ツクモのPCケース「69JD」のエアフローを力技で強化しました
どうも、結石マンです。
今回はBTOのゲーミングPCが爆熱だったのをゴリ押しで克服しましたよ、という話です。
人生初BTOということでいろいろわかってない部分が多いのですが、同じケースを使っている方もいらっしゃると思うので何らかの助けになれば幸いです。
素人なりに頑張った結果、それなりに効果がありました!
ので、以下、ご参考までに書いていきます。
前置き
はじめに
まず申し上げておきたいことがありまして……
本記事は決して「ツクモさんの商品に欠陥がある」と言いたいわけではありません。
現に購入から2ヶ月半くらいは箱出しそのままで使っていましたし、その間ソフトウェア等の挙動に不審な点は皆無でした。
ただ、ものは試しとCPUベンチ(CINEBENCH)を回したら超速で100℃に直行してしまったもので……ちょっと不安になったわけです。
どっちかというと実用がどうこうよりも気持ち的に余裕を持ちたく、改造に至ったわけです。
もちろんケースを替えたほうが確実なのはよくわかっております。
でも、前のPCのパーツも色々流用できそうだし、安いに越したことはないですし、そもそもケース含めて買ったわけだし……
とかなんとか言いつつ、一番の理由は単に改造したいから、です。
もしかしてこれが自作の醍醐味ってやつですかね?(BTOですけど)
どうやら2015年デビューとのことで結構古いケースですが、
やっていきましょう!
構成
僕が今回いじくったPCのスペックは以下のとおりです。
と、こんな感じです。
マジ高かった……グラボ……(感慨)
このPCを買ったのは2021年11月。
本体価格で36万円でした。
ぶっちゃけグラボで22万円くらい持ってかれてます。当時は(今も?)高かったんですよね……なんか、マイニング?が流行ってて……
インテル第12世代CPUは、出たばかりでほとんど情報がありませんでした。
PC系ニュースを見る限り第11世代までとは構造が全く異なるということで
「いっちょ買ってみるか」
とチャレンジしてみた感じです。
結果的には満足しています。何するにも大変スムーズです。
で、これらがツクモの69JDにぶち込まれているわけです。
アチアチ
個人的な話ですが数年ぶりにPCを新調しましたし、ハイエンド級スペックを手に入れたのは初めてというのもあって、届いて以来毎日、最高画質144FPSをエンジョイしていた、のですけど……
しばらくして、ゲーム中常にCPUファンが全力で回っていることに気づきました。
「もしかして、熱い?」
とツクモ謹製PCに疑いの目を向け始めたのが、年明けすぐのことです。
とりあえず調べてみないとなんともわからないので、参考のためCPUの温度がわかるソフトを入れてみました。
そしたらなんと!
ゲーム中90℃に迫ることもあるじゃないですか!
コラー!
どうなっとんじゃー!!
……とりあえず、普通にゲームしてる分にはサーマルスロットリングが発動しないので別にいいっちゃいいのかもしれません。
でも、やはり、心許ない。
だってパソコン高かったし。
で、一応確かめようと思ってCINEBENCHしたら、見事100℃達成と。
(うろたえてスクショできてませんでした。怖すぎるのでもうやりたくないです……)
……PC冷やしましょう。うん。
原因究明
まず考えたのは「CPUクーラーが力不足である」可能性です。
乗せているのはサイドフローの、ツクモで案内されたクーラーです。
で、ツクモの推奨に従った結果こうなっちゃったと。そしたら当然
「このクーラーじゃ力不足なのか?」
と思うわけです。
繰り返しになりますが、普段使いで挙動がおかしいことはないので、正確には間に合ってなくはない。でもやっぱ気がかりなわけです。
「そしたらリテールのまま一旦パソコン買って、自分でつよつよクーラーに換装すりゃよかった」と後悔しかけたのですけども。
とりあえず色々検証してみてからでも後悔は遅くない!というわけで……
中身を確認してみます。
クーラーを外しましょう。
「まさかグリス忘れ?」とあわよくばツクモのせいにする魂胆でヒートスプレッダーを見てみるも、しっかり丁寧にグリスは塗ってある。
さすがツクモ!(手のひら返し)
で、クーラー付け外ししただけですけど、一応動作確認ってことでサイドパネルを閉めずに動かしてみたら……
あれ?冷えてる??
