。

    また、既に業界でご活躍されている多くの業界人は「コミュニティ上がり」の方が多いのも事実です。

    まず、こういった業界の背景がある前提を説明した上で「eスポーツ業界」のイベンターを目指すなら「まずは自分の好きなモノに対して何か行動を起こしてみよう」と語りかけます。


■ 「行動」出来ない「原因」を明確化させる


しかし実際のところは、多くの方がそういった事例は知りつつも「行動(=コミュニティ活動)」に移せていない方が大多数でした。

そこで今回はヒアリングを行い「なぜ行動に移せないのか」を分析しました。

eスポーツ業界を志す方々へ「なぜコミュニティ活動をして来なかったのか」の聞き取りを行った結果、特に多かった原因をご紹介します。

  • クオリティにこだわりすぎて結局やらなくなってしまう

  • 大会を開いて失敗をすることが怖い

  • 人を集めれなかった事を考えると恥ずかしい

  • 過去に一度だけ開催出来たが、継続ができなかった

  • そもそも好きなゲームがない

  • イベントをやりたいゲームがeスポーツではない

  • 日程をどんどん先延ばしにした結果やらなかった

他にも沢山の「行動しない理由」があったのですが、全て記載すると読みづらくなってしまうので、その中でも特に多かったものを掲載しました。


【お悩み1】
クオリティにこだわりすぎて結局やらなくなってしまう


まずやってみない事には「課題」も「改善案」も見えてこないので、最初はクオリティが低かったとしてもとにかく「実行」に移すことが大事です。

また、少しづつ「出来るようになっていく」感覚の楽しさもやってみないとわかりません。いきなり完璧なイベントなんて経験がない状態で出来るはずもないので、開催を重ねる度に感じられる達成感を経験してみて下さい。

(もし就活を視野に入れているのであれば)手が止まっている間にも行動力がある人は少しづつ改善を重ねて、いつの間にか手の届かない所まで進んでいます。改善は後からいくらでも出来るので兎にも角にも行動してみて下さい。(※コミュニティイベントをやるだけなら気にしなくて良い)

【お悩み2】
大会を開いて失敗をすることが怖い

これも非常に多くの方から出た意見でした。
この「怖い」というのがとても曖昧なので詳しく聞いたところ

・「(想定通りに進行ができなかった事を考えると)怖い」
・「イベントに失敗をして(SNSで叩かれたら)怖い」

が主な理由でした。

① 「想定通りに~」に関して
私達のような仕事でイベントをやってる業者でさえ、思い通りにいかない事なんて日常茶飯事です。トラブルが起きた後には再発させない為の予防策や対応策を身につけます。これも自分自身で失敗を経験しないとなかなか身に付かないモノなので、いろんなケースのトラブルを自分で経験することも必要な経験だと思います。 

② 「SNSで~」に関して
「SNSで叩かれることなんてないよ!」なんて無責任はアドバイスはできないですが、私の経験上はよほど参加者に負担を掛けるような設計や界隈のタブーを犯さない限りは心配しなくても良いのではないかと思います。

自分も駆け出しの頃は無茶なレギュレーションのイベントを企画して、参加者から批判の声を受ける事もありましたが、荒々しい言葉で「叩かれている」と思った事でも、本質的には的を得た指摘であるケースも多々ありました。

そういう場面に遭遇した時は文章から相手の感情を一旦取り除いて受け取ってみるといいかもしれません。

【お悩み3】
人を集めれなかった事を考えると恥ずかしい

「人数」をとにかく気にしている人が多かったです。

私が新しいタイトルでコミュニティイベントを始める時は「普段遊んでいるゲーム仲間と楽しい時間を過ごせるか」しか考えてません。その結果、3人だろうが16人だろうが関係なく「楽しければええやん。」と考えいます。

人それぞれの考えや価値観があるとは思いますが、「自分が楽しむためにやる」コミュニティイベントで「集客人数」に囚われるのは、あまりにも興行的な発想ではないかと思います。

