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どうにかこうにかして彼氏にジブリ作品を観てもらった話

みなさん、こんばんは。和三盆と申します。
普段はネット上で短歌を投稿したり、公募に応募したりしています。
また更新頻度はかなり低いのですが、このようにエッセイをnoteに投稿することもあります。

さて、わたしが約2年前に投稿したこの記事を覚えていらっしゃるかたはいるでしょうか?

『どうにかこうにか彼氏にジブリ作品を観て欲しいという話』という記事です。内容はタイトルのとおりです。
この記事は岸田奈美さんが主催していらっしゃった「キナリ杯」という催しに向け投稿したもので、運良く大勢のかたに読んでいただくことができ、またnote編集部の方でも「注目記事」として取り上げられたかなり幸運な記事となっておりました。

多くの人に読まれる、ということは良いことでもありますが、同時に「彼氏に自分の思想を押し付けるな」「勝手な彼女」などと言った意見を言われるなど悪いことも起こります。
ツイッターの名前も知らない、話したこともない、フォローすらされていない、わたしと彼氏の関係性も分かっていないくせにすべて物知り顔で、わざわざ引用リツイート機能を使って、お気持ち表明してくる人々に当時はかなり落ち込んだ記憶があるのですが、これらを否定し、笑い飛ばしてくれたのは他でもねぇ彼氏です。

そんなわけで、この2年間は「別に観なくても人生の中で損することはないだろうけど、観たことがないと言われたらそりゃ魅せたくなるよ」という精神で、金曜ロードショーでジブリ祭が開催されるたびに虎視眈々とジブリ作品を彼氏に見せる機会を狙っていました。

「今度の金曜日、家に泊まりに来ない…?」
「なんで?」
「なんでって…(理由とか聞いてくるなよ…)、なんででもいいじゃん!」
「怪しい…。その日の金曜ロードショーなに?」
「ば、バックトゥザフューチャー…」
「調べたらジブリ作品って書いてあるけど?
『或る日の会話』

というやり取りを何度したことか…。

わたしの目論見虚しく、ジブリ作品を見せたいという記事を書いてから約2年の月日が経過しました。

「いつになったら彼氏にジブリ作品を見せることができるのだろう」
「彼氏にジブリ作品を見せたい」
という思いは年々大きくなるばかりですが、当の本人はサッカーゲームでオンラインマッチをしたり、ガチャでベッカムを当てて喜んだりして日々を過ごしておりジブリ作品の「ジ」の字もありません。

彼の頭にあるのはジーコ(サッカー選手)、ただそれだけです。

「もうこのままなんだかんだ言ってジブリ作品を観ることはないんだろうなあ」と半ばこの記事の存在も、見せたい!という熱い思いも忘れ、過ごしていましたが転機が訪れました。

更新頻度が低いわたしのnoteを定期的に読んでくださる方は知っているかと思いますが、今年の春から一緒に暮らし始めたのです。
毎日、(主にわたしが)メロスのごとく踊ったり歌ったりしながら過ごしているわけですが、先日ネットを見ていると「次週の金曜ロードショーは『崖の上のポニョ』」とあるではありませんか!歓喜!

『崖の上のポニョ』

忘れかけていたあの情熱がたちまちのうちに自分に返ってくるのを感じました。
「よ~し!見せるぞ~!つーか、わたしが見るぞ~!!」
と、思いつつ当日。

金曜ロードショーは9時からの放映なので、その一時間前から布石を打つことにします。いわゆるちりゃくです。

最近『パリピ孔明』というアニメを見始めたのでなんでも「知略」と言い換えて賢くなったつもりでいますが、ほとんどが「悪知恵」です。
それはそうと、死後になぜか現代の日本しかも渋谷に転生してしまった孔明が知略(悪知恵)を巡らし、クラブで活躍する超面白アニメ『パリピ孔明』是非見てください。彼氏にも見せましたが、「面白い」と言っていました。