重量級ゲームだと90℃に達していたCPUが、結構な時間遊んでても80℃くらいで止まっている。
もしかしたら初期状態ではCPUクーラーの圧着が弱かったのかもしれませんが、これはたぶんケース内に熱がこもっている可能性のほうが高いでしょう。
なんせPCケースを覗き込む僕の顔面にえぐいほどの熱風が吹き付けてきます。この熱がサイドパネルのおかげで排出しきれずケース内に蓄積されていたのです。
そりゃどんな空冷だって元の空気が熱かったら冷えるわけないですね。
では、なぜ横向きに熱風が?
……そうです。犯人はCPUクーラーではなくグラボだったのです!
ハイエンドグラボの脅威
旧PCに搭載していたのがGTX1060だったのもあり、RTX3080Tiを初めて見たときは大きさに圧倒されました。こんなもんカードでもボードでもなくブロックですよ。
(なお、ツクモはグラボのメーカーを指定できません。僕はELSAのが入っていましたが、違うメーカーのときもあるのでしょうか)
で、そのRTX3080Ti、正直69JDケースにギリギリなんとか入るサイズです。マザボを超えんばかりのサイズで横たわるこのグラボ、もはや障壁のごとくケース内部を二分しています。
なんか傾いてる気がしなくもないので、エアフロー改善ついでにステーも買いました。グラボの端っこを支えようとしたらステーの頭がシャドウベイにつっかえたので、ななめに向いてます。ちょっと残念。
話が逸れましたが、つまりこの巨大グラボが多量の熱風をケース内に吹き散らかし、それがCPUクーラーにまで及んでいると考えて良さそうです。
ですから、
CPUクーラーもグラボもちゃんと仕事をしている。
しかしケースがそれに応えきれていない。
というわけですね。ケースの熱排出が不充分。
最初に申し上げた通り、この構成でトラブルが起きているわけではないのでツクモが悪いとかではないのです(何度もすみません)。
まあ……なんというか、もう一押し安心したいな~、という。
このPC、限界を攻めすぎている。
本題
前面の改造1
というわけで、大変長らく引っ張りました。
69JDの力技改造、スタートです。
まず、このケースの左サイドパネルは放熱のため(と思われる)メッシュが開いているものの、これほどの爆熱グラボを積むと自然排気に任せるのは厳しいようです。
ただ、せっかくこのように排熱の出口が用意されているのであれば、利用しない手はありません。
というわけで、排気をアシストしてみましょう。
まずは、吸気のパワーアップで押し出し力を高めてみたいと思います。
ただちょっと問題があり、そもそも69JDは前面・背面それぞれ120㎜×1ずつしかファンを取り付けるスペースがありません。
天面は1ミクロンも穴の開いていない鉄板で、当然簡易水冷なんぞ望むべくもないわけです。
ATX対応のミドルタワーにしては
とベイ放題(?)なのはとても良いポイントなんですけど、エアフローの拡張性がゼロってのは正直イマイチですね。
しかも吸気ファンはベイのフレームに開いた通気孔を潜り抜けて吸い込む構造なので、おそらく面積的に1/3くらいは塞がれているに等しいと思った方が良いでしょう。
これじゃ通気性はあまり期待できないな……
などとごちゃごちゃ考えながら前面ファンのスペースを眺めていると、
「コレ120㎜なら2個縦に入るよね?」
という疑念が僕の中に生まれました。
だって絶対入りますもん。
測ったら250㎜以上隙間あるし。
というわけで、2連ファンを無理やり組み込みました。
元のファン固定用ネジ穴は使えない(微妙に位置が合わない)のでガタつかないようスペースをアクリルフォーム等で埋め、嵌め込む形で搭載。留め具の類は使っておりませんが、問題なく動きます。
無事、力強い風を手に入れることができました!!!
てか元々のファンが最大1200rpmくらいで抑えている静音重視仕様なので、余計に改善を強く感じられますね。
この2連ファンは最大1500rpmらしいので、単純に考えて正規の2.5倍くらいのパワーになっているってことでしょうか。
どうだ!思い知ったか!(なにを?)
