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人生最悪の誕生日

 夫は入院中に自身の誕生日を迎えた。入院で絶食なんて人生最悪の誕生日だろう。こんな誕生日はあとにも先にも今回だけにしてほしいと思っているはず。そんなこんなで、遂に60歳になった。別に誕生日だからって今までも特別な事はしたことはないが、普通にご飯を食べて、甘い物に目がない夫はケーキは必ず食べていた。まぁ私が作っていたのだけれど。

その普通の事が今回は出来なかった。普通の日常生活が送れるという事は、つくづく幸せな事なのだと改めて感じた。病気が治って、来年はケーキが食べられますように。と願うしかない。

入院して10日程経ち、絶食治療を終え、ようやく食事療法に切り替えていくとのこと。やっと食事が取れるのか。先週面会に来たときには、1週間ですっかり痩せてしまい、頬はこけ、病人の顔色になってしまったのを見て、少し切ない気持ちになった。

例の検査ももう一度試みて、なんとか管が入ったらしい。あまりにも苦しい検査で麻酔をしたようだ。胆管が詰まって胆汁が流れなくなっていたので、ステントを入れたとの事だった。便が白いのはそのせいだった。

組織はうまく採れたのだろうか。
夫は何も聞かされていないようだった。
とにかく苦しくて、麻酔が効いて起きたのは夜中の12時だったらしい。

LINEが来なかったから、気が気じゃなかった。胆管が詰まるって、それって膵炎でそうなるの?凄く嫌な感じだ。おかしい。

膵臓が腫れていてそうなってるのか。自己免疫性膵炎もそういう症状になるのか?素人には全くわからない。

とりあえず、食事療法では膵炎食として、最初は重湯が出てきた。重湯でも、夫はご飯だー!と凄く嬉しそうだった。なんたって10日ぶりの食事だ。ようやく人間らしい生活に戻れるのだ。

退院してからも食事療法は続けないといけないので、参考までに病院食の写真を毎食LINEで送ってもらった。味付けはかなり美味しいらしい。

ステントを入れてもらったことで、だいぶ楽になったらしいが、相変わらず背中の痛みは訴えていた。



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