話を戻します。
金曜ロードショーの放映一時間前に、金曜ロードショーのチャンネルにテレビを合わせておくことで、『沸騰ワード』→『金曜ロードショー』と「見る流れ」を自然に作るという「ちりゃく」です。

何も知らない彼氏は、芸人・やすこの真似をしながら『沸騰ワード』を見ています。決して『沸騰ワード』にやすこが出ているから真似をしているわけではなく、やすこの真似をすることが最近のわたしたちのブームなのです。

そうこうしているうちに『沸騰ワード』はエンディングを迎え、
「この後は金曜ロードショー!『崖の上のポニョ』!」とナレーターが元気よく宣伝を始めます。

それを聞いた彼氏は「他になにが放送されているのか」とチャンネルを変える気まんまんに番組表を見ようとしましたが、
「ナニモオモシロイバングミハナカッタヨ!」
「わたし『ポニョ』見たいから見る!は~!ポニョ可愛い~!
『ポニョ、そうすけ!好き!』『うん、僕もポニョ好き!』」
などと、矢継ぎ早に言ったり、キャラクターの真似をしたりして観賞に対する士気を高めているそぶりを見せると、わたしを憐れむような顔つきになり、
「そう…」
と言って、ウイイレをし始めました。

瞬間、わたしは「計画通り」と夜神ライトの顔つきになり、「しめしめ、馬鹿を演じた甲斐があった…」と思いましたが、手のひらで転がされていることを知らない彼氏は「クリスティアーノ・ロナウド、やっぱり強いな~」とか言いながらオンラインゲームに勤しんでいます。

そんな彼氏をよそに『崖の上のポニョ』が始まり、わたしが鑑賞します。

「ウワ~!!!稚魚がいっぱい~カワイ~!!」
「はいはいはいフジモトね、ポニョのお父さんで所ジョージが声をしているんだよね~!!!」
「リサの運転荒すぎ~(笑)飛んで行っちゃうよ~!!(;^_^A」

聞かれてもいないのに感想や知っている豆知識を比較的デカい声で呟きます。
ところが、途中でチラリと彼氏を見ても彼氏はサッカーゲームに無我夢中といった様子で全然テレビなんか気にしていません。
だんだん自分が馬鹿なんじゃないかと思えてきたので、何も言わずポニョを見ることにしました。

すると、目の端で彼氏が顔をちらちらとテレビに向けているのが確認できました。

お???????


観てない????

「ポニョ、そーすけ、好き!」

画面のポニョが喋ったそのとき、

「フッ…、可愛い…(CV.彼氏)」

観てる!!!!!!!

24年間ジブリと肉体的にも精神的にも関係を結ばなかった男こと彼氏が!!!
ジブリ作品を!!観ている!!!!

「フッ…、可愛い…」
彼氏『崖の上のポニョ』を見て

彼氏はその後も、展開が気になったのか、聞こえてくる音や台詞につられてテレビをチラチラと見ていました。
一番面白かったのは、ポニョのお母さんが初登場する場面で、
「ウワウワウワ…!!デカくて怖い!!!」
と言っていたことです。彼氏は「巨像恐怖症」のため大仏や巨大モニュメントを見ると「怖い」と言って怯えることがあります。

どうやらポニョのお母さんも対象に入ってしまうらしい。

わたしは若干の「海洋恐怖症」なので、古代魚が町中を泳いでいるのがすこし怖かったです。

紆余曲折、前半はサッカーゲームの記憶しかないだろうが、とりあえず彼氏はジブリ作品デビューを果たしました。
『崖の上のポニョ』の最後、結末に対して、
「まあよかったね」と可も不可もないコメントを寄越していましたが。

こうして約2年に及ぶわたしの野望は果たされたのです。
とはいえ、世の中にはまだまだ日本が世界に誇っているアニメーション、ジブリ作品が多く存在します。「コクリコ坂から」に「となりのトトロ」にそれはもうたくさん。
それらも「ちりゃく」とともに観ていこうと思っています。先は長い。
頑張ります。

はい~~~~~~~~~~~~(芸人・やすこの真似)

おしまい

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