母から監督へ。その2

<リレーエッセイ第4回>

とこちょ。(監督改め)と主人公の母親によるリレーエッセイをお送りしています。今月は、くみちょ。(主人公の母)が、初めてのロケの様子を見ていて感じたことをお伝えします。

***


いよいよ撮影が始まる!
どんなことでも面白がる小林家にとっては、イベント的なワクワクでいっぱいでした。
どんなシーンを撮るんだろう?何を聞かれるんだろうか?
前日の夜は、にやにやと勝手な妄想をしながら、大笑いしていました。

撮影には全面的に協力させていただきたい!という強い思いがありました。
けれど、ひとつちょっとした心配事がありました。

おそらく視聴者さんが、期待しているであろう「苦悩、葛藤」が我が家にはない。
我が家には、みなさんが見たがる、家族間での衝突や暗い空気がなかったんです。
撮影を見ていたらインタビューは、やはり予想通りの受け答えでしたね。
(前号でのとこちょ。の嘆きを、読み返してみてくださいませ)


私は撮影の邪魔にならないように、カメラに映り込まないように遠巻きに、ウロウロしながら見学していました。
カメラのフレーム越しに写った我が子の横顔を見た瞬間、ドキッとしました。

親バカですが「なんて絵になるんだろう!」と。

教室で頬杖をつき、窓の外を眺めるシーン。
ポスターにもなっているあの横顔を今でも鮮明に覚えています。

ほんの数分のニュース番組の撮影でしたが、私はその時に将来への可能性を感じました。
絶対に多くの人に注目されるようになるとこっそりと思っていました。

その夜は「楽しかったね〜」「面白かった〜」とずっと話していました。
(続く)

<by 主人公の母 くみちょ。>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?