シェア
前回まではこちら * あの日以来、近ごろは寝坊しなくとも、もう顔に時間をかけるのは止めに…
志邑です。 「不思議」をテーマに書いた小説(の冒頭)が見つかったので載せます。 まだ冒頭の…
高校生になる娘は最近家にほとんどいない。 校則でバイトはたしかに禁止されていないが、私と…
ノンアルコール、と書いてある飲み物にも実は微量のアルコールが含まれている。 日本の規定で…
前編はこちら *** その絵には『一枚の絵』というタイトルが付けられ、第三展示室の隅の方…
わたしが生まれたのは日本のどこか、海辺の街で、夏だったこともあって、安直な、海っぽい名前…
まだ昼のうちから、鬱蒼とした森はくらく、視界はあまりひらけていない。 足元一面に広がっている落ち葉を踏むたびにカサカサと音がする。 自分たちが足を止めている時、あらぬ方角から音がするたびに体が小さく跳ねた。 枯れ葉は些細な風で揺れるほど軽い。 気にしては駄目だ。 「ひゃっ」 私以上にカナが怯えていた。 私やマヤの足音や、自分の髪の毛と洋服が擦れる音にすら驚いて、その度に叫んでいる。 正直、カナの反応が大きいので、平静を保っていられた。 「廃墟にいこうよ」と言い出したのはカ
次の連絡船の時間まで、あと40分あった。 わたしは往復のチケットを買い、これから湾を挟んで…
履きつぶした革靴は、靴底が破けていて、動くたびに湿っぽい砂が中に入り込んで不快感を助長し…
強い風の音がしているのを言い訳に、ふたりの間には会話がなかった。 昼間は久しぶりに日差し…
フェードアウトしていた意識の中に、雨の音がクロスフェードしてくる。 夜半にはまだしとしと…