前面の改造2
これだけでもかなりGOODだとは思うのですが、
せっかくなら、もう少しやりたい。
なのでやります(前の画像でネタバレしてますが)。
69JDは、前面下から背面上へ対角線を描くように吸排気します。オーソドックスなエアフローですね。
前面上部はオープンベイスペースで、HDDやらディスクドライブやらいろいろセットできます。
僕の場合はディスクドライブが付いていまして、しかし1枠あればいいので空間が余っています。
ですので僕はそこに80㎜ファンをくっつけました。これはもう両面テープでベターっと貼り付けているだけです。
というわけで、かなりのパワープレイにより、120㎜×2+80㎜×1の吸気を組み込むことができました!
「ベイに積むもんなんて無い」て方は(そしたらこのケースにしないか)、長尾製作所のドライブベイファンが良さそうですのでオススメいたします。
持て余しているオープンベイを吸気ファンにできるすぐれものですね。
本来の使い方ではありませんが……
ちなみに、上の写真でご覧いただいたわたくし謹製DIY80㎜ファンは5インチベイと3.5インチベイの間に貼り付けていて、つまり種類の異なるオープンベイ同士を跨ぐように、隙間へ押し込んでおります。
もし69JDをお持ちで「え、でも自分のオープンベイはなにもつけてなくてガラ空きだから、120mmファン入っちゃうんじゃね?」とお思いの方、ちょっと待ってください。
ここに長尾の3段120㎜ファンタイプは組み込めないと思います。
写真をもう一度見てみてください。最下段にある3.5インチベイのフレームが邪魔になってしまうように思われます。
このケースは5インチベイが2段しかないのです……
リンク先の2段80㎜ファンタイプならピッタリですので紹介した次第です。
側面の改造1
そういうわけで前面→背面へのエアフローが大変に改善されたところで、そもそもの問題であった「グラボが爆熱を噴出している」件に改めて向き合いたいと思います。
現状このケースは「正圧」と呼ばれる状況です。吸気>排気の「外から強く空気を入れ、その勢いで中の空気を押し出す」的な力関係です。
先に紹介した側面パネルのメッシュから出てくる熱も、心なしか多くなっている気がします。
と、いうことは。
側面メッシュからもファンで排熱すれば、さらに改善するのでは?
ケースの吸気が強くなったので従来ほどCPUクーラーが熱風を食らわされることはなくなりましたが、やはりグラボ排気の主な出口は引き続き背面ファンであるため、ルート上に被っているCPUクーラーはまだそれなりの熱に曝されていると考えて間違いないでしょう。
ならば、グラボが出した熱風に専用の出口を作ってやろう。
というわけで、先ほどからほんのりと暖かい側面メッシュに排気ファンを取り付けます。
なんだか妙にメッシュが縦長なので、とりあえず120㎜ファン×2をあてがってみると……
なんと!!!
ピッタリです!!!!!
こういう加工を想定しているのでしょうか?信じられないくらいハマっています。
グラボもCPUクーラーもデカすぎて内側にクリアランスがないため、仕方なくファンはケース外側に取り付けることとしました。
もっとコンパクトなサイズのパーツ(トップフロークーラーとか)で組んでいる方は内部に取付できると思います。
ケーブルが通り抜けられる隙間もないため(パネルは多少たわむので通らなくはないと思うものの、断線したらイヤなので)、不格好ですが余っている背面USBから電力を拝借。当然ソフトやらBIOS(UEFI?違いがわからぬ……)やらでの回転数制御はできないのですけど、まあグラボの排熱をケース外に出したいだけなので良しとしましょう。
これは余談ですけど……
側面ファンってどんな構成でも共通の問題があると思っていまして、それは
「ケーブルが超ジャマ」
ということ。
メンテのときは大抵サイドパネルを外して作業するわけですが、そのサイドパネルにファンがくっついているからいちいちマザボとの3ピン/4ピン接続も外さないといけない。これがめんどくさい。
個人的には、USBとかミニジャックならいざ知らず、マザボに繋いでいるコネクタを何度もガシガシ抜き差しするのは気が引けます。
延長ケーブルを挟めばいいと一瞬思ったものの、グラボの吸気ファンと側面のケースファンどちらにも絡まないようケーブルを都度きれいに収納するのは、それはそれで神経使います。
ですので、見た目が残念というところに目を瞑れば、ファンのケース外部取付&USB給電はアリ寄りのアリじゃないでしょうか。
内部パーツへの干渉は言わずもがなあり得ないし、USBなら気兼ねなく抜き差しできますし。
側面の改造2
実際に動かしてみると、効果覿面です!