開催しない限りは永遠に0なので、まずやってみて2人集まったなら「じゃあ次は4人にするには何を改善するべきか」って試行錯誤していくのも楽しいですよ。

【お悩み4】
過去に一度だけ開催出来たが、継続ができなかった

「継続」というのはコミュニティイベントを語る上で欠かせない最重要キーワードだと思います。

これに関してはoreRevoでロケットリーグの大会主催をしている合気さんという方が記事にしているので、こちらを読んでみてください。

この記事は既にコミュニティイベントをされている方にも是非読んでいただきたいです。

【お悩み5】
そもそも好きなゲームがない

私が聞き取りを行った時に最もギャップに驚いた所でした。

恐らくですが、単純に自分のアイデンティティとも言えるようなゲームやコミュニティに出会ってないだけなんだと思います。なのでこれに関しては「触れる機会を増やす」事をしてみてください。

ゲームを好きになるといっても色んなキッカケがあります。

  • ゲームのシステムや操作感が好き

  • 音楽やキャラクター、物語や設定が好き

  • メーカーや作曲家、クリエイターが好き

  • コミュニティの人達と関わることが好き

  • ランクマッチの勝負が好き

  • 大会の観戦をすることが好き

いつも1人だけで遊んでいるなら他の大会や対戦会に顔を出して人と交流をしてゲームの外にあるキッカケにも触れてみてください。シンプルにほとんどゲームしてないという人はもっといっぱいゲームをしてください、以上。

【お悩み6】
イベントをやりたいゲームがeスポーツではない

「自分は原神が好きなんですが、eスポーツではないのでどうしたらいいでしょうか」という悩み相談でした。

実はこの相談を受けた日の朝にPR TIMESで見かけた記事があり彼に紹介をしました。それが「原神E-sportsイベント【HoYoFEST 2022 · 原神特別試練】開催決定!」というプレス記事。まさかの公式がeスポーツ大会を開催、めちゃくちゃタイムリーでした。

結局の所、「eスポーツ」を何と定義するかという話になるんですが、作品別に「これはeスポーツ」「あれはeスポーツではない」と決められている訳ではなくゲームの中で何をするかによって変わる物だと考えています。

もっと具体的な定義を知りたい方はひとつの基準としてJeSUの公式サイトを参照してもいいかもしれません。

あと、必ずしも「eスポーツであること」にこだわる必要もないかと思います。もしそれが「eスポーツ」に寄せたことで自分が究極的に楽しいと感じられるモノでなくなってしまうのであれば、それは別の形のイベントとして思うがままに作り上げた方がいいと思います。

【お悩み7】
日程をどんどん先延ばしにした結果やらなかった

私の場合は、本当にやると決めた場合はその時点で開催日を決めます。
oreRevoで大会をやっていた当時の話でいえば、大会終了後の反省会の通話の時に各自のスケジュールを確認して「次の開催日」を確定させていました。

開催日が決まってしまえば、後は逆算してその日までに何を・いつまでに用意すればいいかが見えてくるので、先延ばしにする人はとりあえず最優先で開催日程を決めてしまうといいと思います。


■ さいごに

長々と書きましたが、とりあえずやってみてください。
不安もあるかと思いますが、行動を起こしてみた結果「開催してくれてありがとう!」「楽しかった」と言われると次のモチベーションにもなります。

でも眼高手低になって開催が出来ないとそういったキッカケに触れることもありません。行動力がある人にしかチャンスは巡ってこないので、とりあえず動いてみてください。

ただし、行動を起こす際に1つだけ注意して欲しいこととして、
人に迷惑がかかってしまうことはしないように意識しておいて下さい。
・無理があるトーナメント表で次の対戦まで2時間待ち
・チャットでリクエストがあり、大会中にルールを変更した
・特定の誰かを傷つけてしまうような実況をした など

この記事が少しでも誰かの役にたって、新しいイベントが生まれるキッカケになればこの記事を書いてよかったな。と思います。(いいね!押してもらえると喜びます。)

最後まで読んでいただきありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?