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おそらくはプロミシング・ヤング・ウーマンだった

休職期間満了を迎えようして


主治医から「もう復職は諦めましょう」「覚悟は早いほうがいい」と言われた。頭が真っ白になるとはこういうことだったんだ。
回らない頭でいろいろ提案した気がする。抗議もした気がする。
だって、こんなのおかしい。今までの診療で「悪くなった」なんて言われていないし、このまま会社の方針に従って復職へと向かっていくはずだった。

茫然自失、そして怒り

職を失う、ということに強い衝撃を受けた。立ち直れなかった。
精神科医の仕事は大まかに話を聞き、薬を処方すること。
それをわかってはいても、主治医への怒りが憎しみに変わった。
私の人生は目の前にいるこの人に握られている。
この人の一挙一動で私の人生は変わってしまう。それがもし「悪いもの」だったとき、この人はなんの責任も取ってくれない。

具体的にどのくらい動けるようになれば、どのくらいの気分の波で復帰できるのか。
こちらからも何度か聞いたけれど、じつにふんわりした言葉しか返ってこなくて薬の量がやや変わるだけ。この人、私を治す気があるのだろうか?
何か言えばいつも同じような長々しい説教。増薬。
私がこう思ってしまった時点で信頼関係はこわれてしまった。

休職前から通っていた病院で、1年以上付き合ってきた医師だった。
信頼していたから私が転居しても長い時間かかけて通い続けた。
でも、もうおしまい。私のこの6ヶ月間は何だったのだろう。

今までの私は死にました。

長く、長く通ってきた。よく考えれば、なにか症状が変わればコロコロ病名が変わった気がする。そもそもこちらからアプローチしなければ疑いのある病名も教えてくれなかった。

まだあと少し、足掻くつもりだけれどきっと、おそらくは「休職期間満了に付き退職」になるだろう。
もし奇跡が起こったとしても、以前の「頑張れる私、できる私」はもういない。
仕事面で評価されたことがある。サポートしたこともあった。叱られたことはなかった。受験も乗り越えてきた。
たぶん、たぶんだけど、私はプロミシング・ヤング・ウーマンだったのだと思う。でも、もう、今までの私は死にました。

ネットで調べた縛り方で作った縄を握りしめながら、飼い猫を見る。
せめて、この子を看取るまでは。そう思ってはベッドの奥底にそれを投げ込む日々を今、過ごしています。
でも、その時が来たら怖気づいてできないのでしょう。
未来はない。ネットの言う「救い」にあずかることはできないのでしょう。

私の人生は何だったのだろう。
少し休んで、生まれ直そうとした彼女は死にました。


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