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一の湯を振り返って ―上映委員感想集―

10/3(日)、映画「僕とオトウト」の第一回プレイベントが開催されました。あえて映画は上映せず、映画をご覧になられていない方に、フレッシュなゲストのお話をお届けする。そんな挑戦的な企画に、ちょっぴりの不安と、大きなワクワクを胸に当日を迎えました。

けれど結果はとっても満足のいくものになりました。ゲストお二人の興味深く、刺激的で、考えさせられるお話はもちろんのこと、トーク後の懇親会でも色々な意見や質問が飛び交うなど、大変な盛り上がりの中で終えることが出来ました。ご参加くださった皆さま、本当にありがとうございました。

今回は、一の湯のゲストとしてお招きした油田優衣さんと宮地葵さんのお話を聞いて、上映委員が感じたこと、考えたことをこちらで共有できればと思います。ゲストのお二人と年齢が近く、あるいは「なんとなく」だけれど何かがしたい、そんな気持ちを日々胸に秘めながら、一歩ずつ力強い歩みを進める若者たち。そんな私たちの胸の奥に鼓動する、小さいけれどほんのり温かくて、でもやっぱりまだまだ青い息吹を感じていただければと思います。


「向き合うことの苦しさ」(荒木大輔)

宮地さんの言葉が心に残りました。

「どれだけ相手の文化や歴史を理解しようとも、本当に同じ目線に立って何が幸せかを理解することは難しい。そういうもどかしさや寂しさを、国際支援をする立場の人は常に抱えている。しかしその感情は、人と人との関係において普遍的なことなんだと、映画「僕とオトウト」を観て気づかされた」

僕は祖父母とよく、映画を観たり植物園に行ったりします。大学を休学中の身なので、めいっぱい祖父母孝行できる最後のチャンスかな、と思っています。祖父母と触れ合う中で、相手の価値観を尊重しつつ、こちらの意見を提案することの難しさやもの悲しさを感じます。映画「僕とオトウト」は、兄が弟に真剣に向き合っているからこそ、コミュニケーションすることの苦しみが滲み出ており、そこに多くの人が共感するのではないかと思いました。



「たぶん私は、何でもよかったんだと思うんです」(池田由利子)

ミャンマーの民主化支援という、いかにも何でもよくなさそうな活動をされている宮地さんから発せられた言葉が、優しい声に乗って響きました。

出会ったものが、難民問題であっても障害であっても、宮地さんの心の針は振れていたのかもしれません。
大事なのは何と出会うかだけでなく、どうやって(自分がどんな状態で)出会うか、なのではないかと思いました。

かく言う私は、理系大学院生ながら“なんとなく”教育の道に関心を持ち、来年から学校の先生になります。なぜ心の針が振れたのか、未だにスッキリ説明できません…

だからこそ、スッキリ説明されているように私の目に映っていた宮地さんの、等身大の言葉にどこかホッとしました

自分のことがわからないって、認め難いことだと思います。
それを素直に受け止めて、問いかけと行動を続けている宮地さんの強さに力をもらった時間でした。


「分からないことを大事にしよう!」(松尾みゆき)

映画「僕とオトウト」の中で、髙木監督は弟の壮真さんを分かりたいと思い試行錯誤しますが、なかなか理解することはできません。ゲストの油田さんは、そんな二人のやりとりを見て「分からないことを大事にしよう」というメッセージを感じたそうです。

この言葉を聞いた時、私の頭に浮かんだのは夫の顔でした。
結婚して何年も経つと、何でも分かっているつもりで暮らしていますが、本当は話すのが面倒で習慣化していることが多いのではないかとハッとさせられました。私は本当に夫の気持ちが分かっているのか…。身近な人のことこそ、実は分かっていないのかもしれません。これからはそのことを忘れずに、もっと会話を大切にしようと感じさせてくれた一言でした。



「懇親会にて」(中浦聡)

「僕から『障害』を除いた時に完璧超人を目指さなくていいんですね!」
イベント本編後の懇親会にて、ゲストの油田さんと参加者の方との会話で生まれた言葉です。

友達や親には相談できず、自分の中でも解決できず、もやもやに包んで心の奥へしまい込んだその言葉、この場この時を電波を通して共有した “この間柄” だからこそ、ぽろりとこぼれ出てくるのかもな
ディスプレイに映るたくさんのお顔を見ながら、そんな風に思ったイベントでした。

「僕オトの湯♨️」は現実には存在しない、お互いリアルで対面しているわけでもない、でも電波の繋がる限り、まるでお風呂で喋っているように心と心が共鳴しあう、不思議な空間で会話が広がるイベントです。
もっと多くの人と、この不思議空間を共有したいです!!
 



いかがでしたでしょうか。それぞれに感じ、考えることがあって、身の回りを見つめ直すきっかけを掴んだ上映委員たち。彼らは今日も眠い目をこすりながら、力強く確かな一歩を日常へ踏み出していきます。彼らの目に映る世界が一層輝いたものでありますように。

(編集担当:Linda)
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【上映委員 タレコミ】
なっかーさんのサックスの演奏を聴いたら、白雪姫のながい眠りも、夜更かしをしがちな上映委員の寝ぼけ眼も覚めるらしい
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「僕とオトウト」公式サイト https://boku-to-otouto.com
お問い合わせ bokutootouto@gmail.com
 

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