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なぜ働いていると本が読めなくなるのか

私には積読がたくさんある。

本屋さんに行くと面白そうな本がたくさんあって、つい購入してしまう。
読みたい気持ちは山々だが、なかなか読めずどんどん増えていく本がちょっとしたストレスだったりする。

そんな時、Xで「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」が紹介されていた。
これを読めば積読を消化できるかもしれない。
そう思い、その他の本を差しおいてまずこの本を読むことにした。

私はこの本に読書術を期待していた。
しかし、読み進めていくと読書と労働の歴史について書かれたものだった。

10年ごとの社会の変化によって、どのような本が読まれていたのか。
この本が人気になったのはこんな時代背景があるからだ。

そのようなことが書かれていて、想定とは違っていたがなかなか面白いと思った。

そして肝心のなぜ働いていると本が読めなくなるのかという問いに対しては、筆者はこう結論付けていた。

読書を通じて得られる知識は仕事のノイズである。
そして、全身全霊で仕事に取り組んでいるとノイズを取り入れることができなくなるから、本が読めなくなるのだ、と。

確かに納得だ。
この本の題名を読んで時間がないからじゃない?と思う方もいるかもしれないが、それだけが原因ではないことは実体験から感じている。
私は極力通勤退勤時間を使って本を読もうと思っているが、なぜか読めない。
SNSを見たり、スマホゲームはできるのになぜか本は読めない。

仕事が忙しいと、仕事以外の時間でも脳のリソースが仕事に奪われていく感覚がある。
そんな時、確かに本から新たな知識を取り入れるのを拒絶している気がする。

そして、筆者が目指すべきだと言っている社会は、半身で仕事をする社会だ。

全身で仕事をするのではなく、半身を他のもののために残しておくことで、ノイズを脳に入れる隙間が生まれ、本が読めるようになる。

そんな社会は、読書に限らず余暇活動や家族との時間、好きなコミュニティに参加する時間などと両立することができる社会だ。

実際に働いていると、全身で働くので精いっぱいでとても半身で働くことなんて難しいと感じる。
しかし、私も常に筆者と同様に今の仕事ばかりが人生の中心になっている社会には疑問を感じている。

普段の休日は、休息をとって友人と会い、たまった家事をすればそれだけで終わってしまう。
でももしも週に4日仕事がない日があれば、私は昔の趣味であった音楽を再び始め、行ったことのない場所を訪れ、転職に向けた勉強をし、読書をするだろう。

金銭的なことを考えても、今の社会を考えてもそれは理想に過ぎないことは重々承知している。

しかし、私も筆者とともに「半身で働く社会」の実現を願っていきたい。



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