ドライヤーのように熱風が出てきております。
これが今までCPUクーラーへ回り込んでいたのか……改めてグラボの威力を思い知りました。
あと、側面排気を増やしてからグラボ自体が多少静かになりました。
よく考えたら改造前はグラボが自分の熱を自分で吸ってたんですよね。
熱い空気が排出しきれず戻ってきちゃって、それじゃ冷えないからどんどんファンが高回転になる。
苦行の自給自足という恐ろしい事態が、我がPCケースの中で繰り広げられていたのです(他人事)。
もう一点話すと、このケースは昔ながらの電源が天面にあるタイプで、ケース後部の排気ファン直上にセットされています。
つまりケース内の熱い排気が集うところに取り付けられているわけです。
電源がCPUクーラーと同じく過酷な環境にいたであろうことは容易に想像できます。
私のPC歴が短いゆえか未だ電源ユニットが不調に陥った経験はありませんが、これも結構値の張る部材なので出来れば涼しい空気を吸わせてあげたいところです。
そこで、先ほど設置した側面ファン2連の上側はひっくり返して吸気ファンにしました。こうして見るとなかなかゴツいビジュアルですね。
文字通りエアフローに横槍を入れている状態ですけど、しっかりケース上部空間の冷却に貢献してくれているようですよ。
電源は何ともわかりませんがCPUはわずかながら(1~2℃ほど)温度が下がりました。
誤差かな?
誤差じゃないと思いたい。
ベンチ
開始30秒くらいで100℃へ突っ込むため怖くて最後まで見届けたことがなかったCINEBENCH。
これでもかというくらいファンまみれにしたので、リベンジ!
なんと!
80℃台を維持できています!!!
「いや全然まだ熱いやん笑」
とお思いの方もいらっしゃるでしょう。
否、これは大変な進歩なのです。ほんと。
レベル低くて申し訳ないのですが、CINEBENCHを最後まで回せたってこと自体がすごくうれしい!
(ちなみに室温は15~20℃くらいでした)
点数も平均値くらいは出せていますので、制限がかかってしまっているわけでもなさそう。
ちゃんと全力を出してもらえる環境になりました!
ちなみにグラボもTimespyで計測。こちらは改造前から特段動かすのに問題は無かったのでスコアは変化なし。
ただ、ファンの回転は明らかに落ち着きました。かなり静かです。
まとめ
構造に明らかな不備不足は無いが、冷却面は充分ではない(ベイ数に余裕を持ちたいならむしろアリかも)
前面吸気はゴリ押しで2連にできる
オープンベイが余っていれば是非吸気を
裏配線できないのは正直イマイチ
細かい穴やスリットが多いので、正圧で組まないとホコリ地獄になる気がする
実は側面ファンが付けられる(120㎜×2まで。80㎜も付きました)。見映え無視で外付け&USB給電が楽
CPUクーラーの高さはたぶん160㎜くらいが限界
あと、触れていなかったところをついでに……
冒頭スペック紹介のとおり、いっちょまえにM.2 SSDなんて組み込んでいるものですからその熱も心配していました。マザボにヒートシンク型カバーがわざわざ付属しているってことは結構な熱を出すパーツなのでしょう。
マザボにもそれなりの風通しが必要になるのであれば、これからは今まで以上にケース全体のエアフローが重視されるようになるかもしれません。サイドファン復権かな?でも透明パネルが主流だから無理か……
てな感じで、ビジュアルに目を瞑れば最新パーツ構成でもガンガンぶん回せるようになりました。
まだ69JDは現役だ!!
個人的にはグラボの排熱対策が非常に重要だと感じました。
僕は側面ファンで解決しましたが、より強力なエアフローが作れるなら前面背面だけでもいいと思います。要は熱が滞留しなければいいわけですからね。
以上です。お読みいただきありがとうございました。
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