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京都大学大学院人間環境学研究科 研究員 佐藤泰子先生のレビュー

【レビューを送って下さった方】佐藤泰子先生

佐藤先生は、髙木監督が現在所属している京都大学大学院の人間環境学研究科で研究員をされている。いつも監督がお世話になっている、素敵な先生。映画製作時より温かく見守って下さり、京都みなみ会館での上映・トークショーにもお越しくださった。佐藤先生、お忙しい中本当にありがとうございました。


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この映画中で、兄は、苦悩という補助線を描きながら、愛を紡いでいた

「オトウトを知りたい」という射程の短い兄の問いは、もはや着地点にたどり着こうとするのではなく、また、空疎なままに留まるのでもなく、決め打ちもなく、問いの源泉を遠望しながら、「生」という世界に向かって開かれていた。着地点のない作品ほど、押しつけがましくなく、訴えるものはないと感じさせてくれる作品であった。


特に父との場面では、他者が立ち入ることができない強烈な兄の真意が描かれていた。悔しいし、腹が立つし、・・・おりこうさんな障害者の兄を生きてきた兄の真意がこぼれていた。「こうあるべき」を振り切ってでも、描きたいものがあったのだろう。悔しさや腹立たしさをまたぎ越したそこには、壮真君への真実の素朴な愛があった。


これまでの家族の在りようを素描しながら、ここからの人生を思い描く勇気を振り絞るかたちでこの映画は終わる。もしかしたら、兄が最も恐れていたのは、将来の互いの在りようだったのかもしれない。壮真君が、兄に与え続けていたものは、互いの人生は互いの中にそれぞれあるという合意であり、その合意を調達できる兄の知を鍛え直す契機であったのではないだろうか。



(編集担当:LINDA)

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【上映委員 近況報告】

「もうマジで無理かも…」 そんな時は研究や仕事もそっちのけで京都を脱出して、大好きな人のところに遊びに行きます。一緒にご飯を食べて、バイクに乗って海へ行って、いっぱいハグして、きれいな星空を眺めて… たった2日しか一緒にいないけど、どの一瞬も、どんな表情も私には目くるめく輝きと力を与えてくれます。そして京都に帰ってきたら、「なんとかなるんじゃないか」って思えるんですよね。ってことで、今日からまた頑張るぞ‼
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【劇場公開情報】2021年11月16日現在
上映後の、監督&日替わり特別ゲストによるアフタートークは終了しました!お越しくださった皆様、ありがとうございました
詳細はこちら→ https://boku-to-otouto.com/infomation/


大阪 @シネ・ヌーヴォ(本編48分、アフタートーク30分)
終映しました。たくさんのご来場、誠にありがとうございました!


京都 @京都みなみ会館(本編48分)
終映しました。たくさんのご来場、誠にありがとうございました!


神戸 @元町映画館
終映しました。たくさんのご来場、誠にありがとうございました!

そして

東京のどこか @〇〇映画館

上映出来たらいいなあ。


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